h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

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1981.01.09

Changes of HDL-Cholesterol in Hepatobiliary Disorders.

Heparin-Ca法によりHDL-Ch値の測定を85例の肝・胆道疾患患者について行なった.正常人97名の平均値は61.89±10.74mg/dlであり,肝・胆道疾患でHDL-Ch値は低値を示し,正常人との間に有意差(p<0.001)が認められた.HDL-Chはビリルビン,アルカリフォスファターゼ,LCAT活性値,赤血球最大滲透圧抵抗と相関し,トランスアミナーゼとは相関を認めなかった.HDL-Chは肝実質障害では肝障害の程度と,閉塞性黄疸では黄疸の強さと相関する傾向を示し,肝・胆道疾患の診断に有用であると考えられた.

1981.01.08

Experimental Studies on Total Cerebral Ischemia in Dogs -The Effect of Phenytoin on Total Cerebral Ischemia-

抗痙攣撃剤ではあるが虚血脳に対して保護作用を有するとされるフェニトインが,蘇生後脳症に対してどのように作用するかを雑種成犬36頭を用いて検討した.全脳虚血の作成はAortic Occlusion Balloon Catheter法にて8~12分間行ない,脳血流量,皮質脳波,脳酸素消費量,水分・電解質などを虚血前,血流再開8~5分後, 30分後, 60分後,120分後に測定し,これを対照群と比較検討して,以下の結果を得た.1. rCBF;脳虚血後のpost-ischemic hypoperfusionに対し,対照群に比べその減少率を和らげたが,脳血流分布の変化は生じなかった.2. EEG;survival timeの延長がみられ,血流再開後のrecoveryが良好であった.3. CMRO2;血流再開後にみられる低下傾向を改善しなかった.4. Electrolytes, Free amino acids;血流再開直後にみられる血漿K値と総遊離アミノ酸値の増加を抑制した.5. Water content, Na/K;脳組織水分含量に対しては対照群と同様に特に影響を示さなかった.脳組織Na/Kは対照群より低値を示した.以上より,全脳虚血に対するフェニトインの作用としてrCBFの増加,EEGの改善,水・電解質バランスの安定化を示唆する所見が得られ,これらはフェニトインの脳保護作用を示すものと思われた.

1981.01.07

Studies on Endoscopic Injection Sclerotherapy for Esophageal Varices

7例の食道静脈瘤患者に対し,ファイバースコープを用いて栓塞剤(Ethanolamineoleate)を食道静脈瘤の血管内に注入する内視鏡的栓塞療法を試みた.食道静脈瘤の血管内に,栓塞剤を注入可能であった6例は,全例その色調,形態,占居部位等の改善を認めた.このうち2例は剖検により血栓形成を確認した.これら食道静脈瘤血管内に栓塞剤を注入可能であった症例において,発熱は必発であったが, 1日~1.5日で解熱した.15ml以上注入した症例にはへモグロビン尿が認められた. 内視鏡的栓塞療法は患者の苦痛が少なく,適応症例は広く,くりかえし施行でき,手技が容易である利点を持っており,食道静脈瘤出血ならびその予防的な処置としては,最も有効な方法の一つと考えられた.

1981.01.06

Atrophic Change of Gastric Mucosa and GastricSecretion Influenced by Aging -Special Reference to Comparison with Gastric Ulcer and Duodenal Ulcer-

