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Online edition:ISSN 2758-089X

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1982.03.03

Expansion of the Random-Guessing-Model in the Multiple Choice Test

多肢選択テストにおける受験者の不十分な知識による得点増加を研究するため,従来のランダム・ゲッシング・モデルを拡張し,その得点分布や合格率について検討した. k個の選択肢が与えられたとき,ランダム・ゲッシング・モデルでは,受験者は問題を正しく理解できて確率1で正答するか,問題が全く理解できずあて推量で(確率1/kで)正答するかのいずれかと考えたが,受験者が解答の一部分を知っている場合には,さらに二者択一,三者択一などの選択を行う.このことを考慮して,受験者の知識の度合いを正答率1 , 1/2,…, 1/kで解答される問題の割合で特徴づけ,いろいろなタイプの正答率分布に対する得点分布を求めた. また合格基準を100点満点中60点以上と定めたとき,出題数が100間以上では,平均得点50点未満の受験者が合格する割合はきわめて少ないことが示された.

1982.03.02

Survey of 100Cases of Primary Liver Cancer

昭和48年12月より昭和56年12月までの8年間に,川崎医大附属病院消化器内科に入院した原発性肝癌100例について検討した.内訳は,肝細胞癌90例,胆管細胞癌9例,混合型1例であった.各々について,腫瘍の肉眼型,組織型,肝硬変または肝線維症の有無,遠隔転移,HBs抗原陽性率,初発症状,肝機能検査成績,癌随伴症候群,予後などについて検討した.

1982.03.01

The Factors Affecting on Gastrointestinal Motility after Laparotomy -A Clinical Study on the Improvement of Gastrointestinal Motility –

胃癌に対して定型的胃切除術を受けた患者94症例を対象として,術後の腸管運動とそれに関与すると思われる因子について比較検討し,次の結果を得た. 1.年齢が長ずるほど排ガス時間は延長し,年齢と排ガス時間には正の相関が存在した. 2.男性は女性に比べて有意に排ガス時間は短かった. 3.手術時間が長くなるほど排ガス時間は延長し,明らかな正の相関が認められた. 4.術後腸管麻痺の良好な快復を得るためにはSerum protein 6.1g/dl以上, Albumin 3.1g/dl以上に保つべきである. 5. Albuminの術前からの減少幅が小さいほど術後の腸管運動は保持される.

1982.02.15

A Clinical Case of Sarcoidosis with Recurrent Multiple Cranial Neuropathy

48歳女性が複視と右眼瞼下垂を主訴に入院した. 9年間に障害された脳神経は右動眼神経,右滑車神経,両側三叉神経,左顔面神経であった.臨床像,臨床経過より本症例は再発性多発性脳神経麻痺の診断を満足した.検査では血沈の亢進と脳波異常を認める以外特に異常はなかった.しかし Kveim テストが陽性であったため本症をサルコイドーシスによる再発性多発性脳神経麻痺と診断した.患者はステロイド治療により複視と脳波異常の改善を示した. 本症例における基礎疾患診断の重要性を強調し,稀なる脳波所見について考察した.

1982.02.14

Esophagobronchial Fistula of the Adult -Report of 2 Cases and Review of Recent Japanese Cases –

成人における非腫瘍性食道気管支瘻の2例を経験したので,症例報告と文献的考察を行なった.第1例は51歳女性で,約10年前より咳嗽,喀痰,発熱をくり返し,約3年前よりこれら愁訴が増強した.食道造影により食道気管支瘻と診断され,瘻切除術および右肺下葉切除術を施行後,病理組織学的に先天性食道気道瘻と診断された.術後40日目で軽快退院した. 第2例は46歳男性で,作業中転落し,下顎骨骨折,頭蓋骨骨折および胸部打撲をきたした.これら外傷はいったん軽快したが,時々噴嚥下性肺炎様症状を呈し再入院した.食道・気管支造影により外傷性食道気管支瘻が最も疑われた.栄養胃瘻造設が行なわれたが,術後第2週(受傷後7カ月)目に誤嚥のため死亡したため,瘻切除術は施行されなかった.

1982.02.13

A Case of Temporal Arteritis -A Review of Cases of Temporal Arteritis and Polymyalgia Rheumatica in Japan-

Polymyalgia rheumatica を合併した側頭動脈炎の1例を報告した.患者は81歳,男性.微熱,食欲不振,両側頭部痛を主訴に入院した.入院時理学的所見では,両側側頭動脈の腫脹と圧痛を認めた.検査所見では,血沈の亢進,CRPの陽性,軽度の貧血を認めた.右側頭動脈生検で典型的な巨細胞性動脈炎の所見を認めた.入院直後より,頸部周辺に強い筋肉痛を訴えたが,整形外科的,神経学的に異常を認めず,polymyalgia rheumaticaの合併を疑った.副腎皮質ステロイド治療は著効を呈し,筋肉痛を含む諸症状は消失し,検査も正常化した. 同時に本邦における側頭動脈炎, polymyalgia rheumatica の報告例につき文献的考察を行なった.現在までに10例の側頭動脈炎, 8例のpolymyalgia rheumaticaが報告されているにすぎず,欧米に比し非常に少ない.両疾患は年齢,検査に類似性を有し,合併例も存在することから,共通の病因として巨細胞性動脈炎を有することが疑われた.

1982.02.12

A Case of Primary Biliary Cirrhosis Closely Related with an Oral Contraceptive

症例は49歳女性で,昭和51年2月,子宮筋腫のため経口避妊薬Anovlarを約50錠服用後,皮膚掻痒感,黄疸が出現した.検査所見では, IgMの増加,抗ミトコンドリア抗体強陽性が認められ,肝生検でCNSDC所見は欠くが,非定型的な細胆管の増生が認められた.患者は昭和56年4月, 5年間の経過観察後肝不全にて死亡した.死後穿刺肝組織にて胆管の消失および偽小葉形成を認めた.本症例では, PBCの発症に対して薬剤が何らかのtriggerになったとも考えられ,薬物とPBCとの関連を示唆する興味深い症例と考えられた.

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