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Online edition:ISSN 2758-089X

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1982.04.05

Clinical and Experimental Electromyographic Studies of Thyrotoxic Myopathy

甲状腺機能亢進症患者に,しばしは認められる筋障害について,1)筋電計を用い観察するとともに,モデル実験として甲状腺ホルモンを投与したラットの筋異常について観察した.なお,筋電図異常の判定には,周波数分析と波形積分値を総合した. 1.ヒト甲状腺機能亢進症の筋電図異常は, A型高周波成分の増加, B型高周波成分の増加及び低周波成分の低下, C型AまたはB型に積分値の低下を伴うものの3型,これら以外にD型有意の差を認めないものを加えた4型がみられた. 2.甲状腺機能亢進症患者36例(男性9例,女性27例)のうち,筋電図上ミオパチーを示した頻度は75%(男性89%,女性70%)であり,近位筋と遠位筋におけるものの差は明らかでない.左前脛骨筋の異常は,男性が高率であり,男性75%,女性38%であった.左三角筋では差がなかった. 3.筋電図異常と病悩期間や血清T3値との間の相関は,明らかにし得なかった. 4.治療により甲状腺機能が正常となっても,筋電図の正常化は遅延する. 5.ラットの甲状腺ホルモン投与による筋電図変化は,まず,高周波成分の増加,続いて低周波成分の低下,波形積分値の低下の順で起こり,経時的相関を認めた. 6. T3を投与したラットにおける6週後の筋線維の形態学的変化は,直径が対照群に比し短かった.

1982.04.04

Experimental Allergic Encephalomyelitis (EAE) – With Special Reference to Chronologic Neuropathological Finding’s and Peripheral T Cell Population of Chronic Relapsing EAE –

幼若Hartley系モルモットを使用し慢性再発型実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)を発生させ,経時的に病理像の変化と末梢血Tリンパ球の変動を観察した. 症候学的に慢性再発型EAEの発生が60%に認められた. 病理学的には主に脊髄に多くの脱髄巣が認められた.特に慢性再発型EAEでは新旧の脱髄巣が認められた.しかしながら1年以上の長期生存した慢性再発型EAEでは新しい病巣は認められなかった. 新旧の脱髄巣の多くは軟膜に接する白質に認められ,脱髄巣形成には軟膜からの直接的な単球性細胞浸潤が関与している可能性も考えられた. 電顕的には脱髄巣内に髄鞘の中枢神経性ならびに末梢神経性の再生像が認められた. 末梢血Tリンパ球はEAEの症状出現とともに減少が認められた. しかし長期生存したものについての変動は明らかでなかった.

1982.04.03

A Study of Experimental Hypersensitivity Pneumonitis

実験的に,マウスを使用して,過敏性肺臓炎の発生病理を検討した.感作抗原には,Bacterial a Amylase (BαA)を利用し,種々の感作方法を試みた.すべての感作方法のあと,誘発のための最終曝露は気道を通した吸入法で行った.気道吸入法,または1回だけの筋肉内注射で感作を行った群では,過敏性肺臓炎の像は得られなかった.しかし,5回筋肉内注射によって感作した場合には,可逆的ではあるが,終末細気管支を中心とした単核細胞反応,および肉芽腫様変化がみられた.なお,誘発後2週間目から検索しているためか,その時点では,好中球の関与は,明らかでなかった. 抗原に対するIgG抗体のレベルや,肺組織でのPAP法を用いたIgG沈着の増減と肉芽腫様変化の形成の間には,経過を追ってみると時間的ズレがみられた.すなわち,初期の血清抗体価の上昇は,肺組織内IgGの沈着と平行し,両者の減少しはじめる時期になって肉芽腫様変化が,肺にみられた.細胞反応を主体とした増殖性肺胞中隔炎(肺臓炎)から進展して,固定化した進行性線維性胸隔炎(肺線維症)を発生させるためには,抗原の強さ,頻回の感作,動物種など今後注意しなければならない点があることを考察した.

