h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

topimage01

1984.01.03

Mediastinal and Hilar Lymph Node Metastases of Extrathoracic Carcinoma

胸郭外悪性腫瘍剖検330例のうち62例(18.8%)に縦隔・肺門リンパ節転移を認めた.このうち肉眼所見にて肺内転移病巣を認めず,すなわち肺を介したリンパ行性をとらずに直接リンパ行性に縦隔・肺門リンパ節に転移したと考えられる症例が7例あり,これらは肝癌2例,膵癌2例,胃癌,子宮癌,舌癌のそれぞれ1例であった. 病理学的に検索した結果,胸郭外悪性腫瘍の胸郭内リンパ節へのリンパ行性転移は次の3つの経路が考えられた.第1は腹部大動脈周囲のリンパ節より横隔膜リンパ網を介する経路,第2は後腹膜リンパ節より胸管を経由し,逆行性に流入する経路,第3は頸部リンパ節より逆行性に進展する経路であった.

1984.01.02

Clinical Evaluation of Emergency Endoscopy (The Second Report) – With Respect to Hemorrhagic Gastric Ulcer in Aged Patients-

1979年4月より1982年9月までに,急性上部消化管出血にて来院した, 70歳以上の高齢者の緊急内視鏡検査は56例であった.そのうち出血性胃潰瘍は27例であった.それら潰瘍の性状を熊田の分類1)に従い,潰瘍底と予後の関係を,同じ時期に行った69歳以下の30症例と比較検討した.漬痩底に露出血管および新鮮血,凝血を認める高齢者の出血性胃潰瘍は予後不良となることが多く,厳重な管理が必要である.

1984.01.01

Experimental Hypersensitivity Pneumonitis – Histopathological and Immunological study –

過敏性肺臓炎は,肺胞壁に単核細胞,類上皮細胞を伴い壊死を示さない肉芽腫形成を認める,いわゆる間質性肉芽腫性胞隔炎である.発生機序に関して,免疫学的機序の関与が考えられており,体液性および細胞性免疫が発生および経過にどのような役割を示すかが議論され,まだ不明な点が多い. 今回著者は,過敏性肺臓炎の成立過程における免疫学的機序を明らかにする目的で,いくつかの実験を行うことにした.まず実験動物モデルの作製を試み(実験1),次に実験モデルでの肺の経時的組織変化を観察した(実験2).また組織変化での好銀線維の動態(実験3)と免疫組織学的検索,血清抗体価の変動を観察した(実験4).さらに細胞性免疫の関与を検討する一環として,各時期での出現リンパ球の変動をT, B-cellの面から検索した(実験5). 以上の結果をふまえた上で,実験的過敏性肺臓炎の発生メカニズムを考察した. 過敏性肺臓炎の発生には体液性および細胞性免疫の連続的かつ同時発現による組織学的,血清学的変化として現われてくるものと考えられた.すなわち,繰り返し行った経皮的感作により,体液性,細胞性免疫系の両方が,肺を含め全身のリンパ網内系で発動され,吸入気道抗原刺激時までには,肺内のB-, T-cellも増加傾向にあった.同時に血清中には,BαAに対する抗体が存在していた.抗原吸入6時間後からみられた急性期は,吸入に対する非特異的反応の可能性が強く,肺胞壁に沿って起こった抗原抗体反応はimmunecomplexとして存在し,この沈着は24時間目から強くなり始め,胞隔炎形成期には最強 となり,肉芽腫形成期まで到る.この胞隔炎は, immune complexの関与がありⅠⅠⅠ型アレルギーと考えられた.一方,マクロファージの抗原処理を介しての近位リンパ綱内系 でのT-cellの賦活化が行なわれていたと想定すると,胞隔炎がおさまりかけた2週間目頃に, IV型アレルギー反応の結果として肉芽腫が形成されたと考えることができた.

1983.04.12

Malignant Tumor of Ala-Excision and Reconstruction by Two Pedicle Flaps

右鼻翼部に有棘細胞癌の出現した58歳の患者に対し,広範囲切除後scalping foreheadflapとmalar flapによって再建を行い,良好な結果を得た. 1年10カ月経過した現在も再発はみられていない.

