h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

topimage01

2001.02.01

Serotyping of aChlamydia trachomatis strain by immunoblot analysis of the seorvar-specific major outer membrane protein (MOMP) antibody *

 クラミジアの型別をイムノブロッテイング法(IB)での型特異主要外膜蛋白(MOMP)に対する抗体を検索することにより行った. Tawma株のMOMPは45 kDa, L2のそれは42 kDa であった. L2のMOMPより大きい分子量を有するA, C, D, H, I, J, K, L3型の各抗血清とTawmaMOMPおよびL2 MOMP抗原の反応において抗-A, C, I, J, K, L3 (C群)血清はL2型(B群) MOMPよりTawma株MOMP抗原に対して強い反応を示し,抗D(B群)血清はL2型MOMP抗原に対して強い反応を示した.それらC群抗血清のTawma株MOMP特異性を表す指標Tawma MOMP抗体価/L2 MOMP 抗体価は抗C血清において最も高い価を示した.よってTawma株はC型と決定した. この結果は単クローン抗体法による結果と一致した.     (平成13年1月12日受理)

2001.01.08

Role of mitochondrial and mitochondrial DNA damage due to oxidative stress in diabetic nephropathy *

 糖尿病における臓器障害の発症・進展機構に酸化ストレスが関与していることが明らかとなっている.糖尿病性腎症進展過程における,活性酸素によるミトコンドリア機能異常,ミトコンドリアDNA(mtDNA)の酸化的修飾の存在及びその意義について検討した.streptozotocin (STZ)糖尿病モデルを作成し,まず高血糖状態下での糸球体内活性酸素発生について検討した.コントロール群(C群)と比較し,糸球体内での活性酸素発生の有意な増加を認めた.次に,核酸の酸化的修飾の状態を8-hydroxy-deoxyguanosine (8-OH-dG)を指標として検討した.8-OH-dGの尿中排泄量は高血糖導入後,有意に増加した(C群:325±34 ng/日vs. 888±347 ng/ 日p<0.05).腎組織における8-OH-dGの局在を免疫組織化学により検討したところ, 8-OH-dGの蓄積は主に糸球体上皮および内皮細胞に認められた.細胞内では主として細胞質に局在しており, mtDNAの酸化的障害の蓄積が推測された. mtDNA遺伝子の発現変化を検討したところ,ミトコンドリア呼吸鎖complexⅠ,Ⅲ構成分子であるNADH dehydrogenase 2 及びcytochrome bの遺伝子発現が糖尿病群において低下していた. 次に,培養糸球体上皮細胞を用いて, mtDNAの酸化的障害が細胞機能に与える影響について検討した.ミトコンドリア呼吸鎖酵素群complex I及びⅢの特異的阻害薬を用いたところ,細胞内に活性酸素産生の亢進を認めた(p<0.05).また,糸球体上皮細胞を活性酸素により処理したところ,ミトコンドリア膜電位の低下とapoptosisの誘導を認めた. 以上の結果より,糖尿病性腎症において,糸球体内での活性酸素産生の亢進と,その結果生じるミトコンドリア及びmtDNAの酸化的障害が,組織障害の進展に関与している事が明らかとなった.                       (平成12年10月27日受理)

2001.01.07

Noxious stimulation on the peripheral nerve by the nucleus pulposus – Expression of c-fos in the lumbar spinal cord; immunohistochemical study – *

 腰椎椎間板ヘルニアに発生する根性坐骨神経痛の病因の一つとして,椎間板を構成する髄核自体が神経根へ組織学的変化,炎症反応を引き起こすことが報告されている.今回,髄核が後根神経節より遠位の末梢神経に及ぼす影響を検討した.実験はラットを用い,末梢神経の坐骨神経上膜周囲に他のラット尾部から採取した椎間板成分の同種髄核を注入し,中枢神経の脊髄後角に痛みとして認知されうるか否かを評価した.動物実験上で捉えにくい痛みを客観的に評価するために,疼痛受容の指標として用いられているc-fos陽性細胞の発現を免疫組織化学染色した.その結果,超音波破砕機でゲル状にした髄核を注入したものでは,坐骨神経上膜周囲に炎症細胞の浸潤がみられ,またL4髄節レベル後角の内側Ⅲ, Ⅳ層にc-fos陽性細胞の発現が観察された. c-fos陽性細胞の発現は,中枢神経細胞の活動性の亢進を示しており,疼痛との関連性を示唆した.   (平成12年10月27日受理)

