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Online edition:ISSN 2758-089X

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1988.01.04

Surgical Treatment of Aged Patients with Basedow’s Disease *

バセドウ病に対して手術が行われた339例中,手術時50歳以上で術後1年以上を経過した36例のうち,追跡調査の可能であった29例(男性8例,女性21例)に関し,術後の合併症,甲状腺機能を調べ,性,追跡期間が一致している同数の30歳未満の症例を対照とし,比較的高齢者に対し行われたバセドウ病手術に対する再評価を行った.術後早期の合併症に関しては,高齢者群と若年者群との間で差はみられず,高齢に対しても安全に手術が行われ得た.T3を指標とした臨床的甲状腺機能は,高齢者群で機能亢進2例(6.9%),正常26例(89.6%),機能低下1例(3.4%)で,若年者群のそれぞれ1例(3.4%), 27例(93.2%), 1例(3.4%)と差はみられず,高齢者であっても術後の残置甲状腺機能はよく保たれていた.高齢者のバセドウ病に対しては患者の全身状態,社会的背景などを考慮して治療法が選択されるべきである.(昭和62年7月3日採用)

1988.01.03

Tumors of the Small Intestine ― Report of 12 Cases ― *

1973年より1986年の13年間に12例の小腸腫瘍を経験した.年齢は,35歳から72歳に及んでいた.性別では,男性9例,女性3例であった.小腸腫瘍は,7例は空腸に,5例は回腸に存在した.症状としては,腹部膨満感が最も多かった.12例の内訳は,癌4例,悪性リンパ腫4例,平滑筋芽細胞腫2例,リンパ管腫1例,腺腫1例であった.癌はすべて空腸に存在し,男性3例,女性1例であった.腹部膨満感が3例に認められた.小腸造影では,3例では全周性の狭窄を,1例では不整な潰瘍を認めた.3例に内視鏡検査が施行され,2例では生検組織が採取され診断が確定した.悪性リンパ腫は空腸に1例,回腸に3例存在した.腹部膨満感が3例に認められた.小腸造影では,不整な狭窄を示した.筋原性腫瘍は回腸に存在し,リンパ管腫と腺腫は空腸に存在した.経口的小腸造影は,これらの小腸病変拾い上げに極めて有用であった.(昭和62年6月5日採用)

1988.01.02

Hypertrophic Scar and Contraction for Wound Healing *

創の閉鎖には,収縮と上皮化という二つの重要な現象が見られる.創の収縮は創傷治癒過程に必ずおこる治癒機転であり,この収縮を妨げるともう一方の上皮化が遅延すると考え,サルの皮膚に創を作成しその治癒過程を観察した.また,持続する炎症期における肥満細胞の動向についても検討した.(昭和62年7月1日採用)

1988.01.01

Clinical Evaluation of Surgical Treatment of Primary Liver Cancer ― Some Aspects of Small Liver Cancer ― *

昭和56年から61年末までに経験した原発性肝癌手術例21例につき臨床的検討を行った.これらのうち13例(61.9%)は3cm以内の,6例(28.6%)は2cm以内の腫瘍であった.最長生存例は4年8ヵ月で平均生存日数は18.8ヵ月である. 3 cm以下の細小肝癌で,αフェトプロティンは13例中9例(69.2%)で100 ng/ml 以内にとどまった.細小肝癌の大部分はUSかCTにより診断された.細小肝癌の術後死亡例について検討した結果,肝硬変の程度, A-Pシャントの有無,腫瘍の局在が手術の成否を決める要因と考えられた.肝硬変患者のUSによる定期的検査が早期発見に重要であった. (昭和62年6月29日採用)

1987.04.12

A Case of Nasal Septal Abscess

われわれは外傷後両側鼻閉と鼻漏を呈したため近医ではアレルギー性鼻炎として治療を受けていた13歳の男子中学生で,鼻中隔血腫が膿瘍化し軽度の鞍鼻を呈した症例を経験した.鼻中隔膿瘍の報告は1914年から1985年までに90例を数え本例を加えて若干の統計的考察を加えた.

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