1982.04.02

Role of Transferrin in vitro Accumulation of Ga-67 in Tumor Cells

腫瘍細胞(HeLa S3,吉田肉腫)における67Gaの集積に対するtransferrin (Tf)の役割を再評価するために,67Gaと125I-Tfの動態を比較検討した.両細胞とも67Gaの摂取は接触時間とともに増加したが125I-Tfの摂取は著明な増加を示さなかった.67Ga,125I-Tfを細胞に取込ませた後,トリプシン処理を行い吉田肉腫細胞中の残存率を測定すると,67Gaの残存率は接触時間とともに増加し24時間では約80%であった.一方,125I-Tfの残存率は接触時間とは無関係に20~30%であった. HeLa S3からの67Gaの排泄は12時間の間に約10%であったが,125I-Tfの排泄は非常に速く, MEMonly中では約75%,100μg/ml Tfを含むMEM中では約95%であった.熱処理によりnonviableになった吉田肉腫細胞では,熱処理を加えない細胞よりfree 67Gaの摂取は大であった.しかし,Tfに仲介された67Gaの摂取は,125I-Tfの摂取が増加したにもかかわらず,著明に減少した.これらの結果から,67Gaの細胞内動態は125I-Tfと異なっていることが示された.すなわち,67Gaは細胞に経時的に摂取されほとんど排泄されないのに対し,125I-Tfの多くは細胞膜と結合しており速く代謝されているものと考えられる.したがって, Tfは67Gaを細胞膜まで輸送するcarrierとして働いており,67Gaが腫瘍細胞内に集積するにはTf以外の因子も考慮しなければならない.

1982.04.01

Role of FeCl3 in Ga-67 Uptake by HeLa S3 in vitro

67Gaの腫瘍集積におけるtransferrinの役割を念頭においてin vitroにおけるHeLaS3の67Ga摂取におよぼすFeCl3の影響を検討した. HeLa S3 67Gaの摂取は培地中の血清の濃度,特にtransferrinの濃度によって変化し, transferrinに仲介された67Gaの集積機序が存在するものと考えられた.しかし,これと同様な実験系において,培地中に10-2~10-1mMのFeCl3を投与すると 67Gaの摂取が著明に増加した.一方,平衡透析により FeCl3を投与すると67Gaとtransferrinの結合は阻害されるが cellulose膜を通過しない67Ga-Fe complexの形成が認められた.このcomplexの形成とHeLaS3における67Gaの摂取の増加には明らかな相関が認められた.これらの結果は 67Gaの腫瘍集積にtransferrinに関係しない集積機序も存在する可能性を示すものと考えられる.

1982.03.14

A Case of Behcet’s Disease : Effective Treatment of Colchicine

50歳女性の口腔内アフタ,陰部漬瘍,結節性紅斑,発熱,関節痛を生じたベーチェット病に対し,コルヒチンImg/日投与にて治療した.著効を呈し,約1カ月後には消失し,7カ月後現在でも再発は見られず,副作用も生じていない.

1982.03.13

Endoscopic Polypectomy in the Two Patients with Juvenile Polyps of the Colon

我々は最近, 2例の若年性ポリープに対し,全身麻酔下と経口的な催眠鎮静剤のみにより,それぞれ内視鏡的ポリペクトミーを行ない,共に良好な結果を得たので,主として治療法に関して文献的考察を加えて報告した.

1982.03.12

A Clinical Case of Juvenile Parkinson’s disease

24歳の女性が四肢振戦・筋強剛を主訴に入院した.病歴より発症は16歳頃と考えられ,家系内発症はみられなかったものの両親はイトコ結婚であった. 身体症状は定型的parkinsonismを呈し,階段状の経過がみられた.症状は,睡眠・休息・入浴後に改善し,月経前・精神的緊張・疲労にて増悪し,日内変動が認められた.精神症状としては身体症状に先行した短期間の幻覚妄想状態がみられ増悪時にも出現し,その他抑うつ・心気・不安状態を呈した.身体症状にはL-DOPAが著効を示し,二年間経過は良好である. 症候学的に若年性Parkinson病と診断し,身体症状・精神症状について考察した.

1982.03.11

A Case of Fibrosarcoma Arising in Glioblastoma Multiforme

症例は58歳女性.右前頭葉に腫瘍を認めた.腫瘍は組織学的に中心部が多形膠芽腫でその辺縁は線維肉腫の像を呈していた. gliosarcomaの1例と考え,組織学的所見を中心にその発生機序について文献学的考察を加えて報告した.

1982.03.10

A Case of Pachydermoperiostosis

四肢長管骨の骨膜性骨肥厚,皮膚肥厚および手指肥大の三徴を示す稀な疾患であるpachydermoperiostosisの19歳の男性例を報告した.現症では前額部皮膚の肥厚と脳回状変化,および手・足背の皮膚肥厚が認められた.両手指は著明に腫大していたにもかかわらずバチ状指が認められなかったが,これは病悩期間がまだ短いためではないかと考えられた. X線所見では両手指骨を含め両上下肢,特に両下肢の長管骨に著明な骨膜性骨肥厚が認められた.検査成績では尿中17-KS値の軽度上昇と,糖負荷試験における血糖値上昇の遅延が認められた.前額部皮膚生検組織では皮脂腺,汗腺の増加および真皮の著明な浮腫性変化と軽度のリンパ球浸潤が認められた.本症には調査した範囲では家族性素因は認められなかった.

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