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Online edition:ISSN 2758-089X

topimage01

1992.01.01

Effect of Sodium Carbonate-Bicarbonate Mixture upon Acid-Base Balance Dearrangements in Arterial Blood, Cerebrospinal Fluid and Brain Parenchyma Created by Circulatory Arrest in Dogs ―Comparative Study with Sodium Bicarbonate― *

犬にaortic occulusion balloon catheter法を用いて12分間の循環停止を行い,血流再開後における動脈血,脳,髄液の酸塩基平衡障害に対するNa2C03・NaHCO3合剤(CBC)の効果をNaHCO3 (SBC)の効果と比較検討した.血流再開後における動脈血,脳,髄液のpHの低下は, CBC, SBC,いずれの投与によっても改善されたが,CO2の上昇はCBCにおいてより低く抑えられた.乳酸もCBCにおいてその上昇がより低く抑えられた.このことより,循環停止後の血流再開においてみられる酸塩基平衡障害に対して, SBCよりもCBCの方がより有効と考えられた.(平成4年2月14日採用)

1991.04.08

A Case of Non-Hypertensive Intracerebral Hemorrhage Caused by Angiotrophic Lymphoma *

症例は高血圧症の既往がない64歳の女性,構語障害を主訴に近医を受診.頭部CT検査にて多発性脳内出血と診断された.その後約1か月の経過で体幹,四肢の紅斑が出現し,多彩な神経症状を呈しながら傾眠状態となり紹介入院となった.顆粒球減少症,異型リンパ球の出現を認めたため,骨髄穿刺を行い,悪性リンパ腫の骨髄浸潤と診断した.全身管理を中心に治療したが,次第に血圧が下降し,死亡.剖検により,B細胞由来の血管内浸潤性悪性リンパ腫と判明した.早期に診断できていれば,根本的治療が可能であったと思われ,その診断的アプローチが重要であると考えられた.    (平成3年10月29日採用)

1991.04.07

Kinetic Study of Podocytes in Glomerular Sclerosis *

Bromodeoxyuridine (BrdU)はS期細胞周期に細胞に取り込まれることから,[3H]-thymidineと同様に細胞動態解析に有用とされている.今回,糸球体係蹄上皮細胞を中心にBrdUを使用し免疫組織学的に,さらに電子顕微鏡も用いて,正常成熟過程と糸球体硬化過程での細胞動態を観察した.新生仔と成熟Wistar系ラットの腹腔内にBrdUを投与し2時間後に腎臓を取り出し免疫組織学的に検討した.また同時に透過,走査両電子顕微鏡にて超微形態学的に観察した. 新生仔ラットではすべての糸球体成熟像が観察できた.未熟な糸球体ほど皮質表層に存在した.将来係蹄上皮細胞やボウマン嚢上皮細胞に分化するS字管の上皮細胞に標識を認め,以後係蹄が形成されるにつれて係蹄上皮細胞の標識は観察できなくなった.一方,他の糸球体係蹄細胞では,内皮細胞やメサンギウム細胞に標識を確認できるようになった.電子顕微鏡にて,形態学的に血管形成期に徐々に分化,発達する係蹄上皮細胞が観察された.成熟ラット(110 g)での,係蹄細胞の標識率は約0.54%で,ほとんどが内皮細胞であった.ボウマン嚢上皮細胞の標識率は0.71%で,係蹄細胞全体より高かった. 係蹄上皮細胞を直接障害するN, N’-diacetylbenzidine (DAB)により腎障害を惹起し,コントロール群ラットと比較した.両群とも係蹄細胞の標識率の経過は同様で,生後60日前後で一定となり0.2%となった. DABにより係蹄上皮細胞に種々の形態的障害が認められても,分裂再生像や標識を認めなかった.一方ボウマン嚢上皮細胞の標識率の経過は蛋白尿が著明な160~200日にかけてDAB群で若干高く,糸球体硬化部付近に標識ボウマン嚢上皮細胞を認めた.以上より,両上皮細胞の生物学的特異性,特に分裂能力の差が,糸球体硬化過程で重要な役割を演じていると思われる.              (平成3年10月19日採用)

