h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

topimage01

1992.02.03

A Method for Isolation of Guinea Pig Cardiac Myocytes and Their Electrical Activities *

単離心筋細胞は様々な実験に用いられているが詳細な作成方法について記載したものは少ない.そこで,単離心筋細胞の作成手技について述べ,さらに得られた細胞の活動電位・短縮量を測定し,得られた細胞が電気生理学的実験の対象として適当か否かを検討した.Ⅰ.単離細胞の採取率に関与する因子[方 法] 単離された細胞は,杆状(rod shape)を示し明瞭な横紋が認められた.一部は球状(round shape)で凹凸のある不規則な形を示した.横紋の明瞭な杆状の細胞が全細胞の中に占める割合を採取率とし,採取率を向上させるためのいくつかの条件を検討した.[成 績]①灌流液の温度は,37℃で最も採取率が高かった.②灌流液のpHは7.4が至適であった.③collagenase溶液の濃度と灌流時間は, Yakult社製collagenaseを40U/mlの濃度で3~5分間が適当であった.④albumin添加の有無では差はなかった.⑤モルモットの週齡では差はなかった.⑥Milli-Qで作成した18MΩ以上の水を利用すると採取率は向上し一定した.Ⅱ . 単離心筋細胞の性質[方 法]活動電位は細胞内微小電極から1 Hzで通電刺激し導出し,短縮は細胞外刺激を与え,細胞端の動きを顕微鏡ビデオカメラで分析した.[成 績]静止電位は-86mV,オーバーシュートは+30mV,活動電位の頂点からamplitudeが25%に減衰した時点の活動電位幅は平均280msecであり,自由短縮中の短縮率は8%であった.[総 括] 心筋細胞の単離法の手技について詳細に述べた.この際,より高い採取率を得ることを目的として,採取率に影響する因子について検討した.その結果,灌流液は温度が37℃でpHが7.4において採取率が高かった.しかしcollagenase溶液のalbumin添加や,モルモットの週齢が採取率に及ぼす影響は少なかった.その他の因子では水の純度の影響が大きかった.採取されたrod-shaped cellの活動電位・短縮量はともに細胞集団の試料や単離細胞について知られている値と同様であり,従って電気生理学的実験の対象として適当であることが判明した.              (平成4年5月7日採用)

1992.02.02

Dynamic Study of 201-Thallium Chloride and 99m-Technetium Pertechnetate in Patients with Thyroid Nodules : A New Aspect for Differential Diagnosis *

現在,甲状腺の腫瘍性病変探知の目的で201-T1 CI および99m-Tcを用いた甲状腺イメージングがそれぞれ単独にあるいは両者を併用して行われているが,その良・悪性の鑑別は尚困難である.その解決のために組織型の明らかな甲状腺結節を有する59例について,集積機序の異なる両放射性医薬品の集積動態を時間・放射能曲線を用いて検討した. 201-T1cIに関して乳頭癌では正常甲状腺組織,濾胞腺腫および腺腫様結節のそれに比べ集積が低値で,クリアランスが遅延することが認められた.一方, 99m-Tcに関しては結節の組織型の如何にかかわらず初期集積と蓄積率に差は認められなかった. (平成4年2月28日採用)

1992.02.01

US-guided Liver Biopsy without A Lateral Attachable Apparatus for Needle Guidance *

肝生検あるいは肝腫瘍に対するエタノール注入療法(PEIT)に際してアダプターを用いず穿刺する方法を考案し検討した.穿刺用アダプターを用いない方法では1.穿刺方向が多方向に自由に調整しうる.2.プローブの微調整により穿刺針の確認が確実になしうる.3.穿刺したまま呼吸させることが可能でエタノールの反復注入ができる等の利点がある.アダプターを装着した場合は穿刺角度が決まっているため,太い血管,胆嚢,肺,腸管が穿刺ルート上にある場合は穿刺が不可能となる.アダプターなしで行うことにより穿刺角度を自由に調節しうるため,これらの障害物を避けて穿刺することが可能であった.(平成4年2月25日採用)

1992.01.08

Two Cases of Lower Lip Carcinoma in Elderly Patients *

われわれは,合併疾患を有した高齢者下唇癌の2症例(83歳 女性,82歳 男性)を経験した.扁平上皮癌,病期はステージII(T2NOMO)で,治療は腫瘍切除後に口唇反転皮弁法で再建した.局所は経過良好であったが,1例は心筋梗塞と肺炎を併発し,薬物療法にて治癒した.現在再発転移はない.口唇反転皮弁法を用いた下唇癌の外科的療法は有用であるが,80歳以上の高齢者は術後合併症の発現頻度が高く予測も困難で,特に心疾患を有する場合は安定期といえどもより慎重な対応が必要である.    (平成3年12月18日採用)

1992.01.07

A Case of Thrombus on the Abdominal Aortic Wall Caused by a Heparin-Coated Catheter *

動注用ヘパリンコーティングカテーテル留置約5か月後の剖検にて腹大動脈に壁在血栓を認めた膵癌肝転移症例を経験した.原因としてカテーテルそのものによると考えられ,今後カテーテル留置の方法や材質の検討が必要と考えられる.   (平成3年12月26日採用)

← newer entries older entries →