h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

topimage01

1982.03.09

Chorea-Acanthocytosis Clinical, Blood Chemical and Physiological Study

川崎医科大学附属病院病理部に提出された外科標本の中から原発巣の明らかな転移癌症例23例の顕微鏡スライドを選び出し,転移癌の組織像から原発部位が正しく推定出来るか否かを検討した.次に臨床的に原発不明癌として提出され,後日剖検や臨床検査で原発巣が明らかとなった32例について情報量の多さからの正推率の違いと原発巣の分布を検討した.組織像のみからの正推率は約46%.臨床からの情報が得られた症例ではその量が多くなるにつれ,さらに正推率が高くなることが明らかとなった.又,本学の経験では,臨床的に原発不明癌として病理に生検材料を提出してくる頻度は0.3%でそのうち半数以上が肺癌であることがわかった.

1982.03.08

A Case of Diabetic Mixed Polyneuropathy with Symmetrical Muscular Atrophy, Muscular Weakness and Sensory Impairment of Distal Parts of Four Limbs

52歳の男性で,四肢遠位部の対称性筋萎縮,筋力低下および感覚障害を主訴とする糖尿病患者を報告した. 検査所見では糖尿病以外の所見は認めず,腓腹神経生検ではSchwann細胞の増殖によるonion-bulb形成を認めた. 我々の症例は,四肢遠位部の高度な対称性運動および感覚障害を呈しており,糖尿病性混合型ポリニューロパチーとしては非定型的である. しかし現在のところ,糖尿病以外の疾患は認められず,我々は本症例を糖尿病による運動障害優位で慢性再発型の混合型ポリニューロパチーと考えた.

1982.03.07

Relationship between Intestinal Movement and its Sounds

1902年にCannonが腸音の数量的測定を試みて以来,腸音の重要性が指摘されてきた.しかしながら,腸管運動そのものが,腹腔内でのみ良く保たれるという限られた条件があるため,腸管筋電図,腸管内圧,腸音の相互関係を同時に記録,観察することは困難であり,今日までこれに成功したという報告はなく,これが基本的な腸音の解析が遅れた原因と考えられる.本研究では,特殊な腸音専用の実験箱を考案し,初めて腸管運動における上記3者を同時に測定記録し,これらの相互関係を生理学的に実証することに成功した.この腸音専用実験箱(Naito, Endo, Shimotomaiの共同研究により考案された実験箱,以後NES型実験箱と略す)は,径13.0cm,高さ4.0cm,厚さ0.5cmで上蓋中央に厚さ0.2mm,径3.5cmの塩化ビニール製の腸音導出用の窓があり,これにTK211 S型マイクロフォンが装着してある.筋電図用の導線は,箱の両側から外に導かれる.内腔は保温と乾燥防止の目的で流動パラフィンを充満する.この実験箱を家兎の腹壁に密着固定する.新しいNES型実験箱による経時的観察の結果,腸音は単に腸管の嬬動運動や腸管内ガスの存在では発生せず,これに腸管の内圧変動が加わって発生することが判明した.さらに,腸音の基本となる単位音は腸音の生理的屈曲による内圧変動によって発生し,連続音は,非生理的腸管狭窄によって起こる内圧変動から発生することがわかった.

1982.03.06

The Electrocardiographic Findings in Pure Mitral Stenosis : Correlations to Presence and Severity of Right Ventricular Hypertrophy

最近6年間に入院した52例の純型僧帽弁狭窄を対象として, Sokolow-Lyonの心電図右室肥大基準を用いて,右室肥大の有無と程度について検討した.その結果,右室肥大基準を満足しなかった例が17例(32.7%)あり,DDRや肺動脈圧より比較的重症と考えられた例においても右室肥大との相関は明瞭でなかった.従って,今回の純型僧帽弁狭窄に関する限り,健常者群と比較すると若干のQRS異常が認められたが,Sokolow-Lyonの心電図右室肥大基準は予期したほど感度が高くないと考えられる.

1982.03.05

Could the Primary Site be Known from the Histology of Metastatic Cancer?

川崎医科大学附属病院病理部に提出された外科標本の中から原発巣の明らかな転移癌症 例23例の顕微鏡スライドを選び出し,転移癌の組織像から原発部位が正しく推定出来るか否かを検討した.次に臨床的に原発不明癌として提出され,後日剖検や臨床検査で原発巣 が明らかとなった32例について情報量の多さからの正推率の違いと原発巣の分布を検討した.組織像のみからの正推率は約46%.臨床からの情報が得られた症例ではその量が多くなるにつれ,さらに正推率が高くなることが明らかとなった.又,本学の経験では,臨床的に原発不明癌として病理に生検材料を提出してくる頻度は0.3%でそのうち半数以上が肺癌であることがわかった.

1982.03.04

Hb G Szuhu [β80 (EF4) Asn→Lys] – A Hemoglobin Variant Discovered in Takamatsu District –

香川県高松地区の異常血色素調査において,1980年10月に電気泳動的に遅く泳動される異常血色素を検出した.発端者は香川県立中央病院を訪れた24歳の妊婦で,血液学的諸検査に異常なく,異常血色素に由来する徴候も全く認められなかった. 一次構造解析の結果,この異常血色素は既報のHb G Szuhu [β80Asn→Lys]と同定された.Hb G Szuhuの酸素運搬機能は正常であった. 本邦では既に3例のHb G Szuhuの報告をみるが,現在のところ本家系は既報告のいずれの家系とも血縁的に無関係で,新しい突然変異によると思われた.

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