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Online edition:ISSN 2758-089X

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1996.02.07

A Case of Hepatic Encephalopathy Revealing Cerebellar Ataxia as an Initial Symptom *

症例は72歳,男性.歩行時のふらつきとしゃべりにくさを主訴に来院し,高アンモニア血症を認め腹部超音波検査にて肝硬変の像が得られた.治療による血清アンモニアの低下とともに運動失調は改善し,肝性脳症に伴った運動失調と診断した.(平成8年6月24日採用)

1996.02.06

A Case of Granulation Tissue Type Hemangioma Arising in the Oropharynx ―Diagnostic Utility of CT Scan and Angiography― *

中咽頭に発生した肉芽組織型血管腫の一例を経験したので画像所見を中心に報告する。症例は70歳の女性で,喉頭部違和感と嗄声を主訴として来院した.喉頭鏡にて中咽頭後壁に表面平滑で易出血性の腫瘤が認められた.造影CTでは腫瘤は造影早期より著明な造影効果を示していた.血管造影では右上甲状腺動脈を栄養血管として,淡い腫瘍濃染像が認められた.入院後,腫瘤の急速な増大により呼吸困難をきたしたため全摘出術が施行された.病理組織学的には腫瘤は分葉状に増殖する毛細血管の増生が主体で,炎症細胞の浸潤を伴い,肉芽組織型血管腫と診断された.一般に中咽頭原発の腫瘍は殆どが悪性とされているが,本症例では造影CTおよび,血管造影により血管腫の可能性が術前から示唆され,良悪の鑑別診断に有用であった.(平成8年8月16日採用)

1996.02.05

Assessment of the Ventilometer VM1 and the Peakman 8 *

患者および健康者(男性25名,女性48名,年齢19~78歳)を対象にして,ベンチロメーターVM1およびピークマン8によりピークフロー,1秒量を測定し,ボックス型スパイロメーターで求めたそれらの値と比較した.また,ベンチロメーターVM1は努力肺活量,1秒率についてもボックス型スパイロメーターと比較した.ベンチロメーターVM1およびピークマン8から得られたいずれの測定値もボックス型スパイロメーターときわめて良い相関を示した.ベンチロメーターVM1およびピークマン8は,気管支喘息患者が家庭で使用する簡易肺機能測定器として有用と思われる.         (平成8年9月10日採用)

1996.02.04

Sternocleidomastoid Muscle Atrophy after Modified Neck Dissection ―A Clinical Study― *

保存的頸部郭鎖清術(Modified neck dissection ; MND)後の胸鎖乳突筋の萎縮の病態を究明するために, MND後筋萎縮を来した40症例を対象として,視診と触診による萎縮の部位,筋電図検査による萎縮の原因,超音波検査を用いた萎縮および筋線維化の程度,徒手筋力テストによる筋力低下について検討した.胸鎖乳突筋の萎縮部位は,胸骨頭と鎖骨頭の両者に生じた症例が18例と最も多く,ついで胸骨頭のみが12例,鎖骨頭のみが6例であり,筋全体に及ぶ萎縮は4例であって,筋萎縮の90%は筋尾側部に認められた.筋電図検査では,神経原性萎縮が24例,阻血性萎縮が11例,両者が混在したものが5例であった.超音波検査では,萎縮の程度と筋の線維化は,阻血性萎縮を示したものの方が神経原性萎縮を示したものより強かった.また筋萎縮に伴う筋力低下には,筋萎縮と程度,筋萎縮を来さなかった部位の代償性肥大の有無が関与した.これらのことより,MND後の胸鎖乳突筋の萎縮には,筋尾側の栄養動脈の損傷と同筋の筋肉内神経線維の局所的な損傷が関与することが示された.胸鎖乳突筋の術後の萎縮を防止するためには,術中同筋を愛護的に扱い,筋肉内神経線維と上甲状腺動脈および甲状頸動脈の分枝の損傷を防止することが重要であると考えられた. (平成8年9月10日採用)

1996.02.03

A Histological Analysis of Osteochondral-Shell after Storage by in Vitro Organ Culture in Rabbit *

ウサギ大腿骨頭の骨軟骨殼(osteochondral-shell)を器官培養法で保存し,静置および攪拌を加えた場合の二つの条件下で軟骨の組織学的変化を検討した.対照として採取直後の大腿骨頭軟骨を用いた.対照群の軟骨細胞生存率は平均85.0%であった.2週間培養では静置,攪拌ともに差を認めず,また4・8週間培養でも有意な差を認めなかった.12週間培養で静置培養では,軟骨細胞生存率は75.2±3.5%,攪拌培養では,86.0±3.4%で静置群と攪拌群の軟骨細胞生存率の間に有意差(P<0.01)が認められた.すなわち,関節軟骨細胞生存率は保存液の攪拌によって上昇し,培養液攪拌は,関節軟骨保存に対して促進的に作用する可能性を示す.        (平成8年8月5日採用)

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