胃潰瘍と十二指腸潰瘍の病態生理学的な特徴を明らかにするために,加齢による胃底腺領域の縮小化と胃液分泌の低下を検討した. 対象は胃潰瘍45例と十二指腸潰瘍36例,計81例であり,各々を年齢により4グループに分けて検索した.胃底腺領域の検討は内視鏡下でコンゴーレッドの黒変部として観察が可能な内視鏡的コンゴーレッド法を用いて行なった.胃液分泌は基礎分泌およびテトラガストリン刺激後分泌胃液の各分画について,胃液分泌量,酸分泌量,alkali labile pepsin (ALP)分泌量, alkali stable pepsin (ASP)分泌量および総ペプシン分泌量を測定して分析した.胃底腺領域は若年胃潰瘍患者の場合でも軽度の縮小がみられたが,加齢によりさらに縮小が進んだ.しかしながら十二指腸潰瘍患者の場合は高齢患者でもなお胃底腺領域の縮小は軽度であった.胃潰瘍患者において,胃液分泌量,酸分泌量およびALP分泌量は加齢により減少したが,十二指腸潰瘍の場合はそれらの減少は軽度であった. ASP分泌量は,高齢者胃潰瘍患者において軽度の低下を示したが,十二指腸漬癌患者では低下がみられなかった.その結果,総ペプシン分泌は胃潰瘍患者では加齢により低下を示したが,十二指腸潰瘍患者の場合は低下がみられなかった.今回の成績からみると,胃潰瘍の一次的病因はむしろ胃粘膜防禦因子の破綻にあり,胃分泌の低下は加齢の影響によると考えられた.また反対に十二指腸潰瘍の場合は加齢の影響とは無関係に胃液分泌が亢進していることが,第一次的な病因であると考えられた.いわゆる消化性潰瘍症を治療する場合これらの病態生理学的な特徴を念頭にいれて行なうことが肝要であると考える.

1981.01.05

Comparison of Lung- Function between Infected and Non-infected States in the Patients with Diffuse Panbronchiolitis.

びまん性汎細気管支炎患者の感染時並びに非感染時と思われる2時点の肺機能検査値を比較検討した. 対象症例は昭和49年4月より55年6月迄に本科に入院したびまん性汎細気管支炎の8例で,女5例,男3例,年齢は50歳より76歳迄,平均有症状期間は16.5年であった.8例平均で,感染時の喀痰量は102ml/日,ESR 69 (1hr), CRP 2.8(+),有熱者5名であったものが,非感染時には喀痰量53, ESR 35, CRP 0.4(+),有熱者0であった.この2時点での肺機能検査値は, 8例平均で,肺活量が1,617より1.968mlへ, 1秒量が622より812mlへ,気道抵抗は8.6より5.5cmH20/L/secへ,PaO2も56.2より67.4mmHg.へと,各々22%, 31%, 36%, 20%の改善を示していた.すなわち,非感染時には感染時よりも肺機能は改善しており,これが患者の呼吸困難の改善と結びついているので,これらの患者の気道感染を治療することは極めて有用である.

1981.01.04

Study on Cranial Computed Tomography in Infants and Children with Central Nervous System Disorders Part 3. Findings of Cranial Computed Tomography in Patients with Epilepsy

2カ月~20歳(平均8歳7カ月)のてんかん患者に対し頭部CTと脳波検査を施行し,以下の結果を得た. 1)運動麻痔を伴う群では伴わない群に比べCT異常率は2倍以上高かった.2)運動麻痔を伴わない群では乳児けい屈発作,Lennox-Gastaut症候群,複雑部分発作を有す患者のCT異常率が高かった.3)精薄群は知能正常群よりCT異常率が高かった.4)発作未抑制群は抑制群よりCT異常率が高かった.5)脳波の基礎波が正常のものは大部分CTも正常であったが,基礎波が異常なものはCT異常を示すものが多く,殊に基礎波に左右差を認めるものは高率にCT異常を示した.6)基礎波に左右差を認めた10例のうち,70%において脳波上の異常側とCT上の異常側とが一致した.逆に, CTで半球性異常を示した11例のうち,64%においてCT上の異常側と脳波上の異常側とが一致した.7)脳波で発作波を認めた82例のうち,発作波出現側とCT異常側とは24%で,発作波の局在とCT異常部位とは16%で一致したにすぎなかった.しかしながら, CTで異常を示した33例に限ってみると, CT異常側と発作波出現側とは61%で, CT異常部位と発作波の局在とは39%で一致した.

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