h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

topimage01

1999.03.01

Origin of apoptotic cells in the interstitium of the superficial cortex of newborn mouse kidneys *

 新生子マウス腎臓皮質の浅層に出現するアポトーシス細胞の局在と由来を明らかにすることを目的として,生後2日のマウス腎臓を光学および電子顕微鏡で観察した.新生子マウス腎臓皮質はネフ囗ンに分化する腎胞と集合管へと分化する尿管芽およびこれらの間を満たす間質組織からなる.間質は楔状細胞質突起を有する間質細胞が細工を形成し,その間を新生毛細血管が走行する.間質にはTUNEL染色陽性を呈する死細胞が出現する.死細胞は皮質浅層にみられ,とくに後腎組織帽の髄質側の下端部に面する同質に多く,染色質の核縁凝集と核および細胞質の断片化を特徴とする.超微形態学的に核染色質の濃縮を呈する細胞は後腎組織帽内にも少数認められること,後腎組織帽内へ細胞質突起をのばし死細胞を取り込む間質細胞や後腎組織帽下端に接する間質にアポトーシス小体を含む間質細胞が出現することから,新生子腎臓で皮質浅層の間質に出現するアポトーシス細胞の大多数は後腎組織帽の後腎芽細胞の細胞死に由来するとみなされる.(平成11年7月19日受理)

1999.02.08

 

1999.02.07

 

1999.02.06

 

1999.02.05

Use of a veous flap transfer for a small defect of the thumb – a case report – *

 Venous flap は,皮弁内に静脈のみを含め挙上する皮弁であり,挙上が容易であり主要動脈を犠牲にしないという利点を有する.今回, Venous flap を用いた手指の再建を経験したので報告する. 症例は,68歳男性.左母指爪部の悪性黒色腫に対して,骨を含む局所切除を行い,同部の欠損に対して左前腕部からVenous flap を挙上し,母指末節背側部の欠損を再建した. 爪下悪性黒色腫に対してVenous flapを応用した報告は現在までに認められず,本法は,外傷のみならず,腫瘍切除後の手指の小欠損の被覆に対しても有用な再建法のーつであると考える.                            (平成11年7月2日受理)

1999.02.04

A case of pyothorax-associated lymphoma treated with the radiotherapy after a failure of initial chemotherapy *

 慢性膿胸患者の2.2%に胸壁原発悪性リンパ腫が合併するといわれ,本邦で約100例の報告がある.一般に化学療法や放射線治療に抵抗性で予後不良とされるが,治療内容についての詳細な記載はない.今回我々は化学療法が無効であった本疾患に対し放射線治療を施行した1例を報告する. 症例は72歳の男性.47年前に右結核性胸膜炎,2年前に膿胸を生じ胸膜剥皮術の既往がある.右胸痛と労作時呼吸困難,右上腕浮腫を主訴に1997年10月近医受診.右鎖骨上窩リンパ節腫大とCTで右胸壁に浸潤性に発育する腫瘍を認め,針生検にて悪性リンパ腫(diffuse large B-cell type) stage ⅡEと診断された.CHOP療法を2クール施行されたが無効なため, 1998年1月当科紹介となり,右胸壁腫瘤と右鎖骨上窩リンパ節に対し外照射50.5 Gy を施行した.放射線治療により腫瘍の縮小および自覚症状の改善を得て在宅療養が可能となり,その後も照射野内の腫瘍は制御されていたが,胸・腹腔内にリンパ腫の急速な増悪を来し, 1998年4月呼吸不全のため死亡した.      (平成11年5月13日受理)

1999.02.03

Prediction of postoperative delirium occuring in patients with femoral neck fractures *

 大腿骨頸部骨折にて手術を行った患者71名(男性11名,女性60名,平均年齢80.7歳)を対象として,術前の臨床評価と術後せん妄の関連を統計学的に検討した.せん妄の発症者は19例, 26.8%であった.せん妄発症およびDelirium Rating Scale (DRS)は,術前意識障害,不眠,脳梗塞,せん妄の既往,抗パーキンソン薬・H2 blocker ・ 抗うつ薬の三種薬剤のいずれかの使用との関連を認めた.中等度以上の肝障害がせん妄発症と関連し,受傷から手術までの期間,痴呆,呼吸不全,不安状態がDRSとの関連を認めた.多変量解析を行った結果,術前意識障害,三種薬剤,脳梗塞,せん妄の既往,痴呆,術前期間,呼吸不全,不眠の順に高いカテゴリーウェイトレンジが得られ,DRSの予測式(DRSの推定値Y=9.530十各カテゴリーウェイトの和)を作成した.術前意識障害と三種薬剤の術後せん妄に及ぼす影響がとくに大きいと考えられた.        (平成11年6月16日受理)

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