h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

topimage01

1993.02.09

A Case of Distal Myopathy with Rimmed Vacuoles ― With Special Reference to Neurogenic Changes ― *

30歳,男性.25歳頃から足先に力が入りにくくなり,27歳頃から走りにくくなり,足の背屈が困難となった.その後,歩行障害が増強してきたため入院となった.入院時両側前脛骨筋,大腿屈筋内転筋群,傍脊柱筋に,筋萎縮と右側優位の筋力低下を中等度認めた.筋逸脱酵素は, CK 502 IU/1, アルドラーゼ9.6 U/1, ミオグロビン140 ng/ml と上昇を認めた.筋電図では,筋原性変化と神経原性変化の混在した所見で,骨格筋XR-CTでは筋力低下部位に一致して筋萎縮像を認めた.筋生検では,筋線維の大小不同や萎縮筋線維のrimmed vacuoleなどの筋原性変化に加え,小径角化線維,群性萎縮などの神経原性変化がみられた.以上の所見から空胞変性を伴う遠位型ミオパチー(DMRV)と診断したが本症例では神経原性変化の関与が強く考えられ, DMRVの発症機序,症状の進行に神経原性変化の関与している可能性が考えられた.            (平成5年5月10日採用)

1993.02.08

A Case of Paget’s Disease of the Bone and Its Treatment with EHDP *

骨Paget病はアジアやアフリカでは極めて稀であり,日本では1989年まででも150~200例の報告に過ぎないと推定されている.本報告で,我々はEHDP (etidronate disodium)が大変有効であった症例を経験したので報告する.症例は45歳男性で,血清アルカリフォスファターゼ(AIP)上昇のため入院した. AlPのアイソザイムは骨タイプで,尿中ハイドロキシブロリンも著増していた. 99mTcを用いた骨シンチでは多骨性にHot spot が認められた.これらの部位に一致して単純X-Pでも骨の肥厚や硬化現象などが認められた. 1992年12月5日よりEHDP投与を当初の55日間は200mg/day,続いて400 mg/day を45日間投与した.投与終了時,血清AIPは309 1U/1 から167 1U/1 に,尿ハイドロキシブロリンは763μmol/dayより288μmol/dayに減少した.99mTcの骨とり込みも大幅に改善した. EHDPの副作用と思われるものは認めなかった.(平成5年4月13日採用)

1993.02.07

A Case of Diabetic Hyperlipoproteinemia with Apo-E 2/2 Phenotype *

Ⅲ型高脂血症はアポリポ蛋白E 2/2 ホモ接合型と関連して発症することが知られている.アポE 2/2 ホモ接合型は,日本では人口の0.25 %にみられ,この内のごく一部にⅢ型高脂血症が発症する.我々は47歳女性で,著しい高脂血症(総コレステロール334 mg/dl , トリグリセリド1,441 mg/dl)と糖尿病を合併する例を経験した.この例はアポE 2/2 ホモ型であることが証明された.アガロースゲル電気泳動による分析では,治療(食事療法)によってⅢ型高脂血症からⅣ型高脂血症へと変化した.これらのことから,アポE 2/2 ホモ接合型であることのみでⅢ型高脂血症を発症するのではないこと,糖尿病はその発症または促進因子の一つになることが示唆された.          (平成5年3月26日採用)

1993.02.07

Brief Note

1993.02.06

Effect of a Ca2+ Channel Agonist and Antagonists on Endocochlear DC Potential and Cochlear Microphonics in the Guinea Pig *

Ca2+ channel agonistであるBayK-8644とCa2+ channel blockerであるニフェジピン,ベラパミル,ディルティアゼムおよびフルナリジンのEndocochlear DC potential(EP),Cochlear microphonics (CM)に対する作用を検討した.ニフェジピン30μg/mlの外リンパ腔潅流により低下したEP, CMに対し同濃度のBayK-8644を再潅流した場合,EPの低下は抑制されるか,または部分的に回復を認め,CMの低下もまた抑制され,数%の回復を示した例も認めた.これより血管条辺縁細胞および有毛細胞のCa2+チャンネルはCa2+拮抗剤による抑制に対して可逆性を有することが確認された.また, Ca2+拮抗剤潅流後にanoxia負荷を行ったが,EPのnegative component は消失もしくは著明に減弱した.低濃度の灌流ではEPが正常の場合でもCMは減弱し,コルチ器のCa2+拮抗剤による抑制は血管条以上に高度であった.血管条辺縁細胞および有毛細胞内Ca2+濃度の変化はEP, CMに強く反映され,蝸牛電気現象に対するCa2+の重要性が示唆された.(平成5年5月25日採用)

1993.02.05

The Effect of Palmitoyl Carnitine on the Cochlear Potentials *

Na+-K+ポンプ阻害剤のPalmitoyl-DL-Carnitineを用いて,そのEndocochlear DC potential (EP)とCochlear Microphonics (CM)に対する作用を検討した.1×10-4M Palmitoyl Carnitine の外リンパ灌流によりEPは+8~+1 6 mV に ,CMは30~39%まで低下した. ouabain灌流時のEPおよびCMの時間的変化とを比較するとEPについてはほぼ同様の経過をたどるが,CM振幅はある程度まで保たれており, Palmitoyl Carnitineの有毛細胞に対する直接効果が示唆された.Palmitoyl Carnitineはもともとproteinkinase C (PKC)の作用を抑制する薬物であり,そのEPに対する作用はNa+-K+ポンプの抑制を介するばかりでなくPKCへの影響も考えられたため, PKCの選択的抑制物質である1-(5 - isoquinolinesulfonyl) -2- methylpiperazine dihydrochloride (H-7)ならびにPKC活性物質Phorbol 12-Myristate, 13-Acetate (PMA)の外リンパ腔投与を試みた. H-7はPalmitoyl Carnitine よりも作用は弱いものの, PKCを阻害することによってEPの低下をもたらしたと判断され, PKCが血管条Na+-K+ポンプに調節的に働いている可能性が示唆された.                     (平成5年5月25日採用)

1993.02.04

Decreased CD4+CD45RA+ Lymphocytes in Peripheral Blood of SLE Patients *

膠原病の病態としてT細胞の異常が示唆され, SLEにおいては末梢血CD4+CD45RA+細胞の低下が報告されている.私共は,この細胞の低下が,リンパ球そのものの異常によるのか,あるいは,他の外的因子が関与して起こるのかを検討した.まず,血清因子を除外するために,リンパ球を分離,培養し,培養の前後でCD4+CD45RA+細胞を測定した.更に, SLE患者血清がリンパ球に及ぼす影響をリンパ球のカルシウムイオン取込みの変化によって検討した. SLE患者では, CD4+CD45RA+リンパ球は,末梢血より分離直後健常人より低下していたが,分離1週間後には健常人と同程度まで回復した.また,患者血清を正常リンパ球に反応させると,リンパ球のカルシウムイオン取込みは,健常人血清を反応させた場合より増加した.これらの結果から, SLEでは患者の血液中で,リンパ球が何らかの持続的刺激を受けている可能性が強く示唆された.     (平成5年4月27日採用)

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