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Online edition:ISSN 2758-089X

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1983.02.07

A Human Myeloma Cell Colony Assay for the Drug Sensitivity Test

ヒト骨髄腫細胞のコロニー形成能を11名の多発性骨髄腫患者の骨髄細胞で検討し,更に活動性病変を有する5名についてコロニー形成法を用いて薬剤感受性試験を行った.未治療および増悪症例の骨髄細胞から多数のコロニーが形成され,寛解例では少数のコロニーが形成されるか,またはコロニーが形成されなかった.コロニーはsingle cell由来で,コロニー形成にconditioned mediumを要し,コロニー構成細胞は細胞内免疫グロブリンを有することから骨髄腫由来と考えられた.薬剤感受性テストの結果は, 5例中4例においてメルファラン,アドリアマイシンに高い感受性のあることが示され,ACNUに対する感受性は5例全例に認められなかった.臨床効果との比較は, 2例で行われ,有意の相関が有ると考えられた.以上よりin vitroコロニー形成法は,骨髄腫細胞の薬剤感受性試験を施行する際,有用な方法と考えられる.

1983.02.06

Studies on the Influence of Vasoactive Agents in Intra-Arterial Infusion Chemotherapy. (Part I)

肝癌の治療成績向上のために,家兎VX2肝癌を実験モデルとして,動注癌化学療法に,angiotensin II, epinephrne, prostaglandin E1の3種の血管作動薬を併用し,腫瘍組織血流量および他臓器血流量の変化,腫瘍組織制癌剤濃度および血中制癌剤濃度の変化を検討し,以下のような結果をえた.1.家兎ⅤⅩ2肝癌は,ほとんど肝動脈栄養であった.2.腫瘍組織血流量は, angiotensin IIにより76.5%, epinephrineにより18.2%,prostaglandin E1により48.2%増加した.3.腫瘍組織bleomycin濃度は, angiotensin IIにより98.1 %, epinephrineにより22.6%, prostaglandin E1により53.6%増加し,腫瘍組織血流量の増加率と腫瘍組織制癌剤濃度の増加率は類似していた.4.血中bleomycin濃度は, angiotensin IIにより高値を, prostaglandin E1により低値を示した.5.血中mitomycin C濃度には著差を認めなかった.6.中枢神経系および骨髄には,いわゆる “Autoregulation”の存在が示唆された.7.動注癌化学療法における腫瘍組織血流量の増加は,制癌剤の局所到達性を高め,特に,angiotensin IIを併用すると,高い抗腫瘍効果がえられるものと考えられた.

1983.02.05

Clinical and Endoscopical Aspects of AntibioticAssociated Colitis with Special Reference to Acute Hemorrhagic Colitis

過去8年間に抗生剤による大腸炎を11例経験した.いずれも偽膜性大腸炎型ではなく,出血型であった.出血型ではペニシリン系,セフェム系の抗生剤投与と便の性状が水様血性下痢である点で臨床的に診断できる.便の培養ではKlebsiella oxytocaが有意に検出された.偽膜性大腸災で起因菌とされるClostridium difficileと抗生剤起因性出血性腸災との関係は明らかにできなかった.内視鏡的には帯状またはびまん性の発赤と浮腫が直腸よりもS状結腸や下行結腸に多くみとめられた.鑑別診断として虚血性大腸炎があり,臨床的にむずかしい.治療は該当抗生剤の投与中止と補液を主とし,腹痛には抗コリン剤投与で様子をみて良い.

1983.02.04

Therapeutic Aspects of 234 Cases of Hepato-Biliary and Pancreatic Cancers

肝,胆道,膵癌234例の治療成績を検討した.原発性肝癌は平均115.6日(N=100),転移性肝癌46.2日(U=17),胆嚢癌95.3日(U=ll),総胆管癌84日(N=14)および膵癌69.7日(N=40)の平均生存日数であった.肝細胞癌の治療法としてはtranscatheter arterialembolization療法が他の姑息的療法に比較して,有意に生存日数の延長が認められた.

1983.02.03

Mental State of the Women Before and After Delivery -The Use of the Beck Depression Inventory-

川崎医科大学産婦人科にて1980年1月より1982年6月までの2.5年間に分娩した614
 例中の191例について,妊娠38週目及び産後1週目にBeckうつ病自己評価表を施行し, 妊娠・出産と抑うつとの関係を中心に調べた. (1)精神病発現は1例(妊娠末期の分裂病再燃) (2) BDI平均点, 10点以上の出現率,産前,産後得点比較においては,産前が高い. (3)行為抑制,易疲労性,性欲低下,不眠,心気傾向,自己醜悪感は産前・産後ともにコントロール群より高い. (4)自己嫌悪感,抑うつ気分,絶望感,失敗感,不満足感,自責感,罪悪感,自傷念慮はコントロール群より低い. (5)初産例は経産例に比し産後に得点が低下せず,興味低下,いらいら感,心気傾向 などが経産例に比し高い.  以上の結果より,  ① 妊産婦における精神病発現率は症例数が少ないため断じ得ない. ② 正常範囲内といえる妊産婦の精神症状は,抑うつとは異なった性質のもので,内分泌精神症状群との関連のみならず,現実的不安に対する反応という面からも今後検討をしてゆかねばならない事を論じた.

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