h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

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1992.01.06

A Case of Venous Sinus Thrombosis Due to Starvation Accompanied by High Intracranial Pressure and Peripheral Neuropathy *

症例は17歳男性.飢餓を強制され,高度の栄養不良状態となり,頭痛,複視,上下肢の筋力低下,下腿以下の感覚鈍麻などの症状が出現した.検査でうっ血乳頭,髄液圧の亢進,直静脈洞の著明な狭小化,腓腹神経の軸索変性などの所見を認めた.原因として栄養不良状態に脱水状態が加わり,静脈洞血栓症,末梢神経障害を呈したと推察した.治療として頭蓋内圧亢進症状に対しては副腎皮質ホルモン(プレドニゾロン)が有効であった.(平成4年1月13日採用)

1992.01.05

Purification of Qft Replicase and Some Properties of the Enzyme *

Qβレプリカーゼの精製を行い,四つの異なったサブユニットよりなる精製酵素を得た.精製酵素と精製途中の酵素標品を用いて,複製反応の生成物を検討した.その結果精製途中の標品を用いると複製反応生成物に分解がみられることがわかった.また酵素の保存に用いているグリセリンの酵素反応に対する影響を検討した.         (平成3年12月18日採用)

1992.01.04

Three Cases of Bipolar Disorder with Cancer *

悪性腫瘍を合併した双極性障害3例の経過について検討した.症例1は45歳男性,20歳の頃うつ状態で発症,40歳の頃胃癌と診断され胃亜全摘術を受けたが,術後訴えが心気的になり,抗うつ薬の効果も不明瞭になってきた.症例2は47歳男性,28歳頃にうつ状態で発症,44歳のときに甲状腺癌の診断で甲状腺全摘術施行されたが,術後やはり抗うつ薬の反応が乏しくなり,訴えも不安,焦燥感を中心としたものへと変化していった.2例とも躁病相に大きな変化は認めなかったが,うつ病相は遷延する傾向にあった.症例3は70歳女性,23歳の頃躁状態で発症,67歳のとき子宮体癌で子宮全摘術施行されている.うつ病相がほとんどなく,術後も躁病相しかみられなかったが,この症例では術前後で明らかな変化は認められなかった.3例とも病名の告知を受けており,双極性障害患者が悪性腫瘍の告知,診療を受けた場合,うつ病相の方により強く影響を与えるのではないかと推測された. (平成3年12月16日採用)

1992.01.03

The Usefullness of Plasma 1, 5-AG for a Marker of Glycemic Control in Diabetic Patients *

1, 5-anhydro-D-glucitol(1, 5-AG)は,糖尿病患者で減少することが報告され,新しい糖尿病マーカーとして期待されている.我々は,70名の糖尿病患者,インスリン依存型糖尿病(IDDM) 9名とインスリン非依存型糖尿病(NIDDM) 61名でその有用性を検討した. NIDDM 8名で75g経ロブドウ糖負荷テストを施行し,短時間の1, 5-AGの変動を検討したが,血糖値の上昇にかかわらず, 1, 5-AGに有意な変動は認めなかった. HbAlc,フルクトサミンとは良好な相関性を示した. NIDDM53名で血糖状態改善に伴う1, 5-AGの変動を検討した.血糖改善により1, 5-AGは有意な上昇を認めたが,入院時平均血糖値200mg/dl以上のコントロールの不良群は200mg/dl以下の良好な群に比し1, 5-AGの改善率は大であった.血糖コントロール状態の同様なNIDDMとIDDMでは, 1,5-AGに有意差は認めなかった. 1, 5-AGは糖尿病状態の新しいマーカーとして今後が期待される.(平成4年2月4日採用)

1992.01.02

A Clinical Study of Control Process of Blood Glucose Level of NIDDM Patient *

NIDDMの発生期や急性増悪期には,インスリンの欠乏による代謝異常が,生体のインスリン抵抗性を増大させ,さらに大きな代謝異常へと続く悪循環が言われている.このような状態にある症例に対して,積極的にインスリン治療を行うことにより,可逆的な代謝異常が改善されることが考えられる.しかし,代謝状態の急変は,生体にマイナスをもたらすことも考えられ,そのプロセスをコントロールしていくことが重要であると考えられる.その第一歩として,当院でインスリン治療を行った8症例について新しい記述手段を提案し,各症例の実際の治療と,コントロールプロセスの関係を検討した.その結果,全く異なる8症例が同一経路により正常状態へ近づくこと,及び治療パターンの違いが,改善速度と最終的な改善度に影響を与えることが示唆された.   (平成3年12月26日採用)

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