h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

topimage01

1988.03.04

Evaluation of the Hydroxylapatite Method for the Estrogen Receptor Assay Effect of Endogenous Estrogen and Tamoxifen *

内因性エストロゲン, tamoxifenの存在下でエストロゲンレセプター(ER)の実態を検討する目的として,ERの全結合部位(占拠型十非占拠型)の検出を試みた。exchangeassayはhydroxylapatite (HAP)法とdextran coated charcoal (DCC)法の両者で行い,また, enzyme immunoassay (EIA)法における検討も加えた。1.ラット子宮サイトソルに1nM非標識17β-estradiolを添加すると,占拠型ER検出率はHAP法で96. 3 %,DCC法で75.5%を示したが,10μM非標識17β-estradiolを添加すると,各々48.3 %と6.0%であった。2. 100 nM 非標識tamoxifenを添加すると,占拠型ER検出率はHAP法で100%,DCC法で80.1%を示したが,10μM非標識tamoxifenの添加では,各々62.5%と6.3%を示した。3.EIA法では添加の種類,濃度による影響はなく,100%の占拠型ER検出率を示した。以上より,HAP法がDCC法と比較して良好な占拠ER検出率を示すことが明らかであった. HAP法とEIA法との比較においては,後者はERの抗原基を検出する点て,ホルモンレセプターの結合機能を必ずしも反映していないため,今後も注意深く慎重に検討されるべきと思われる。(昭和63年2月25日採用)

1988.03.03

Acid-base Changes in Brain and Cerebrospinal Fluids during and after Total Cerebral Ischemia in the Dog *

成犬7頭に全脳虚血(total cerebral ischemia : TCI)を作成し,虚血中および脳血流再開後にみられる動脈血,脳,脳脊髄液(cerebrospinal fluid : CSF)の酸塩基平衡障害をISFETセンサーを用いて検討した.センサーはpH, PC02を連続的に測定するために大脳槽(cisterna magna)および脳実質内に留置された.またA-Oバルーンカテーテル法により10分間のTCIと,その後の再循環が作成された.この検討により以下の結果を得た.(1)動脈血では,血流再開後pHの低下,PC02の上昇がみられ,その後control値へ回復する傾向を示したものの,pHは血流再開120分後においても低値を示した.(2)脳では, TCIによりpHの低下とPCO2の上昇を認めたが,脳血流再開120分後, PH, PCO2ともcontrol値近くまで回復した.(3) CSFでは, TCIによりpHの低下を認め,血流再開後も回復傾向を示さなかった.またTCIによりPCO2の上昇を認め,血流再開直後に回復傾向を示すものの血流再開120分後においてもcontrol値より高値であり, CSFのアシドシースは呼吸性および代謝性因子の両者により生じていることがうかがえた.以上の結果より,全脳虚血血流再開後ではCSFにおけるpH, PC02の異常が著明であり,血流再開後120分でもCSFのアシドーシスは回復する傾向がみられなかった.これらのことより蘇生時および蘇生直後におけるCSFアシドーシスの改善は,脳蘇生を図る上で極めて重要であると思われた.(昭和63年2月24日採用)

1988.03.02

Analysis of Thyroid Follicular Adenoma and Adenomatous Goiter by Tissue Quantification *

甲状腺濾胞腺腫と腺腫様甲状腺腫は臨床的には結節性甲状腺腫の範疇に属し,組織学的 にもその鑑別が困難なことがある.本研究は両者並びに正常甲状腺の濾胞についてその組 織像の計量化を行い,鑑別診断が可能であるか否かを試みる目的で行ったものである. 解析は個々の濾胞像と組織の全体像の数量化により行い,腺腫様甲状腺腫については 3次元的解析による検討も加えて行った. 個々の濾胞像は,その面積,周長,長径,形状係数,および濾胞に対する濾胞上皮の割 合(以下EF比)を測定し,組織の全体像は濾胞の配置と,その個数と面積の密度により 検討した. その結果,腺腫は正常と比較すると,小型で円に近い形状を呈し,EF比は高値を示し た.空間配置は規則型の配置をとり,大型濾胞の密度は面積,個数とも低値を示した. これに対し腺腫様甲状腺腫は正常に比べ,様々な形態を呈し,空間配置は集塊型の配置 を示し,大型濾胞の面積に対する密度は高値を,個数に対する密度は低値を示した. さらに腺腫様甲状腺腫の大型濾胞を用いた立体再構築による検討では,大型濾胞は単純 な球状の形態ではなく,その周囲に多数の娘濾胞ともいうべき小濾胞様の突出を認める半 月状の形態を示し,このような変化が腺腫様甲状腺腫における濾胞形状の多様性の一因を なすものと推測された.(昭和63年2月17日採用)

1988.03.01

Studies of the Culture Conditions of Keratinocytes for Clinical Use in Skin Grafting *

広範囲な皮膚欠損創の治療に際して,培養表皮細胞を植皮として臨床的に応用する目的のために臨床に即した培養条件について検討し以下の結果を得た。1)細胞分離法では,ディスパーゼおよびトリプシンを用いるTakahashi, et al.の方法が比較的操作も容易であり臨床で使用する上で効率がよいと考えられた。2) DM-180 without CaCl2, 培地1Lに,インシュリン10 mg, デキサメサゾン10-6M,EGFとコレラトキシンを10μg,アデノシン48.1 mg, チミヂン0.73 mg,ピュトレッシン0.16 mg を加えた培地で良好な表皮細胞の増殖が認められた。3)この培地を用いた場合,添加する血清を1%濃度まで下げた状態で分化の抑制された最も良好なシート状の増殖が得られた。4) Type IVコラーゲンを培養基質として用いることによりfeeder layer を使用した場合に匹敵する表皮細胞の増殖が認められた。また,コーティングの際の濃度は10~30μg/mlで十分であった。5)ディスパーゼによりシート状態のまま培養表皮細胞を回収することができた。(昭和63年2月17日採用)

1988.02.23

Chromosome Testing Carried Out at Kawasaki Medical School Hospital during 1987 *

1987年度は55例の染色体検査を行った.その結果,異常染色体を示した症例は7例(12.7%)であった.この7例中,6例は先天性の異常であり,1例は後天性の異常であった.今回は, 1987年度の検査結果と,6例の先天性異常の症例中3例の興味ある染色体異常例について報告する.(昭和63年2月8日採用)

← newer entries older entries →