h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

topimage01

1981.01.03

Study on Serum Concentration of Anticonvulsants given to Children with Convulsive Disorders. Part 3. Serum Concentration of Anticonvulsants given to Severely Mentally and Physically Handicapped Children with the Combination of Epilepsy.

てんかんを合併した重症心身障害児140名について抗てんかん剤Phenobarbital (以下PBと略す), Phenytoin (PHTと略す), Primidone (PRMと略す), Carbamazepine (CBZと略す)の血中濃度をEMIT法により測定し,次の結果を得た. 1.服用中の抗てんかん剤は11種類を数え, 1人平均3.2±1.6剤であった. 2.投与量と血中濃度との関係はPB, PHT, PRMでは5%以下の危険率で有意の相関を認めたが,CBZでは認めなかった. 3.体重とIevel/dose ratioとの関係も2.と同様の結果を得た. 4.血中濃度の度数分布をみると,所謂有効血中濃度の範囲内に入るものはそれぞれ,PBでは55%,PHTでは0%,PRMでは63%,CBZでは52%を占めた. 5. PBを併用していないPRM服用者において, PB血中濃度/PRM投与量・比は1.2±0.5, PB/PRM血中濃度・比は2.5±1.1であった.また併用したPHTはPRMの血中濃度ならびにPRM由来のPBの血中濃度を有意に上昇させる傾向があり,PRM,PHT併用例の中に40μg/ml以上の高PB濃度に達したものが3例含まれていた. 6. PB+α併用群とPB+PRM+α併用群を比較すると後者でPBの血中濃度が有意に上昇し, 40μg/ml以上の高濃度に達した8例はすべて後者に属しており,しかもこの8例にはPHTをも合わせて併用していた.また後者のPB血中濃度/PRM投与量・比は2.6±6.9, PB/PRM血中濃度・比は5.0±2.0であった. 7.上記の4種の抗てんかん剤の血中濃度を発作抑制群と未抑制群について比較した.PBとCBZにおいて両群の間に有意の差を認めた. 8.重症心身障害児では抗てんかん剤による中毒症状が臨床的に把握しがたいので,その血中濃度の測定は中毒濃度の摘発に有用であった.

1981.01.02

An Approach to a Semimicro Method of the Determination of Vitamin B1 (Thiamine) in Blood

従来から行なわれている血液中ビタミンB1定量法は,血液(全血)を1mlから5ml要し,定量操作も繁雑であり,かつ,測定に要する時間が長いという問題点があるため臨床から測定の要望があっても日常臨床化学検査としては敬遠され勝ちな検査の一つである.そこで,定量法の微量化と測定時間の短縮を目標に定量法の改良を試みた.測定原理に関してはチオクローム螢光法とp-アミノアセトフェノン法について吟味検討したが,操作手順は繁雑だが感度の点からチオクローム螢光法を用いることにした.測定操作については,ビタミンB1リン酸エステルのタカジアスターゼによる加水分解,小型カラムの使用,チオクローム抽出溶媒の種類と量およびビタミンB1標準液の作り方などを吟味し,血液中ビタミンB1の定量が全血0.1mlで測定できる術式に組み上げた.その結果,本法における同一血液による10本立重々測定でも変動係数CV=4.87%と日常検査法として使用し得るものとなった.勿論,測定に要する時間は,従来法の約70%に短縮できたことは論をまたない.なお,本法による健康人男女(20名)の血液ではx±2SDは3.8±1.3μg/dlであった.

1981.01.01

Studies on Abnormal Hemoglobin VII : An ImprovedPhosphocellulose Column Chromatography for the Separation of Peptides in Tryptic Hydrolysates of the α and the β Chain of Abnormal Hemoglobin

異常血色素のトリプシン消化物からの異常ペプチドの分離精製法としてRibonucleaseAの構造解析に使用されていたホスホセルロース(P.セルロース)カラムクロマト法を改良し,推奨しうる良い方法を確立した.即ち,0.02M酢酸アンモニウム緩衝液(pH3.90)で平衡化したP.セルロースをカラム(0.8×40cm)に充填し,その上端にトリプシン消化物15mgを重層し吸着させ,0.02M酢酸アンモニウム(pH3.90 )と0.2M酢酸アンモニウム緩衝液(pH5.06)を組合せてこしらえたアンモニウムイオンの直線勾配液を用い流速9ml/hrで展開するとペプチドはそれぞれの成分に分離した.溶出液中のペプチドの有無は波長225nmの吸光度を連続測定する方法により調べた.本法の特徴はきびしい条件規制もなく容易な操作で従来の濾紙フィンガープリント法では分離不充分であった中性分画(αTp-1, 4, 9, 11およびβTp-1, ll, 13)がきれいな単一分画として分取出来ることである.最近当教室で検出したHb Matsue-Oki (α75 Asp→Asn), Hb Ube-2 (α68 Asn→Asp)およびHb Takamatsu (β120 Lys→Gln)を例にし,本法の構造解析への有用性を論じた.

1980.04.09

A Clinical Cease of Dyssynergia Cerebellaris Myoclonica (Hunt)

31歳の男性が,けいれん発作と身体特に手のふるえを主訴に入院した. CTスキャンを含めた神経学的検査所見と,ミオクローヌス,けいれんおよび小脳性失調症などを呈する臨床所見より, Ramsay Hunt症候群が最も考えられた.脳波と筋電図の同時記録において,棘波とミオクローヌスによる筋放電との間に一定の相関関係はみられなかった.体性感覚誘発電位で異常高振幅電位を認めず,またlong loop reflexすなわちC-responseの出現を認めなかったことよりreticular loop reflex myoclonusと思われた.最終的に本症例を劣性遺伝を示す変性型ミオクローヌスてんかんと診断した.

1980.04.08

A Case Report of Epidermoid Carcinoma of the Lung Considered Recurrent Pneumonia in Kartagener’s Syndrome

57歳男子の難治性閉塞性肺炎を伴った肺の扁平上皮癌の症例を報告した. 患者はheavy smokerであり,反復性肺炎のために入院してきた.右胸心,副鼻腔炎があったので,反復性肺炎はKartagener症候群の拡張気管支に発症しているものと思われた.各種抗菌剤を用いるも肺炎が治癒しなかったので基礎疾患を精査したところ,左中幹気管支の管腔内に腫瘤が発見された.腫瘤は所属リンパ節転移を伴うのみの偏平上皮癌であったので,左肺摘出術が施行された,本症例における基礎疾患診断の困難さ,並びに,気道障害時の易感染性 難治性について考察した.

1980.04.07

Hb Mizushi [α2 75Asp→Gly β2] -A New Hemoglobin Variant discovered in Japan-

高松地区での異常ヘモグロビンスクリーニング検査中, 1979年5月にslow movingの異常ヘモグロビンを発見した.一次構造解析の結果,このヘモグロビンはα鎖の75番目のアスパラギン酸がグリシンに置換されたこれまでに記載されたことのない新しい異常ヘモグロビンであることを確定し,発端著の居住地名に因んでHb Mizushiと命名した.患者は44歳の主婦で, 1979年5月に子宮筋腫の摘出術を受けるため高松市の香川県立中央病院に入院したが,血液学的検査においては全く正常であり,溶血傾向試験も陰性であった.家族調査を行なったところ,発端者の2人の娘のうち1人(18歳)が,母親と同様にHb Mizushiのヘテロ接合体であることが確認された.

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