h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

topimage01

1988.01.09

Nutritional Availability of Human Milk in Low Birth Weight Infant Nutrition Part I. Nitrogen Balance, Fat Balance and Urinary Solute Excretion in Low Birth Weight Infants Fed Their Own Mothers’ Milk *

低出生体重児における児自身の母親からの人乳の栄養学的効果を明確にする目的で窒素出納,尿中排泄溶質量,脂肪出納,糞便中排泄脂肪分画,血液酸塩基平衡,1日体重増加量などを測定した.その結果,N蓄積率は59.3±7.6%であり,熱処理された貯蔵人乳や冷凍人乳での成績よりすぐれていた.尿浸透圧および尿中排泄溶質量は問題ない成績であった.脂肪吸収率は86.6±5.3%で,熱処理された貯蔵人乳や人工乳での成績より高値であった.血液酸塩基平衡は, actual pH, base excess とも正常範囲内であり,アシドーシスはみられなかった.1日体重増加量は31.6gであり,人工栄養児での成績より少し劣ったが,1日30g以上の増加でもあり,特に問題ないと解した.以上,児自身の母親からの人乳は,出生体重1,500g 以上の低出生体重児においては問題なく与えうるものと結論した.(昭和62年8月6日採用)

1988.01.08

Amyloid Deposition in Intervertebral Disk *

椎間板におけるアミロイド沈着の頻度を剖検症例を用いて検索してみた.沈着は若年者では30歳代からみられ,加齢とともに頻度およびその量ともに増加の傾向がみられた.椎間板アミロイドは従来のAA, ALとは異なり, prealbumin由来とも考え難く, senileamyloidosisのsubtypeの可能性が示唆された.その発生のメカニズムについては解明できなかったが,軟骨細胞と基質が椎間板のアミロイド発生に何らかの役割を有しているようにみえる.(昭和62年7月31日採用)

1988.01.07

Peritoneal Exploration on Laparotomy ― Findings and Analysis ― *

開腹時の腹腔内検索は時間の増加と副損傷の危険性を考慮しても大変重要である.我々は教室例1637例(男性1040例,女性597例)の所見について解析を行ったので報告する.手術の対象部位は胃,十二指腸が最も多く736例(悪性疾患607,良性疾患129),次いで胆道系390例(悪性36,良性354),結腸,直腸314例(悪性262,良性52)の順であり,3:2で悪性疾患が多かった.術中に初めて発見されたものを所見ありとして集計すると全体では616例(37.6%)に副所見がみられ,年齢別にも差はなく,若年者といえども正確な検索が必要と言える.付加手術を必要とした副病変は胆石症が多かったがほかに悪性疾患が多く含まれていること(大腸癌6,肝癌3,胆嚢癌1)は注目すべき事項と思われる.約3人に1人は副所見を有しており,腹腔内検索の重要性を示唆するものと言える.(昭和62年7月23日採用)

1988.01.06

Clinical Studies of Transcatheter Arterial Embolization for Renal Cell Carcinoma *

腎癌に対するgelfoam 17例, steel coil 2例, absolute ethanol 4例を用いたtranscatheter arterial embolization の臨床的検討を行った.①塞栓手技は, absolute ethanol が,最も容易で安全であった.②摘出標本で梗塞効果に差を認めなかった.③手術手技は, Robson stage Ⅰ ,Ⅲにおいてはabsolute ethanolを用いると癒着が強く手術が困難になり, stageⅢにおいては,少ない出血量で血管処理が可能であった.3種のうちabsolute ethanolはtarget organを選択的梗塞させるのに安全で容易だが,投与至適量及び手術施行までの期間などは検討の余地が残されている.(昭和62年7月22日採用)

1988.01.05

Cluster Analysis of the Anxious State and the Effect of β-Blocker *

不安状態にある患者のクラスター分析を行いβ一受容体遮断薬Carteololの効果を検討し以下の結果を得た.1.クラスター分析の結果,身体症状(筋肉系),心血管系症状,呼吸器症状,胃腸症状が特徴的な『身体症状型』と,恐怖,不眠,知的能力(認知)の変化,抑うつ気分,身体症状(感覚系)が特徴的な『抑うつ症状型』と,不安気分,心血管症状,呼吸器症状が特徴的な『胸部症状型』の3群に分類できた.2. Carteololの抗不安作用は『身体症状型』の60.0 %,『抑うつ症状型』の80.0 %,『胸部症状型』の42.9%に認められた.3.β一受容体遮断薬Carteololはうつ状態に伴う不安状態に対して使用する価値のある薬剤であると推察した.(昭和62年7月10日採用)

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