1983.04.11

Two Autopsy Cases of Malignant Hemangioendothelioma with Metastasis to the Brain

脳転移を起こした悪性血管内皮腫の2剖検例を報告した. 症例は, 36歳男性,および68歳男性で,腫瘍の原発巣は前者が皮膚,後者は脾臓と考えられた.組織学的に腫瘍は異型性を伴った上皮様細胞が血管腔を形成するように,あるいは充実性に浸潤増殖していた.脳においては,腫瘍転移巣は血腫病巣を主体として認められた. 転移所見ならびに出血機序などについて若干の文献的考察を加えて報告した.

1983.04.10

A Case of Occipital-Vertebral Anastomosis with Anterior Communicating Artery Aneurysm – Its_Developmental Mechanism and Clinical Significance –

51歳男子で前交通動脈瘤に右後頭一椎骨動脈吻合を伴った症例を報告した.外頸(後頭動脈)一椎骨動脈吻合の報告症例を文献から集め,その吻合様式を三群に分けてみた.本例(第二)群でみられた直接の吻合枝は, Lasjauniasらや鈴木らの仮説を考慮に入れると,筋肉枝が後天的要因で発達したものではなく,胎生期血管の一部の遺残の可能性がある.

1983.04.09

Rehabilitation after Radical Mastectomy

98症例の乳癌根治術後の上肢運動訓練による機能回復およびそれを阻害する因子について分析した. 1.術後の肩関節機能は水平位外転,側方拳上,前方挙上 外旋,後方拳上,水平位内転および内旋の順に障害された. 2.術後の上肢運動訓練を行わなかった症例は術前の関節機能に回復せず,また訓練の不十分な群も十分な群に比較し関節機能の回復が遅い(p<0.001).訓練は早期開始が有効である. 3.肩関節機能の障害となる要因の1つは上腕・腋窩部牽引痛と胸壁絞扼痛であり,前者は肩関節機能回復とともに消過したが,胸壁痛は残存した. 4.皮切法や手術創の植皮自体と肩関節機能回復期間とは関係がない. 5.縮小手術術式は他の根治術式よりも回復期間が短い. 6.術後の肩部RI骨スキャンは肩関節機能の回復遅延の場合は集積像を示すが,回復とともに正常となり,障害度の指標となりえた.

1983.04.08

Evaluation of Bone Scintigraphy in Patients with Lung Cancer

原発性肺癌176例に主として99m-TcMDPによる骨シンチグラフィを施行し,肺癌の骨転移を検討した.初回骨シンチグラフィの所見を陽性,疑陽性,陰性に分類したが異常集積部位が多発性かつ集積高度な場合を陽性とし,異常集積部位が単発かつ軽度集積を疑陽性とした. 肺癌176例中骨シンチグラフィ陽性36例(20.4%)疑陽性45例(25.6%)であった. 骨シンチグラフィ陽性36例中29例が日本肺癌学会による臨床病期分類IV期であったがI. II期に2例III期に5例陽性が認められた. 骨シンチグラフィ陽性36例中骨Ⅹ線で転移が確認できたのは23例(63.9%)であり, 疑陽性45例では7例(15.6%)に転移が確認された. 転移が確認された32例中12例(37.5%)が腺癌であった.これを骨シンチグラフィ陽性例で分類しても腺癌が36例中18例(50%)と高率であった.部位では肋骨が最も多く次いで腰椎,胸椎であった. 初回骨シンチグラフィ時に転移が確認されなかった非手術例を追跡すると,骨シンチグラフィ陽性例では再スキャンを行った4例全例に半年以内に新たな異常集積を認めた.疑陽性9例では再スキャンで4例に新たな異常集積を認め骨転移を確認した.陰性例25例では16例(64%)に再スキャンで転移を認めた.これらの症例の予後を検討すると再スキャンで悪化したものは変化を認めないものより不良であった.

← newer entries older entries →