h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

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1987.01.11

A Case of Mitral Yalve Prolapse Associated with Dual Atrio-Ventricular Nodal Pathways and the Concealed WPW Syndrome *

聴診および心エコー図上,僧帽弁逸脱を認め頻拍発作を繰り返す37歳男性例に対して電気生理学的検査が行われた.その結果,二重房室伝導経路と潜在性WPW症候群をあわせもつことが判明した.90~220/分の心室ペーシングにて室房(V-A)伝導時間は一定であった.さらにアトロピン投与後120~240/分の心室ペーシングにても室房伝導時間は一定で,逆行性最早期心房興奮部位は左房(室―左房伝導時間は140 msec)であった.多部位心房ペーシングにても顕性pre-excitationはみられなかった.これらの所見から左側副伝導路を逆行性に伝導する経路(concealed WPW)の存在が示唆された.本例における発作性上室性頻拍は, slow AV nodal pathway を順行性に,左側副伝導路を逆行性に伝導する回帰性頻拍と考えられた.僧帽弁逸脱と2種の異常房室伝導路合併との関係は不明であるが,僧帽弁逸脱例に二重房室伝導経路と潜在性WPW症候群を合わせもつことはまれと思われた.

1987.01.10

A Case of Eosinophilic Granuloma of the Scapula *

8歳,男児.右肩痛で発症し,腫脹および圧痛が著明であった.X線像で,肩甲骨に鶏卵大の骨吸収像を認め,白血球数増多,赤沈値亢進, CRP強陽性であった. open-biopsyを施行し,病理組織診断は好酸球性肉芽腫であった.以後,経過観察にて腫脹および疼痛は消失し,X線像,CT像においても腫瘍縮小が見られ治癒が進んでいると判断した.

1987.01.09

An Autopsy Case of the Panencephalopathic Type of Creutzfeldt-Jakob Disease ― With Special Reference to Ocular Pathological Findings ― *

1年7か月の経過をとり,臨床的に全脳型Creutzfeld-Jakob病と考えられていた症例を剖検した.脳は重量が695 g で,び漫性に萎縮していた.眼球には肉眼的には変化はなかった.病理組織学的には大脳,小脳皮質,基底核,視床などに海綿状態,神経細胞の変性と脱落,原形質性アストロサイトの増殖,脂肪顆粒細胞の出現を認めた.大脳白質から中脳被蓋,橋にかけては広範に変性し,原形質性アストロサイトの増殖,脂肪顆粒細胞の出現を認めた.網膜では周辺網膜の外顆粒層に細胞脱落と空胞化,外網状層の変性,神経節細胞の変性と脱落,神経線維層の粗鬆化がみられた.本例の白質病変は皮質と同様の基質の変化,アストロサイトの増殖,脂肪顆粒細胞の出現などがみられたことより一次性変化と思われた.網膜の細胞脱落,空胞化,基質の粗鬆化なども大脳の変化と同様と思われ,網膜病変は一次性変化と考えられた.

1987.01.08

Minimal Carcinoma of the Thyroid Manifested by a Cystic Metastasis of the Cervical Lymph Nodes Mimicking a Lateral Cervical Cyst ― A Case Report ― *

頸部リンパ節転移が,嚢胞を呈した甲状腺不顕性癌の1例を経験したので報告した.症例31歳男性,左側頸部腫瘤を主訴として来院.側頸部嚢胞と診断したが,摘出腫瘤を組織学的に検討した結果,甲状腺癌のリンパ節転移と判明した.

1987.01.07

Clinical Study of Operated Lung Cancer ― Associated with Clinical Stage, Resected Rate and Survival Rate― *

昭和50年1月から昭和61年1月までの約11年間に当科に入院した原発性肺癌症例は121例で,これらの症例について病期分類,切除率,生存率等について検討を加えた.内訳は,男性88例,女性33例,年齢は22歳から83歳,平均67.0歳で,70歳代は24例(19.8%),80歳代は2例(0.2%)であった.病期分類はIa期32例(26.4%), Ib期8例(6.6%),II期5例(4.1%), III期45例(37.2%), IV期28例(23.1 %)で, III ・ IV 期を合わせると60%以上を占めていた.このうち切除例は78例(64.5%)で,治癒切除例は57例(73.1%)であり,II期症例までは全例治癒切除可能であったが,III期症例は45例のうち治癒切除は11例のみであった. 121症例の組織型は,腺癌は59例(48.8%),類表皮癌は37例(30.6%),小細胞癌は10例(8.3%),大細胞癌は4例(3.3%)であった.全切除例の50%生存期間は36.4ヵ月であったが,病期別に比較するとIa期の5年生存率は約71%であったのに対して,Ib期,II期,III期の50%生存期間はそれぞれ27.5ヵ月, 31.4ヵ月, 24.4ヵ月と,Ia期の生存率は有意に良好で(p<0.05),治癒切除,非治癒切除に分けて比較すると,50%生存期間はそれぞれ46.6ヵ月, 20.4ヵ月で治癒切除可能例において有意に良好であった(p<0.05).また,当院呼吸器内科で非観血的療法をうけた切除不能94例の50%生存期間は約7.5ヵ月であり,切除例の36.4ヵ月と比べ明らかに不良であった.このように生存率は早期症例ほど良好で,肺癌予後を決定する因子としては病期分類が最も重要であり,さらに小細胞癌,III期肺癌に対しても積極的な拡大根治手術により生存率の向上が期待できるものと考えられる.

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