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Online edition:ISSN 2758-089X

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1997.02.07

A case of radiation pneumonitis associated with high serum KL-6 levels *

 症例は65歳男性. 1993年1月,咳,咽頭部の痛のため近医を受診,胸部X線写真を撮影したところ,結節陰影が認められたため呼吸器内科に入院となった.入院後,病理組織学的に扁平上皮癌と診断され, CDDP, VDS, MMCの経静脈的投与と,その後の肺癌原発巣に対する放射線療法(55Gy)を施行し, Partial response を得た.しかし,退院後25日目から,発熱,呼吸困難,両側全肺野にわたるスリガラス状陰影を認め,放射線肺臓炎と診断され,再度入院となった.入院後メチルプレドニソロンによるパルス療法,免疫抑制剤の投与が行われたが,呼吸状態は増悪し,死亡した.本症例において肺Ⅱ型上皮から主に産生,分泌されると考えられている糖蛋白抗原であるKL-6が高値を示し,さらに臨床症状,他の検査データに一致して変動した.         (平成9年9月30日受理)

1997.02.06

A case report of leiomyosarcoma of the neck: Diagnosis and treatment *

 頭頸部原発の稀な平滑筋肉腫を経験したので,文献的考察を交えて報告する. 症例は51歳女性で,右頸部及び上腕部の疼痛を主訴に来院した.諸検査の結果,右上頸部から頭蓋底に及ぶ腫瘤が発見され,病理学的に平滑筋肉腫と診断された. 当初は外科的治療が検討されたが, MRI検査で脊柱管内への広範な浸潤が指摘されたため手術不能と診断され,放射線治療を軸とする複合療法(放治,動注,温熱療法)で治療された. 治療の結果,腫瘍は当初の腫瘍容積の45%にまで縮小し,腫瘍の縮小に伴い疼痛を初めとする症状の緩解が得られた.現在治療後2年7ヵ月が経過しているが,腫瘍は治療終了時の大きさにとどまり,形態や画像診断上の特徴にも変化なく,遠隔転移も見られない. 患者はQOL上も問題なく主婦として支障なく日常生活を営んでいる.                               (平成9年6月9日受理)

1997.02.05

A fundamental study of radiosensitizers for application in clinical radiotherapy *

 すでに他の薬効で安全性が確認され,臨床に使用されており,放射線増感効果が報告されているアシクロビル,インドメタシン,アロプリノール,リボフラビンの4剤について,実験腫瘍に対する放射線増感効果(その薬剤自身には細胞致死効果はないが,放射線と共に用いられた時,放射線の細胞致死効果を増強すること)と骨髄障害や皮膚反応を指標とした正常組織に対する障害作用の影響の有無を調べるため,その両面から基礎的に検討を行った.シリアンゴールデンハムスターに移植したグリーンズメラノーマを用いた実験で,上記の4剤のうち,照射前30分前後に投与されたインドメタシンが対照との比較で有意に増感効果を示した(10Gy照射群p<0.05).しかし骨髄に,対しては有意な増感効果を認めなかった.また皮膚反応については15Gy照射群では有意差を認めなかったが(p=0.67),10Gy照射群で有意差を認めた(p<0.05).ただし,皮膚反応(発赤)は軽度なものであり,許容可能な程度であった.インドメタシンは既に臨床において抗炎症剤として使用されており,放射線増感剤として放射線治療に併用され得る可能性が示唆された.                               (平成9年9月5日受理)

1997.02.04

Ultrostructural and immunohistochemical observation of plasma cells of the human labial glands *

 ヒトロ唇腺の分泌部周囲に分布する形質細胞を,超微形態的および免疫組織化学的に観察した.大多数の漿粘液細胞と少数の漿液細胞からなる口唇腺の分泌部周囲の結合組織には,自由細胞として形質細胞が多数存在する.形質細胞の細胞質は豊富な粗面小胞体で満たされ,粗面小胞体は一般に100 nm 以上に内腔が拡張するものが多い.ラッセル小体を有する形質細胞も少数分布する.形質細胞の細胞質内には,2種類の特異な封入体が観察された.すなわち双円筒状を呈するリボソーム層板複合体と,拡張した粗面小胞体の内腔に出現する槽内結晶封入体である.分泌部周囲の結合組織中の大多数の形質細胞はlgAに対して強い陽性を呈し,少数がlgG陽性を呈する.ラッセル小体を含有する形質細胞のみlgMに陽性である.lgAならびにlgG陽性反応は,形質細胞以外の分泌部の粘液産生細胞の一部や,腺房内腔および導管特に介在部上皮細胞にも認められ,一方,lgM陽性反応は小葉内結合組織中にのみ広くびまん性に観察された.唾液に含まれる分泌型lgAと口唇腺形質細胞との関連性ならびにlgA,lgGおよびlgMの口腔免疫機能における役割を考察した.                               (平成9年8月15日受理)

1997.02.03

results of therapy for hepatocellular carcinoma between 1982 and 1994 in gastrtenterology Division I

 1982年から1994年までの13年間に川崎医科大学消化器(I)内科で治療した肝細胞癌(HCC) 461例について治療法別の予後を検討した.肝動脈塞栓術(TAE) 312例の1,3,5年生存率は各々63.3%,20.6%および8%であった.エタノール注入療法(PEI) 126例では各々74.9%,35.3%および8%であった.肝切除(OPE) 23例においては78.3%,50.8%,41.6%であった.同一患者における施行回数はTAEで1-5回(平均1.6回),PEIでは1-22回(平均5.6回)であった.1年以内にTAEまたはPEIを反復した割合はそれぞれ75.0%,78.6%であった.肝切除で5年以上生存したものは23例中10例(43.5%)あったが無再発生存例は4例(17.4%)であった.         (平成9年7月17日受理)

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