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Online edition:ISSN 2758-089X

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1997.02.02

Azathioprine for long-term maintenance of remission in chronic hepatitis C *

 C型慢性肝炎40例においてAzathioprine(Aza)1日50mgの連日投与を行った. ALT値による肝機能改善率は著効6例(15%),有効16例(40%)で,併せて55%(22/40)であった,副作用は急性膵炎1例を含む消化器症状が多く,12例(30%)認めた,白血球数や血小板数はやや低下するものもみられたが,投与中止となった例はなかった.最長投与継続例は10年3ヵ月を越えているが発癌は認めていないIFN無効C型慢性肝炎の後療法として,AzaはALT安定化に有用であると思われた.     (平成9年6月21日受理)

1997.02.01

Vascularized bone graft with external fixation for bone defect and non-union following fracture of the lower extremities *

 下肢骨折に伴う骨欠損・偽関節に対し,血管柄付骨移植術と創外固定術の併用療法を施行した結果について報告する.症例は10症例(男性9例,女性1例)であった.年齢は19~67歳(平均46歳),受傷部位は脛腓骨8例,大腿骨2例で,開放骨折が9例を占めていた.移植骨は腓骨7例,腸骨2例,腓骨と腸骨の併用が1例であった.固定は全例に創外固定器(Ilizarov 7例, Hoffmann 3例)を用いた.術後1.5ヵ月の1症例を除く9症例の術後成績は,8例で一次骨癒合が得られ,1例は骨癒合が得られていない.骨癒合は2~7ヵ月(平均4.4ヵ月)で得られ,装具なしでの全荷重歩行の時期は3~13ヵ月(平均7.7ヵ月)であった.                                (平成9年6月11日受理)

1997.01.07

Speculations on medicine in the Republic of Palau *

 1993年11月12日に独立したばかりのパラオ共和国はミクロネシアの一部で,西カイロ諸島の最西にあり,大小様々な約200余りの島から成っている.最近同国の医療状況を視察できる機会が得られたので報告する.独立したとはいえ発展途上にあり,医療器材,薬などが不足した状態である.現在の人口は約18,000人で17人の医師,約150人の看護婦が医療に従事し,数的には不足していないと言えるが,専門医,専門の看護婦は不足している.病理診断は自国ではできずハワイ大学に送り診断を行っている.国立病院では厚生大臣,院長の推薦により医師免許を発行していただき,約26人の呼吸器疾患患者を診察した.約21人は気管支喘息の病態を持っていたが,肺機能検査の設備はなく確定診断はできなかった.日本と比較して癩,淋病,アメーバ感染症,A型肝炎などがこの国では多いようである.また, 1988年に集中してデング熱が発症していた.しかし十分な検査,診断がなされていない事もあり,疾患の詳細は不明と言えるであろう.今後この国の開発は如何に自然を保存しながら行うかが重要な問題である.パラオ共和国の医療状況を中心に報告したい.                               (平成9年3月21日受理)

1997.01.06

A case of monolocular cystic renal cell carcinoma *

 画像上,良性病変との鑑別が困難であった嚢胞状腎細胞癌の1例を経験したので報告する.症例は37歳女性で,腹部超音波検査で左腎腫瘤を指摘され,放射線科へ精査目的で紹介された.CTでは内腔に隔壁を有する嚢胞状腫瘤として描出され,その被膜壁の厚さは不均等で一部に造影効果を認めた. MRIで壁の造影効果は不明瞭で,血管造影ではhypovas-cular tumorであり,動脈は腫瘤により圧排され,一部に広狭不整も認められた.画像からは良性,悪性の鑑別が困難であったため,治療は手術が選択された.病理診断では色素嫌性細胞からなり,著明な壊死性嚢胞化を伴った単房性嚢胞状腎細胞癌であった.腎の嚢胞性腫瘤で,被膜壁の不均等な肥厚や造影効果のある部位が存在する場合,腎細胞癌を考慮すべきと考えた.                      (平成9年4月19日受理)

1997.01.05

Induction of cell death by cis-diamminedichlorplatinum (II) in a human testicular seminoma cell line (JKT-1)*

 ヒトセミノーマ細胞株をcis-diamminedichloroplatinum (II) (以下CDDPと省略)で処理して,その細胞死の様子を観察した. CDDP処理により細胞は濃度依存性に速やかに数の低下が認められ, CDDPのセミノーマ細胞に対する強い抗腫瘍作用が確認された.形態的には腫瘍細胞核の断片化が高濃度群により強く認められた.またCDDP処理時の細胞周期の解析では細胞はS期,続いてG2/M期に集積した後に約12時間後からhypoploidの部分が増えており,この部分がアポトーシスに陥った細胞であろうと考えられた.最終的に電気泳動で経時的に発現するDNAの断片化が証明されたため,セミノーマ細胞はCDDP投与によりアポトーシスが誘導されて死んでいくことが証明された.                               (平成9年5月24日受理)

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