1991.04.06

The Effect of Methamphetamine on Phosphatidylinositol Metabolism in Rat Brain *

methamphetamineは,精神病様症状を呈することが知られており,そのメカニズムについてイノシトールリン脂質代謝(Pl response)を通して検討した.ラット脳PI responseはα1-receptorを介しても回転しており,α1-receptor antagonist (moxisylyte) 100 mMを投与することによって代謝は抑制できた. methamphetamine (10 mM)はリチウム(10mM)と同時に投与すると,イノシトールニ燐酸,イノシトール三燐酸が増加蓄積し代謝回転の亢進が認められた. methamphetamineは, PI response を亢進させ細胞の過活動を引き起こし精神症状と関連していることが推察された.     (平成3年11月19日採用)

1991.04.05

Study of Fundamental Performance of a Dual Energy X-ray Absorptiometric Unit for Axial Bone Mineral Quantification *

高齢化社会の到来に伴い,骨粗鬆症の頻度は増加している.骨粗鬆症の診断には,骨量減少の所見が必須であるが,現在, dual energy X-ray absorptiometry (DEXA)を用いた骨塩量の測定が広く行われるようになった.そこで, DEXAであるQDR-1000の基本性能について検討した.QDR-1000で測定した腰椎および大腿骨近位部のin vivoおよびin vitroのbone mineral density (BMD)の日差再現性はC. V.= 1~2%であり,精密度は良好であった.被検体厚の変化によるBMD値の変動は少ないことが示された.体厚依存性は少なかった.被曝線量はきわめて少量であった.骨塩量の計測範囲は常時一定の大きさで,同一部位に設定する必要があった.BMDの算出には骨面積つまり骨幅が関与するが, QDR-1000の骨幅の検出には濃度依存性があり,濃度が低下するとともに骨幅が過小評価されることが示された.                               (平成3年10月28日採用)

1991.04.04

The Present State of Bone Grafting *

骨移植術は整形外科領域においては不可欠な手術法となっている. 1985年1月から1990年12月までの6年間に当科において行われた骨移植術636例について調査した.対象疾患は脊椎疾患が最も多く239例であり38%を占めた.移植骨としては597例に自家骨が用いられ94%を占めていた.                       (平成3年10月26日採用)

1991.04.03

Ultrahistochemical Studies of the Glomerulus in Experimental Nephropathic Mice *

腎糸球体係蹄上皮細胞(podocyte)は,係蹄毛細血管基底膜の保持の役割を担っている.そこで著者は実験的に N.N’-DABを腹腔内に注射してマウスにネフローゼを起こさせ,正常動物とともにpodocyte外被の状態を超組織化学的に研究した. N.N’-DABは体重10g当たり12.5 mgを腹腔内に注射した.投与後15週目から尿蛋白が出現しはじめ,24週目には多くの動物に尿蛋白が見られるようになった.組織の光顕所見では,投与後24週目には糸球体に部分的な硬化像が見られた.またコントロール動物の組織にコロイド鉄染色を施し電顕で観察すると, podocyte外被にコロイド鉄微粒子の沈着を認めたが,ニウラミニダ一ゼ消化後ではこれが消失した.実験動物ではコロイド鉄微粒子の沈着は部分的に減少していた.そしてニウラミニダーゼ消化後ではコロイド鉄の沈着は減少するが一部にニウラミニダーゼ消化抵抗してコロイド鉄に反応する部分が見られた.一方,コンドロイチナーゼABCやヒアルロニダーゼによる消化では,消化前後にコロイド鉄の沈着に差を認めなかった.このことはネフローゼ状態のマウスにおいては, podocyteのムコ多糖にとむ外被に変化が生じ,違う種類のムコ多糖に変わっていることを示唆していると思われた.(平成3年10月30日採用)

1991.04.02

Fundamental Study of the Effect of yG-CSF on Treatment of Infectious Complications ― Synergistic Effects with Antibiotics against Mice Klebsiella pneumoniae Pneumonia ― *

マウスKlebsiella肺炎モデルにおけるyG-CSFの治療効果を検討し,以下の結果を得た.1)1日当たり40 mg/kg のCefmenoximeを感染後3日間,1日2回投与した場合,感染8日後の生存率は20.0%であるのに対し,感染前あるいは前後に1匹当たり100μgのyG-CSFを連日CMXに併用投与した場合の生存率は55~60%まで改善した.2)感染後の肺内生菌数の推移では, yG-CSF併用群は菌の増殖がより抑制されることが示された.3)併用効果が最も大きかったのはyG-CSFを感染前後に投与した場合であるが,感染後のみの併用でも生存率の改善傾向と肺内での菌の増殖抑制傾向が認められた.以上の結果より, yG-CSFは重症感染症治療に対して,有効性の期待できる支持療法のーつと考えられた.                      (平成3年10月28日採用)

1991.04.01

 

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