h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

topimage01

2001.02.07

 

2001.02.06

A case of intraductal papillary tumor in main pancreatic duct with acute pancreatitis as the first diagnostic clue *

 症例は62歳,男性.約半年前から心窩部痛および背部痛を自党するようになり当院を受診した.血液検査で膵酵素の上昇を認め急性膵炎の診断で入院した.腹部超音波検査(以下US)で主膵管の拡張と膵頭部主膵管内に径8mm大のポリープ様病変を検出し膵管内腫瘍(Intraductal Tumor)(以下IT)を疑ったが,CT,MRCPでは同病変や粘液の存在も認めず,内視鏡的逆行性膵管造影(以下ERP)を施行した.その結果,膵頭部主膵管内に透亮像を認め移動性も認めないことからIntraductal Papillary Tumor (以下IPT)と診断し部分的膵十二指腸切除術(以下PPD)を施行した.術後は膵炎の再発を認めていない. 粘液産生の少ない微少なIPT症例ではCT, MRCPなどの画像診断で腫瘤を見逃す可能性があり,膵炎発作という臨床症状を重視し,膵炎後の原因検索には本症を念頭におき検索することが重要と考えられた.               (平成13年5月22日受理)

2001.02.05

Tsutsugamushi disease in Okayama prefecture: A case report after three years of no reported cases *

 つつが虫病は早期に診断をつけ治療を行えば予後良好な疾患であるが,未だに治療の遅れによる死亡例がみられている.今回,つつが虫病が岡山県下で4年ぶりに2例報告され,その1例を経験した.症例は57歳女性.初診の3日前より悪寒,関節痛,発熱,頭痛を主訴に内科外来を受診した.当初,感冒と考え対症療法を行ったが症状が軽快せず,翌日になり本人が発疹を発見し皮膚科を受診した.そこで左後頚部の刺し口などよりつつが虫病が疑われ,再度内科を受診し精査,加療目的で入院した.つつが虫病リケッチア抗体価が有意に上昇しており,つつが虫病と診断した. minocyclin投与により患者の症状は消失し,入院9日目に重篤な合併症もなく退院となった. 本症は日本全国で報告があり,報告例数も増加している.岡山県においても注意すべき感染症の一つと考え,報告した.               (平成12年12月28日受理)

2001.02.04

The effect of mild hypothermia on reversible middle cerebral artery occlusion in the rat – Effect on regional cerebral blood flow and the therapeutic time window – *

 虚血・再灌流時の血流動態が,虚血脳の予後を決定する大きな要因であることから,ラット局所脳虚血・再灌流モデルを用いて脳低温下における虚血中および再灌流後の局所脳血流量(regional cerebral blood flow ; 以下rCBFと略す)の変化を検討した.また,脳低温下に虚血時間を2時間延長した場合の再灌流24時間後の脳保護効果について, rCBF,梗塞巣,アポトーシス, IL- 6 値から検討した.その結果,脳低温により虚血中心部では再灌流直後におこる高血流とその後の低血流が抑制されること,虚血辺縁部ではrCBFが増加し,その後もrCBFが保たれること,虚血遠隔部ではrCBFの変化が少なかったことが明らかとなった.また,脳低温により皮質領域でのrCBFは再灌流までの時間を延長しても保たれ,アポートシス細胞の出現もみられず,脳組織IL- 6 値の増加も認めなかった.このことから,脳低温がtherapeutic time windowの延長の手段となりうることが示唆された.                              (平成13年7月9日受理)

2001.02.03

Fetal microchimerism in rheumatic autoimmune diseases *

 リウマチ性自己免疫疾患(rheumatic autoimmune diseases : RAD)と慢性graft-versus-host disease (GVHD)には,免疫学的所見,臨床症状において共通点が多く,古くからその病因の近似性が指摘されている.近年,妊娠中に移行した胎児由来細胞が出産後の母体に生着する現象が見出され(fetal microchimerism : fMC) ,このfMCによるgraft-versus-host反応が自己免疫疾患の病因に関与する可能性が議論されている. 本研究では,Y染色体特有の配列であるDYZ 1の検出を,男児出産歴のある全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus : SLE),シェーグレン症候群(Sjogren’ssyndrome : Sjs),および全身性強皮症(systemic sclerosis : SSc)患者に対して行い,RAD患者におけるfMCの頻度を検討した,加えてfMCの遺伝的背景を検討するため,SSc患者のHLAクラスⅡ遺伝子型を検索した.結果,男児出産歴を有するSSc患者では,対照に較べ有意に高頻度にDYZ 1配列が検出された.一方,Sjs患者のDYZ1配列検出率は対照と有意差はなく, SLE患者からはDYZ 1配列は検出されなかった.SSc患者のHLAクラスⅡ遺伝子型はDRB 1 *0101, DQB 1 *0501が日本人全体の頻度と較べ,高頻度に検出されたが, DYZ 1検出群及び非検出群との差異は認めなかった.臨床像との比較では, BarnettⅢ型症例や高度な内臓病変を伴う症例においてDYZ 1配列が検出される傾向が見られた.これらの結果から, f MCがRADの中でも特にSScに高頻度であり,その臨床像はGVHDと類似すると考えられた.        (平成13年4月4日受理)

2001.02.02

Functional relationship between β-adrenergic receptor up-regulation and adenylate cyclase expression in mouse cerebral cortical neurons *

 初代培養マウス大脳皮質神経細胞への非選択的β-アドレナリン受容体(β-AR)拮抗薬であるnadololに長期間曝露した場合に生じるβ-ARおよびcAMP生成系の発現変化の機能的関連性について検討した.[3H]CGP12177結合はnadololへの曝露時間および曝露したnadolol濃度に依存して有意に増加した. Scatchard解析の結果, nadolol曝露群ではBmax値の有意な増加が認められた.β1-およびβ2-ARへの[3H]CGP12177結合と,それぞれのmRNA発現がnadolol曝露により有意に増加した. Isoproterenolおよびforskolin刺激性cAMP生成はnadolol曝露により有意に亢進した.また, nadolol曝露はAC type Iの蛋白およびmRNA発現を有意に増加させた.以上の結果から, nadololの長期曝露により,初代培養マウス大脳皮質神経細胞ではβ-AR蛋白の発現増加に起因するup-regulationが誘発されるとともに, AC type lのみの発現亢進によるcAMP生成が生じることが明らかとなった.                            (平成13年3月7日受理)

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