h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

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1983.02.12

Leiomyoma of the Duodenum -A Report of 3 Cases and Clinicopathological Study of 100 Other Japanese Cases-

最近の7年間に私達の病院において経験した十二指腸平滑筋腫の3例について報告し,あわせて本邦報告100例について臨床病理的事項を中心に検討を加えた.自験例は,間歇性下血によるショック状態を主訴とし,水平部に管外性に発育した腫瘍を見出した2女性例と,嘔吐,腹部不快感を主訴とし,球部に管内外性発育をした腫瘍を見出した1男性例であった.各々4・3・2年の術後経過観察を行い,女性の1例は良性平滑筋腫の診断であったにもかかわらず, 3年後に肝・骨・リンパ節転移をきたして死亡した.臨床症状は,文献上も70%にみられた出血症状が中心で,自験2女性例はともに下血によるショック状態を示した.腫瘍の発育形式は2女性例が管外型,男性例は管内外型であった.文献上,球部,下行部には管内・管外型が同じく発生するが,下水平部には管外型が多い傾向があった.術前診断は,内視鏡的に診断された例が多かったが,自験例では男性例のみ内視鏡診断が可能であった.また同例では血管造影も行われた.一般に手術は,良性腫瘍としての摘出術または核出術が行われているが,自験1女性例のように遠隔転移をきたす例があるので,術後長期にわたる経過観察が必要と考えた.

1983.02.11

A Case of Ileal Duplication with Intussusception

7か月の男児が唱吐と腹部膨満を主訴として入院した.入院の3か月前に腸重積症にて開腹手術を受けた既往があり,注腸造影にて“かにづめ”様陰影欠損がみられたが注腸による整復が不可能であったため開腹手術を行った.回盲部に接した回腸の腸間膜側に3×3×3cmの球状の嚢腫が発見されたため,嚢腫を含めて回盲部切除を行い回腸上行結腸吻合術を加えた.嚢腫の内面は胎生期の食道上皮,胃底腺,幽門腺からなる粘膜で覆われていた.術後経過は良好であった.回盲部腸管重複症の1例を報告し,消化管重複症について文献的考察を行った.

1983.02.10

An Autopsy Case of Idiopathic Thrombocytopenic Purpura Complicated with Intracranial Hemorrhage

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)に頭蓋内出血を合併し,来院後急速な経過で死亡した19歳女性の1剖検例を報告し,過去5年間の文献よりITPに合併する頭蓋内出血,特に脳内血腫の特徴,治療(特に開頭術の適応)についての考察を加えた.

1983.02.09

Evaluation of Follow-up Bone Scintigraphy for Assessing the Effects of Hormone and Chemotherapy of Bone Metastases from Prostatic Cancer

骨シンチグラフィが前立腺癌の治療効果の把握にも有用ではないかと考え.以前より有用とされているTAP, PAP, ALP, LDHと対比し検討した.対象は前立腺癌77例で,うちすでに多発性に骨転移を示した21例についてホルモン療法,化学療法後の骨シンチグラフィを中心とした臨床評価をおこなった.前立腺癌77例の初回シンチグラフィの結果は陽性(+)44%,疑陽性(±)24.7%であった.治療効果判定をしえた21例のうち15例の治療効果をえた.そのうち,異常集積の全く認められなかったmuch improved 5例と全ての異常部位が集積軽度となったmoderately improved 5例はTAP, PAPが比較的低値で安定していた.しかし一部の異常集積のみ低下したslightly improved 5例はTAP, PAPも安定せず,注意深い観察が必要と考えられた.また,初回骨シンチグラフィが陰性(-)であり,追跡中に陽性(+)となった例ではTAP, PAP, ALP, LDHのみでは不十分でありシンチグラフィが有用であった.

1983.02.08

Mass Screening Examination for Uterine Cancer in Okayama Prefecture Comparison of the Detection Rates between Our Hospital and the Others

岡山県の子宮癌検診では,検診方法により精度の差があるかどうかを調べるため,昭和50年度から55年度にかけて県委託機関,日母医および川崎医科大学附属病院により行われた検診結果を比較し,次の結果が得られた. 1川崎医科大学附属病院の癌発見率,要精検率および要精検癌発見率は県委託機関および日母医より有意に高かった.このような傾向は訂正罹患率,訂正死亡率および受診率で補正しても変わらなかった. 2川崎医科大学附属病院の受診者の年齢平均値および精検受診率は県委託機関および日母医のそれと変わらなかった.以上より川崎医科大学附属病院の検診精度は県委託機関および日母医のそれより高いことが推定される.

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