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Online edition:ISSN 2758-089X

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1987.04.03

Detection of Bone Metastasis in Thyroid Cancer by Bone Scintigraphy Using 99mTc-labelled Phosphorous Compounds

甲状腺癌の骨転移を評価するために,99mTc標識リン酸化合物による骨シンチグラフィを甲状腺癌患者32例(乳頭状腺癌17例,濾胞状腺癌1例,髄様癌4例,未分化癌7例,組織型不明癌3例)に行った.骨シンチグラフィ上, hot lesionは良性骨疾患3例および,骨転移4例(濾胞状腺癌1例,髄様癌2例,未分化癌1例)に観察された.一方, coldlesionは骨転移2例(全例乳頭状腺癌)に観察された.しかしながら2例では骨転移が存在するにもかかわらず,異常集積は観察されなかった.レントゲン像上の所見と99mTc標識リン酸化合物の集積の関係は以下の通りである;hotlesionは骨硬化性変化単独または骨硬化性および溶骨性の両方の変化を示した例でみられ,また, cold lesion は溶骨性変化のみを示した例でみられた.このように,骨シン.チグラフィによる甲状腺癌の骨転移の検出には, hot lesionのみならずcold lesion にも注意を払い,さらに,他の画像診断の所見をも併せて評価する必要が示された.

1987.04.03

Distribution of Fibronectin in the Skin Treated by Tape Stripping

近交系JY1モルモットの耳介皮膚にtape strippingによる機械的刺激を加えて炎症を惹起し,経時的にフィブロネクチン(FN),フィブリノーゲン(Fib),免疫グロブリン(IgG)の局在を螢光抗体法で観察した.tape stripping 直後から9時間にかけてFN, Fib, IgGのいずれも真皮に稠密に分布していた.真皮に沈着したIgGは,すでに24時間後消失し,FNとFibは,24時間から3日後にかけて真皮より漸次減弱し,変性表皮内に顆粒状に沈着していた.再生表皮にはみられなかった.さらに7日後には, Fibは真皮より完全に消失したが,表皮下基底膜に沿って連続性にあるいは断続的に線状に沈着していた.FNは正常皮膚の局在を呈した.これらの結果から,機械的刺激による皮膚炎において,血漿性FNの沈着に加えて,血漿成分由来のFib, IgGも組織内に沈着し,炎症治癒過程で経時的に消失していくと考えた.

1987.04.02

Clinical Evaluation of Urinary Fibronectin I. Modification of Its Method and Reference Values

近年,体液中のフィブロネクチン濃度の測定が種々の疾病の診断や病態を知る上で,臨床上重要な情報を与えてくれつつある.われわれは,簡便でかつ迅速なfibronectin ・ EIA (FN ・ EIA)キットを用いて尿中フィブロネクチンを測定し,その基礎的検討ならびに健常人の基準値の設定を試みた.本法は固相を用いたサンドウィッチ法による酵素免疫測定法(EIA)で,再現性,希釈による直線性にすぐれ,添加回収も良好で16~1000 ng/ml の広範囲で測定することができた.検体の保存は-20℃としポリチューブを用いた.測定は室温で施行し,比較的安定した反応系が得られた.日内変動も大きな差はなく,腎機能による影響もほとんど認められなかった.健常人155名による尿中フィブロネクチン値は,加齢とともに上昇傾向が認められたが,年齢別の検討では20歳代が最も低値を示した.女性に比し男性の方がやや高値を示した.なお, cut off 値は160 ng/ml であった.今後各種疾患に対し,尿中フィブロネクチン濃度の測定を行って,その機能と病態との関連を解明し,臨床に大いに役立てられるものと考えられた.

1987.04.01

Production of the Antibody against the Secretory Products of Rat Clara Cells

ラットの肺洗浄液内蛋白を抗原としてウサギを免疫した。吸収操作を行って得られた抗体を使って,ホルマリン固定・パラフィン包埋されたラットの肺組織を酵素抗体法で免疫組織化学的に検索すると,形態的にクララ細胞と思われる細胞に特異的な反応を示していた。B-5固定材料ではクララ細胞のほかに細気管支上皮上のmucus blanket にも反応物質が存在した。プロテインA・ゴールドを用い電顕レベルで反応物質の局在を調べるとクララ細胞内の高電子密度の分泌顆粒に集中していた。これらの所見は抗原がクララ細胞と考えられる細胞で産生され,末梢気道に分泌されていることを示唆している。また,この抗体はラットのほかにはマウスのクララ細胞と交差反応を示したが,他の種(ハムスター,モルモット,ウサギ,犬,猫,猿,人)のそれとは反応しなかった。本報告では本抗体の作製方法について詳述した。

1987.03.14

A Female Case of Pulmonary Emphysema with a Smoking Habit since Nine Years Old *

9歳から喫煙歴のある肺気腫症の58歳女性例を報告した.昭和56年5月の初診時すでに高度の気道閉塞と軽度の低酸素血症があり,気管支拡張剤の投与,肺理学療法を行った.4年後の肺機能検査において悪化が認められた.現在,患者は64歳であるが,酸素濃縮装置による在宅酸素療法を受けている.この症例は血清α1-アンチトリプシンが軽度低下しており,小児期からの喫煙が肺気腫症を起こした原因と考えられる.最近,学校教育者の間で小学生の喫煙が問題になっているが,禁煙教育は幼稚園の時から始めるべきであろう.

1987.03.13

A Case of Pancreas Tail Pseudocyst Treated by Ultrasound Guided Drainage *

症例は飲酒歴の長い49歳男性.昭和60年5月,慢性膵炎に合併した膵尾部仮性嚢胞の摘除術を受けた.しかし,約5ヵ月後に膵尾部嚢胞が再発した.再手術の同意が得られなかったため,まず,超音波ガイド下経皮的嚢胞穿刺吸引を行ったが無効であった.そこで,超音波ガイド下経皮的ドレナージを施行し,約2ヵ月後に嚢胞を縮小せしめた.本例は嚢胞と主膵管に交通があり,膵液逆流による嚢胞再発の恐れがあったが,ドレナージチューブの閉鎖と開放をくり返すことで嚢胞を次第に縮小器質化させるよう工夫した結果,今のところ再発はみられていない.

1987.03.12

Usefulness of Bone Scintigraphy in Diagnosis of Sternocostoclavicular Hyperostosis *

胸肋鎖骨間骨化症と診断した10例の骨シンチグラム所見について検討を行った.骨シンチグラフィは胸鎖関節部に特徴的な強い集積を示し,骨シンチグラフィは本例の診断に有用であった.胸肋鎖骨間骨化症は原因不明の疾患であるが,掌蹠膿疱症に合併することが多いため,日常の骨転移診断を中心とした骨シンチグラムの読影の際にも皮膚病変の有無を念頭におく必要があると考えられた.

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