h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

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1984.01.15

So-called Pregnancy Epulis (Pregnancy Tumor) :A Case Report

妊娠期の妊婦の口腔は一般ではほとんど影響がない刺激でも鋭敏に反応し,その結果として歯肉炎や腫瘍状腫瘤を形成する.今回はその腫瘍状腫瘤としての比較的まれな妊娠性エプーリスの1例を経験したのでエプーリスの語句ならびに分類について考察を加えた.

1984.01.14

Simultaneous Occurrence in Previous Lovers of Intermediate Cell Type Small Cell Carcinoma of the Lung

発症の5年前より8年前迄の約3年間愛人関係にあった男女に,同時期に発症した肺小細胞癌の2例を報告した.細胞診,生検,剖検標本の組織学的検索により中間細胞型肺小細胞癌と診断された.腫瘍のdoubling timeや未分化癌の自然経過より計算すると,腫瘍の発生は彼等が交際していた時期にほぼ一致していた.これらの事実は経気道的転移,あるいは同一物質による発癌の可能性を示唆するものであったが,今回それらを明らかにすることはできなかった.抗癌療法の効果や効果判定法についても検討した.

1984.01.13

Adenosquamous Cell Carcinoma of the Thyroid Gland :- Case Reports –

乳頭癌と扁平上皮癌の混在する甲状腺癌の2例を報告した.乳頭癌に扁平上皮痛が併存した癌の予後は不良である.甲状腺の扁平上皮癌の発生は,大部分腺癌よりの移行であると考えられており,この移行はこれらの病理組織学的所見よりみても,乳頭腺癌から扁平上皮化生をへて生じるのではなく,直接扁平上皮癌へ移行することが示唆された.

1984.01.12

Potentiation of Cytotoxic Effects of Anticancer Drugs on Human Neoplastic Cells by Interferon

種々の化学療法剤の抗腫瘍作用をインターフェロンが増強するかどうかを組織培養法を用いて調べた.用いた細胞はヒト子宮頸癌由来のHeLa細胞,ヒト乳癌由来のMCF-7細胞,正常ヒト線維芽細胞を60Coガンマ線照射で培養内で悪性化したWI-38CT-1細胞である.また,正常ヒト細胞として,正常ヒト胎児肺由来の線維芽細胞(WI-38)を用いた.薬剤の効果は,コロニー形成法で判定した.検討した抗癌剤は,代謝拮抗剤として; cytosinearabinoside (Ara-C), 5-fluorouracil (5-FU), 6-mercaptopurine (6-MP), methotrexate(MTX),抗癌抗生物質として; aclacinomycin (ACM), adriamycin (ADM), actinomycin D, cycloheximide, mitomycin C (MMC), peplomycin (PEP), puromycin,アルキル化剤として; nimustine hydrochloride (ACNU), melphalan,その他の薬剤としてvincristine (VCR), cisplatin (CDDP)などである.インターフェロンはヒト線維芽細胞で産生されたβ型を用いた. HeLa細胞を用いて,インターフェロンとの併用により細胞増殖抑制作用の増強の認められた薬剤は PEP, ACM, ADM, CDDP, 5-FU,ACNUであった.しかし,正常細胞(WI-38)では,インターフェロンとPEPまたは5-FUとの併用効果はなかった.

1984.01.11

Surgery for Complication in Patients on Maintenance Hemodialysis

慢性透析患者の手術について,主に私達の行っている術前,術中,術後の管理について述べたが,開心術をはじめ大手術といえども一般手術患者と同じように安全に行う事が出来,透析患者である事によって手術の適応が左右される必要はないものと考えられた.

1984.01.10

The Structure and Biological Significance of Human Adenovirus Type 2 Chromatin – Isolation and Purification of Chromatin Protein from Adenovirion –

近年,真核細胞の遺伝子発現機序の解析モデルとして研究されているヒト型アデノウイルス2型を使用し,特に真核細胞のヒストン蛋白や動物精子中の小分子量強塩基性蛋白であるプロタミンの様に遺伝子発現制御に直接関与していると思われるウイルスクロマチン蛋白μ, V, VIIを分離した.その中で特にμ蛋白について分離,精製を試み,電気泳動的に純粋な均一蛋白として回収することに成功した.その方法と合わせてμ, V, VII蛋白のホスホセルロースカラムクロマトグラフィー,アルギニン高感度染色法の改良及びμ蛋白の生物学的意義についても論じた.

1984.01.09

Mucocutaneous Lymphnode Syndrome (MCLS) and its complications in department of Pediatrics Kawasaki Medical School

最近の9年4カ月間に川崎医科大学小児科に入院した川崎病101例の合併症について調査し,心電図異常,冠動脈異常,肝障害,胆嚢腫大,関節障害,中枢神経系合併症を認め,若干の知見をえたので文献的考察を行った.

1984.01.08

A Device for Measuring- Miniature End-Plate Potential Frequency

伝達物質の素量的放出の電気的表現である微小終板電位(MEPP)の頻度を自動計測するカウンタを製作した.細胞内電極で記録したMEPPは,神経インパルスに比べてその時間経過が長く,またその大きさが一定でない.さらに不応期がないため,いくつかのMEPPが加重して波形が複雑になる.したがって通常のスパイクカウンタでは,正確なMEPP頻度の測定は困難である.そこで次のような特徴を持つカウンタを考案した.(1)微分回路によってMEPPよりも時間経過の遅い電位変化を除去し,かつ個々のMEPPの電位変化を急峻にする.これによってMEPP計数の際妨害となる種々のノイズをかなり除くことができる. (2)種々の振幅のMEPPや加重した個々のMEPPを確実に計数するために,コンパレ一夕を4個並列に連結し,種々のレベルの電位変化を検出する. (3)各コンパレ一夕出力の立ち上がり及び立ち下がりエッジによってフリップ・フロップ回路の出力をon及びoffにし, 1個のMEPPを1組のon・off出力に対応させる. (4)この出力をカウンタ回路で計数する.以上の回路構成により,少ない誤差で約100/秒までのMEPP頻度を測定することができ,本装置がMEPP頻度を対象にした広範囲の実験に有用であることが明らかになった.

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