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Online edition:ISSN 2758-089X

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1980.03.07

A Clinical Study of the Mallory-Weiss Syndrome With Special Reference to Endoscopic Findings and Clinical Course

1975年4月より1980年3月までの5年間に経験したMallory-Weiss症候群18例について,誘因,裂創の数,部位,形,病期および上部消化管の合併病変を中心として検討した.また出血量と上記諸因子との関係も検討を加えた.誘因では嘔吐が原因と考えられた例が最も多くみられたが, アルコール摂取は必要条件ではなかった.裂創の数は1条が多く,部位では胃粘膜内に限局する裂創と食道胃双方の粘膜にまたがる裂創が多く認められた.裂創の形では,線状型と紡錐型が同数に認められた.内視鏡による経過観察では,本症の裂創は,発症後48~72時間で表層性の線状潰瘍として認められた.大量出血は消化管に他の粘膜病変をもたないものに認められた.このことより局所粘膜の脆弱性は出血量と関連はないと考えられた.

1980.03.06

Determination of Pepsin in Human Gastric Juice with Special References to Modified Anson’s Method and the Storage Effect for Pepsin Activity

ヘモグロビンを基質としたペプシン活性測定法(Anson法)の改変法を確立し,その方法を用いて胃液の保存方法によるペプシン活性の経時的変動を検討した.この改変法は基質および検体が少量で測定することができ,再現性も良好である.また本法による測定値と日本消化器病学会胃液測定法検討委員会の方法による測定値とは良好な相関を示した. (y=1.024x-0.002, r=0.966, p<0.001)pH1.0の胃液は4℃に保存すると14日後には活性が20%減少し -60℃に保存すると4日で完全に失活した.しかしながら0.1M acetate buffer, pH5.3で透析した胃液は14日後には4℃に保存すると5%, -60℃でも25%の失活しかみられなかった.このように透析後胃液を4℃で保存するのが最もペプシン活性の減少が少なかった.

1980.03.05

Study on Serum Concentration of Anticonvulsants given to Children with Convulsive Disorders Part 1. Serum Concentration of Anticonvulsants given to Children with Epilepsy or Febrile Convulsions

てんかんまたは熱性痙攣と診断され Phenobarbital (以下PBと略す). Phenytoin(PHTと略す), Primidone (PRMと略す), Ethosuximide (ESMと略す), Carbamazepine (CBZと略す)の5種類の抗てんかん剤のうち少なくとも1剤以上の投薬をうけている患者の抗てんかん剤血中濃度をEMIT法により測定し,次の結果を得た.1.投与量と血中濃度との関係については CBZで有意の相関を認めなかったが PB,PHT,PRM,ESMでは相関を認め,投与量は, mg/日よりもmg/kg/日でより高い相関を認めた.2.体重ならびに年齢とIevel/dose ratioとの関係についてはCBZでは有意の相関を認めず, PB, PHT, PRM, ES班では相関を認め,特にPBでは,年齢7歳と体重25kgを境にしてIevel/dose ratioの急激な上昇を認めた.3.熱性痙攣患者においてはPB経口投与開始後, 1~2週間で血中濃度は定常状態に達した.また痙攣直後にPB 10mg/kgを筋注し,次いでPB 3mg/kgを持続経口投与すると,血中濃度は初期より上昇した.4. PBの血中より髄液への移行率は平均46%であった.5.大発作あるいは焦点性てんかん並びに熱性痙攣患者におけるPBの有効血中濃度は,3~22μg/mlであった.純粋小発作てんかんにおけるESMの有効血中濃度は25~110μg/mlであった.6. PHTその他の抗てんかん剤はいずれもPBの血中濃度を上昇させる傾向にあった.7.調剤過誤によるPHT急性中毒の1例と急性肝炎に伴ったPB急性中毒と思われる1例を報告した.

1980.03.04

Familial Duodenal Diverticula ; Six Siblings and Mother

十二指腸憩室の成因については種々の検討がなされて来たが,定説はなく,また家族性因子についての報告もみられない.我々は同胞間に多発した十二指腸憩室の家系を経験した.この家系では検索可能であった7人姉妹のうち6症例,および母親の計7症例に十二指腸憩室がみられた.このうち3例は多発性憩室であり,また5例には傍乳頭憩室が認められた.経口的上部消化管X線検査は全例に行ない,注腸X線検査は3例に行なったが,他の消化管憩室は発見されなかった.胆嚢収縮不全は4例に認められたが,胆石は認められなかった.この報告から断定的な考察を行なうことはできないが,十二指腸に脆弱部を持つ症例が多発する家系が存在することが重要である.さらに症例を重ねて研究することによって十二指腸憩室の成因に遺伝的素因が関与するか否かを明らかにすることが必要である.

1980.03.03

The Effect of Granulocyte Transfusions to Severe Infections associated Agranulocytosis

顆粒球減少症では感染症が死亡原因の主因を占める.多くの抗生剤がこのような患者に使用されるが,顆粒球減少時には,ほとんどの薬剤はあまり有効でない.したがって,無顆粒球症で感染症に対しては顆粒球輸注が必要となる.我々はfiltration leukapheresisを用いて,臨床的に明らかな感染症例で顆粒球数の平均102/μl以下の患者に28回の顆粒球輪注を行なった.In vitroでの顆粒球機能は採取前・後で比較して有意の差は認められなかった,顆粒球輸注は感染症例12例中, 8例に有効であった.

1980.03.02

Studies on the growth of Varicella-Zoster Virus (VZV) II. Isolation of Varicella-Zoster Virus (VZV) Strain Stable against Freezing-thawing Treatment

無細胞ウイルス浮遊液で安定なvaricella-zoster virus (VZV)株を得るために凍結融解処理によって分離実験を行ない,次の結果を得た.1. VZV-M株の増殖したヒト胎児線維芽細胞を継代に際して凍結融解(-75℃, 2回)し,これを接種材料とした.この方法で連続8回植継ぎをくりかえし,凍結融解に安定なウイルス株を得た.そのウイルスの最高感染価は6×103FFU/mlであった.このウイルス(MFウイルス)は典型的な細胞変性,特徴的核内封入体の形態,蛍光抗体法によるテストおよび中和試験によってVZVであることが確認された.2.凍結融解に対してMFウイルスの感染性を安定化する因子が発見された.この因子はトリプシンに感受性で,感染細胞で産生され培地中に遊離されるものと思われる.以上の結果から凍結融解に対してVZVが安定であるためには2つの条件,ウイルス自体の安定性(MFウイルス株)および培地中の因子が必要なことが判明した.

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