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Online edition:ISSN 2758-089X

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1993.02.03

Assessment of Bone Strength in the Calcaneus Measured by Low Frequency Ultrasound *

Achilles ultrasound bone densitometer (以下Achilles)は,低周波超音波を用いて骨強度を評価する測定装置であり,従来の骨粗鬆症の診断法として頻用されている二重工ネルギーX線吸収測定法(DXA)と異なり,放射線被曝がなく,安全かつ簡便に行える測定装置として注目されている.このたび,医療器具として厚生省より認可を受け,骨粗鬆症に対する新しい診断法として期待されているAchillesの臨床的有用性について検討を行ったので報告する.                      (平成5年4月5日採用)

1993.02.02

Laser Therapy for Gynecologic Diseases *

川崎医科大学産婦人科におけるレーザー治療の現況について報告する.対象は1990年12月より1992年11月までの24ヵ月間に,婦人科外来および入院中にNd-YAGレーザーを用いて治療を行った59症例で,外来治療が30例,入院治療が29例であった.治療対象疾患は子宮頸部異型上皮29例,子宮頸部上皮内癌8例,尖圭コンジローマ6例であった.レーザー治療を行うために用いた麻酔は静脈麻酔が34例, Saddle block を含む脊椎麻酔が18例,全身麻酔が7例であった.手術にともなう出血量は極めて少量であった.術後合併症としては,子宮頸部円錐切除後に少量の出血が持続し,開腹手術を施行した症例が1例,静脈麻酔による呼吸抑制が1例認められた以外,特にレーザーによる重篤な合併症は認められなかった.                           (平成5年3月23日採用)

1993.02.01

A Statistical Study of 963 Patients in the Department of Orthodontics of Kawasaki Medical School Hospital *

1985年11月から1991年11月までの6年間に川崎医科大学附属病院矯正歯科を受診した患者963名の実態について調査を行い,次のような結果を得た.1)口唇裂,顎裂,口蓋裂を伴った患者(CLP群)は全体の32.2%を占め,他の医療機関と比較してきわめて高い値を示した.2)口唇裂,顎裂,口蓋裂を伴わない患者(non-CLP群)では男性:女性=1:1.4と女性が多く, CLP群では男性:女性= 1.3:1と男性が多かった.3)開設当初の4年間は新患数は年々増加したが,5年目に初めて減少した.しかし6年目には再び増加に転じた.4)初診時年齢の分布から, non-CLP群では混合歯列期である6 -12歳に受診した患者が61.9%を占めた.CLP群では形成手術前に顎発育を誘導していることから新生児の受診が21.3%を占めた.5)患者の地域分布をみるとnon-CLP群では岡山県西部からの患者が62.3%を占め,CLP群では岡山県内の各地ならびに中国・四国地区からの患者が受診していた.6)紹介機関の内訳をみると, non-CLP群では一般臨床医からの紹介が50.9%を占め,院内からの紹介は26.5%であった.CLP群では92.6%が当病院の形成外科からの紹介で,全患者が他の医療機関または院内他科から紹介されていた.    (平成5年3月12日採用)

1993.01.08

Manic Psychosis with Hysteria ― A Case Report ― *

躁うつ病の躁病期にヒステリー症状を呈した症例を報告した.症例は28歳の女性で24歳より躁うつ病でK病院に2年間の入院歴がある.K病院入院中婦人科的手術を要する状態になり当大学へ転院となる.入院中爽快気分,活動の亢進,多弁,観念奔逸といった精神症状だけでなく失神発作を繰り返し,病状の安定と共に失神発作も消失していった.10ヵ月の外来通院後,躁状態が再燃し再入院となり再び入院中失神発作を繰り返し病状の安定と共に消失していった.躁うつ病とヒステリーとの関連は古くから論ぜられており,下田は執着気質者がうつ病を発症する際の機制は「疾病への逃避反応」と説明し,ヒステリーの心理機制と関連があることが示唆され,木村はうつ病者と躁病者に「役割交換の世界における秩序志向性」という面での共通性があることを指摘しており,うつ病者にみられるヒステリーは同様に躁病者にもみられることと思われた.    (平成5年1月19日採用)

1993.01.07

Statistical Review of Cesarean Section Cases in Kawasaki Medical School Hospital *

川崎医科大学産婦人科における昭和49年1月より平成4年12月までの帝王切開症例について臨床的検討を行った.帝王切開症例は378例であり,全分娩数4082例の9.3%をしめていた.帝王切開術施行の適応としては胎児仮死(22.4%)が最も多く,児頭骨盤不均衡(CPD)・狭骨盤(21.1%),既往帝王切開(18.7%)の順であった.分娩監視装置による胎児心拍モニタリングが積極的に行われるようになってから,出生時のApgar score は著しく改善されるようになってきたが,その反面胎児仮死が適応の帝王切開率が上昇した. (平成5年1月7日採用)

1993.01.06

Ophthalmic Surgery of Infancy and Childhood in Kawasaki Medical School Hospital *

当院に於ける, 1980年1月から1989年3月までの10年間の小児眼科疾患の手術統計についてその概要を明らかにした.年齢は0歳から15歳まで,症例数は1184症例で男子531例,女子653例を対象とした.1年間の症例数は約118症例になり,男女差はなかった.年齢については6歳を中心に正規分布を示していた.全症例のうち斜視が過半数を占め(662症例,60%)ついで,内反症,眼瞼下垂,先天性白内障であった.部位別では,外眼部疾患が全体の80%を占め,斜視,眼瞼の形態異常がほとんどを占めていた.また,どの部位についても先天性異常が大半を占め,次いで外傷が多かった.手術時期については先天性白内障,眼瞼下垂など視機能発達の問題となる疾患は乳幼児期の早期治療の対象になっているが,網膜剥離は学童期に集中していた.以上,これらは一般的統計と大差はなかったが,斜視に於けるボツリヌス毒素療法など非観血的な外来治療に移っていることなどから,今後急速な変遷を示すと思われる.                                  (平成5年3月4日採用)

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