h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

topimage01

1992.02.08

A Case of Malignant Melanoma of the Rectum *

80歳女性の直腸肛門部に発生した悪性黒色腫を報告した.1年間の下血を主訴として来院,直腸指診で,肛門縁に接する直腸左側後壁に潰瘍を伴う腫瘤を触知した.易出血性で,生検で,悪性黒色腫と診断され胸部X線では,両側肺野にわたり0.5~1.5cmの多発陰影を認めた.出血が持続するため, Miles operation を施行.経過良好で術後31日目に近医転院となった.両側肺野の転移巣は不変であり,術後化学療法は,施行しなかった. (平成4年2月24日採用)

1992.02.07

Postnatal Development of Cochlear Hair Cells in Mutant Golden Hamster *

内耳奇形ハムスターを使用し,生直後から,蝸牛有毛細胞が成熟する14日目以降までを,経日的に走査電子顕微鏡で観察した.生直後から生後2日目までは,内有毛細胞,外有毛細胞第1列,2列,3列ともに,著明な回転が見られたが,生後3日目以降は,ほぼ成熟状態と同様に蝸牛外有毛細胞第1列の回転のみが著明で,内有毛細胞,外有毛細胞第2列,3列の回転は軽度となった.これは支持細胞等の成熟機転と密接な関連があることを強く示唆するものである.                     (平成4年6月22日採用)

1992.02.06

The Localization of Carbonic Anhydrase I , II in Normal Human Skin *

Carbonic Anhydrase (CA) I , IIの正常皮膚組織における局在を,蛍光抗体直接法,酵素化学的検出法,免疫組織化学的in situハイブリダイゼイション法を用いて,免疫学的抗原性,酵素活性, m-RNAの存在を検討した.その結果, CA IIはエクリン汗腺細胞に多く認められた.また,表皮細胞にも多く存在し,その他にも線維芽細胞様細胞,血管壁に存在した.さらに,主に赤血球中に存在するとされているCAIも,皮膚及びその付属器に微量ながら確認された.CAの局在は分泌細胞を中心に各臓器にわたって証明されているが皮膚においてはほとんど注目されていなかった.また,CAは亜鉛を含む含金属酵素で膠原病患者の血中に抗CA抗体が証明されたことにより,皮膚疾患への関与も考えられる.CAの皮膚における機能等の詳細は不明であるが,今後検討していきたい.        (平成4年6月11日採用)

1992.02.05

Effects of Procaine as Compared with those of Dimethyl Sulfoxide on the Endocochlear DC Potential in Guinea-Pig *

ProcaineとDimethyl sulfoxide (DMSO)のEndocochlear DC potential (EP)に対する作用を比較検討した. Procaineは0.5w/v %以上において, DMSOと同様にEPを一過性に上昇させた後低下させた.EPのNegative component に対する影響を調べるために, anoxia負荷を加えてProcaineとDMSOとの外リンパ灌流を併用し,EPの変化を観察した.両者共にNegative componentが減少したことからEPの一過性上昇は基底膜の電気抵抗が増大したことによると,考えられた.ただ負電位からの回復がDMSOよりProcaineが大きく, ProcaineがPositive componentを増加させたことが示唆された.(平成4年6月3日採用)

1992.02.04

Adenolipoma of the Breast : Report of a Case and Review of Literature *

乳腺のadenolipomaは,まれな良性腫瘍で,被膜を有する成熟した脂肪織とその内部に散在する異型性のない乳管からなる病変である.その名称や組織発生に関しては諸説あり,一致した見解はない.現在までのところ,本邦での本症の報告は10例に満たず,症例の集積が待たれている.今回我々は38歳女性の右乳房内下領域に見られたadenolipomaの1例を経験したので文献的考察を加え報告した.          (平成4年5月12日採用)

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