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Online edition:ISSN 2758-089X

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1984.01.07

Study on Bronchogenic Metastasis of Cancer : Clinical and Pathological Observations

癌の経気道的転移の可能性の有無について剖検例を中心に検討した. 1974年1月から,1979年12月までの6年間にわたり川崎医科大学附属病院で剖検された固型性悪性腫瘍247例中肺のみに転移を認めた症例は16例のみであった.この16例の原発臓器は肺4例,肝臓5例,甲状腺2例,子宮,腎臓,下顎,舌,骨の各1例であった. 肝臓,子宮,腎臓,骨の各腫瘍は経気道的に肺へ転移する経路を有していないため除外した.肺,甲状腺,口腔領域の各腫瘍は経気道的に肺へ転移しうる可能性を有していたが,甲状腺癌は気管へ浸潤しておらず,また口腔領域の癌は両側肺に均等に散布された結節影ならびに病変であり,肺癌の1例も辺縁の明瞭な孤立結節であったため血行性転移したものと考えられた.残りの3例はいずれも細気管支肺胞癌であり経気道的に転移したものと考えられた.この3例について臨床的並びに病理学的検討を行い若干の考察を加えて報告した.

1984.01.06

Analysis of 1044 Autopsy Cases Performed at the Kawasaki Medical School Hospital

開院から1982年までの9年間に本学附属病院・病院病理部で行った剖検例1,044体について,取り扱った症例及びその年次推移を全般的に概観整理した.今回特に検討を加えたのは, (1)年次別,剖検数及び剖検率, (2)剖検数の時期的推移, (3)男女別,年齢分布,(4)臨床各科の剖検依頼率及びその推移, (5)主病診断に関わる臓器, (6)主病疾患,(7)剖検例中の悪性腫癌の頻度, (8)潜伏癌の頻度等である.

1984.01.05

Hemoglobinopathy in Japan (I) – Survey in Mitoyo, Kagawa Prefecture-

1980年に香川県三豊地区における等電点電気泳動法によるヘモグロビンのマススクリーニングをおこなった. 7,881名のうち1名のfast-moving異常ヘモグロビン(Hb Takamatsu) と1名のβ-サラセミア・ヘテロ接合体を発見した.異常ヘモグロビンの保因者は,臨床的には異常を示していなかった. β-サラセミア・ヘテロ接合体は軽度の貧血であった. そしてこの例は,マススクリーニングでHbA2の増加に気づきβサラセミアと診断できた最初の例である.

1984.01.04

Primary Care in the Medical School Hospital : Two Years Experience and Implications for the Future

総合診療部が昭和56年4月に診療を開始して2年間が経過したのでその診療内容を分析した.まず外来統計ではcommon diseasesとはどういう疾患であるかを検討したところ,上位10位までの総数は全体の50.7%に相当し,全体の90%をカバーするためにはわずか147疾患を知れば良いことがわかった.また第2年度の小規模な外来統計では,心身医学的疾患の頻度は40.7%にも達することがわかった.病棟診療では心身医学的配慮の必要な患者の頻度が非常に高く,60.3%にも達した. 以上の経験を通して,プライマリ・ケアでは,common diseasesとは意外に種類が少ないこと,患者を病める人間としてとらえる全人的医療が不可欠であることを知り得た. 今後の課題としては,プライマリ・ケアの実行と教育とにIiaison psychiaristの参加やチーム医療が必要であること,また今後プライマリ・ケアの領域全体をカバーするための一層の努力が必要であることを述べた.

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