2001.01.06

Thumb reconstruction with partial toe transfer *

 microsurgeryの発展により,母指の欠損に対して,必要最小限の部分足趾移植による機能および整容を配慮した欠損の再建が可能となってきた.本稿では,母指欠損に対する代表的な部分足趾移植術とその適応,術後長期経過などにつき若干の知見を報告する. 1983年3月から1999年までになされた母指再建術は27例であった.内訳は,男16例,女性11例で,手術時年齢は6歳から66歳,平均34.3歳であった.再建術式は,第工足趾をドナーとしたものでは, Wrap-around flap 3例, Wrap-around flapと足背皮弁の合併皮弁3例,合併型のWrap-around flapと第2趾関節移植3例, Wrap-around flapと第Ⅰ趾間腔皮弁の合併皮弁1例, Thin osteo-onychocutaneous flap 6 例,爪皮弁1例, Trimmedgreat toetip transfer 3例であった.第Ⅱ足趾からは,第Ⅲ足趾と足背皮弁の合併皮弁2例であった.また,広背筋穿通枝皮弁と肩甲骨の合併皮弁を2例,その他3例であった. 再建術式の選択として,指尖部の欠損,爪欠損には第Ⅰ足趾からの血管柄付き爪移植,爪を含めた指尖欠損には爪皮弁, clow nailには爪母を含まず末節骨を含むtrimmed greattoetip,末節の欠損には末節骨の一部,爪2/3と趾腹皮弁を用いたthin osteo-onychocutaneous flapが適する.基節部の欠損では, Wrap-around flap と遊離腸骨移植が適応となる.中手骨部の欠損では,血管付骨移植と, Wrap-around flap と足背皮弁の合併皮弁を用いる.CM関節部の母指全欠損は,第Ⅱ足趾と足背皮弁の合併皮弁が適応となる.                               (平成12年10月25日受理)

2001.01.05

Effect of growth factors on cultured human keloid fibroblasts *

 創傷治癒過程において,様々な要因により,線維芽細胞などを抑制する条件に異常が生じ,肥厚性瘢痕や,ケロイドが形成されると考えられているが,これらの発生原因や治療法に関しては,今だ不明な点も多い. ヒト皮膚線維芽細胞に対する細胞増殖因子や,サイトカインなどの影響について現在まで,様々な報告がなされ,ケロイド形成においても細胞増殖因子や,サイトカインなどの関与が報告されてきた. 本研究で著者は,手術時に得られたケロイドおよび周辺正常組織から線維芽細胞を遊出し, Transforming Growth Factor (TGF)-βとTumor Necrosis Factor (TNF) -αとの相互作用について,コラゲナーゼの酵素活性とそのメッセンジャーRNA(mRNA)について検討を行った.その結果,ケロイド由来の線維芽細胞においてTNF-α単独刺激ではコラゲナーゼの酵素活性が促進されたのに対し, TNF-αおよびTGF-βの併用によるコラゲナーゼの酵素活性抑制がみられた.またmRNAレベルではTNF-α単独刺激と, TNF-αおよびTGF-βの併用には有意な差が見られなかった.これらの結果は,酵素活性レベルでのTGF-βのTNF-αに対する抑制作用と考えられる.細胞増殖因子によるケロイドに対する治療の可能性が示唆された.              (平成12年10月25日受理)

2001.01.04

Experimental study of the etiology of paraquat lung *

 パラコート中毒では未だにその病態生理は不明な点が多く,特にパラコート肺は,急性期,慢性期を通して,生命予後に大きく関与する病変である.このことから,肺胞洗浄液中の活性酸素の変動を測定し,パラコート肺の発生機序に関して検討した.活性酸素の測定においては, MCLA (ウミホタルルシフェリン誘導体, 2-methyl-6- (p-methoxy-phenyl) -3, 7-di-hydroimidazo[1,2- α] pyrazin-3-one)を用いて行った.実験は,12週令のSD系ラットの雌を用い,体重当たり120 mg/kg (高暴露群,LD50量の4倍量),60mg/kg (中暴露群群,LD50量の2倍量), 30 mg/kg (低暴露群群,LD50量)のパラコートを腹腔内投与し,それぞれの群の肺胞洗浄液中の活性酸素を測定した.その結果,肺胞洗浄液中の活性酸素の生成量はいずれの群においても,有意に増加していた.特に低暴露群においては,投与2日後に加え,投与6日後において有意に増加した.この低暴露群における所見は,従来,報告されていなかったものである.また,その増加は, Superoxide dismutase (SOD)を添加することにより完全に抑制された.病理組織学的には活性酸素の生成量が増加していた時期を同じくして,好中球の肺胞への浸潤,肺胞洗浄液中の好中球の出現を見た.これらのことより,肺胞洗浄液を用いた活性酸素の測定は,パラコート肺の病変を知るのに有用な方法であり,肺病変の出現に活性酸素,特にsuperoxideが大きく関与していることが判明した.低暴露6日後にも活性酸素の有意な増加を認めたことは,低暴露の場合に見られるintraalveolar fibrosis (パラコート肺)の成因にも活性酸素,特にsuperoxideが大きく関与していることを推測させた.病理組織学的所見もあわせて考えると,少なくとも暴露後一週間までは,活性酸素(suproxide)および好中球機能を抑制することが,本中毒の治療として重要であることが示唆された.                               (平成12年10月25日受理)

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