h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

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1990.02.08

Ethanol Contents in Health Drinks and Soft Drinks on the Market *

1989年10月現在における市販のドリンク剤35銘柄,清涼飲料水8銘柄のアルコール含有量を検査した.その結果ドリンク剤,清涼飲料水の全銘柄からアルコールが検出された.ドリンク剤の最高アルコール濃度は, 4.00%であった.ドリンク剤において,アルコールに関する表示のあったものは21銘柄で,実際のアルコール濃度は1銘柄(アルコール濃度:3.23 %,表示値:2.00 %以下)を除き,すべて表示値内であった.また,表示のなかった14銘柄のうち2銘柄のアルコール濃度は, 1.66%及び2.33 %であった.清涼飲料水の1銘柄は,アルコール濃度が1.73%であった.       (平成2年7月27日採用)

1990.02.07

Effect of Asbestos (Chrysotile) Fiber on Lymphocytes ( H ) Activation of Suppressor-Inducer T Lymphocytes by Chrysotile Fiber *

アスベスト線維のーつであるクリソタイル線維が末梢血リンパ球のCD4+細胞を選択的に刺激していると考えられる旨を第1報で報告した.本論文では,さらにCD4+細胞のどのサブセット(CD4+ 2H4+ あるいはCD4+ 4B4+)を刺激しているかについて検討したところCD4+ 2H4+いわゆるsuppressor-inducer細胞の活性化が認められた.すなわち,培養12時間後では, CD4+ 2H4+細胞の割合および蛍光強度がクリソタイル線維負荷により一時的に低下し, 24,48時間はクリソタイル無処理群とほとんど差を認めないまでに回復した. CD4+4B4+細胞では,このような変化は認められなかった.また,これに伴うIL2 receptor (IL-2R)発現および細胞内カルシウム(Ca++)の増加を認めた.これらの結果より, CD4+ 2H4+(suppressor-inducer)T細胞か選択的に刺激されていると考えた.このCD4+ 2H4+ (suppressor-inducer) T細胞の選択的刺激は,以前報告したPHAとリンパ球結合の増強がCD8+細胞において顕著であったことの関連が示唆された.クリソタイル線維によるsuppressor T細胞の活性化は,アスベスト労働者でみられる癌発生あるいは自己免疫において重要な役割を示すと思われる.    (平成2年6月4日採用)

1990.02.06

Effect of Asbestos (Chrysotile) Fiber on Lymphocytes ( I ) Effect on PHA Stimulated Lymphocytes *

アスベスト線維曝露は,胸膜中皮腫,肺線維症,肺癌の発生と関連があるとされている.さらに自己抗体の出現,高グロブリン血症などの発生が報告されている.アスベスト線維はPHA (phytohaemagglutinin)のリンパ球幼若化を抑制すると報告されている.我々はこのPHA幼若化抑制の機序解明のために,アスベスト(クリソタイル)線維による3H-thymidineの取り込み,リンパ球増殖因子の指標であるIL-2 receptor (IL-2R)およびPHAのリンパ球結合について調べた. PHA刺激によるリンパ球の3H-thymidineの取り込みおよびIL-2Rはクリソタイル線維(50μg/ml)によって抑制された.クリソタイル線維によるIL-2Rの抑制はPHA幼若化抑制と関係があると思われた.PHAとリンパ球の結合強度はむしろ増強し, PHAとリンパ球との結合障害によるものではないことが判明した. さらにリンパ球サブセットへの影響についてフローサイトメトリーを用いて解析した.その結果,クリソタイル線維負荷によりCD4+細胞は12時間までに減少しその後回復したことから, CD4+細胞が選択的に刺激されていると思われた. (平成2年5月31日採用)

1990.02.05

A Study of L~V Therapy for Sensorineural Hearing- Impairment ―Cases Other than Sudden Deafness― *

突発性難聴以外の感音難聴症例40例を対象にL-V療法と一般療法を施行し,比較検討した.改善率では有意差を認めなかったが,L-V療法で有効例が多く認められた.高齢者や高度難聴症例,グリセロールテスト陰性例,カロリックテストでCP例などの条件の悪い症例ではL-V療法で改善率が高い傾向を示した.耳鳴に対する効果は有意差を認めなかった.                         (平成2年7月11日採用)

1990.02.04

Studies on the Formation of Traumatic Epidermoid Cysts ―Morphometric Comparison of the Cystic Wall with Normal Epidermis― *

外傷性表皮嚢腫を構築する表皮様細胞の特性を調べるため,全自動画像解析装置を使用して3例の外傷性表皮嚢腫の組織標本から表皮様細胞の形態計測を行った.さらに被覆表皮の正常表皮細胞における同様の計測結果より比較解析を行った.そして,以下のような結果を得た.(1)表皮嚢腫の表皮様細胞は,正常表皮細胞に比べ,個々の核の平均面積は有意に小さい値を示した.( 2 ) F-shapeというパラメーターを使用し,個々の核の最内径/最外径の比を計測した.この結果,表皮様細胞は正常表皮細胞よりも,有意に扁平化の傾向を示した.(3)任意に嚢腫壁の範囲を指定し,その区画範囲の面積を計測した.さらに,その区画面積内の個々の核面積を測定して,その核の総面積を計算した.そして,単位面積当たりの核面積比を,核総面積/区画面積の式より算出した.その結果,嚢腫壁の核面積比は有意に正常表皮よりも小さい値を示した.(4)以上より,外傷性表皮嚢腫を構築する表皮様細胞では,被覆表皮に比べ増殖能よりも分化機転の方が優位であることが示唆された.       (平成2年8月14日採用)

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