h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

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1996.02.02

Activation of Human Lymphocytes by a Silica Compound with Superantigen-like Action *

珪酸化合物のヒトリンパ球に対する作用として,特定のTcR Vβレパートアを活性化させるスーパー抗原作用の有無を検討した.シリカおよびアスベストのーつであるクリソタイルによりヒト末梢血リンパ球を刺激し,細胞内Ca++濃度を測定したところ,全体の10~20%のリンパ球に上昇がみられた.次にクリソタイル刺激後72時間のVβレパートアの割合を測定した.Vβ5.3あるいはVβ6.7陽性細胞の割合が有意に上昇しており,これらのレパートアが特異的に分裂増殖したものと考えられた.またクリソタイル刺激により活性化(細胞内Ca++の上昇)した細胞群をsortingにより回収し,そのVβレパートアの割合を測定した.この場合も同様にVβ5.3あるいはVβ6.7陽性細胞の割合が上昇した.従って,シリカおよびクリソタイルは特定のVβレパートアを特異的に活性化,増殖させることからスーパー抗原作用を有するものと思われた.                              (平成8年9月6日採用)

1996.02.01

Clinico-Statistical Analysis of Orthodontic Patients with Cleft Lip and/or Palate in the Orthodontic Clinic of Kawasaki Medical School during the Past 11 Years *

当病院矯正歯科における口唇裂口蓋裂(CLP)患者の経年的変遷を把握するために,当科創設後11年間の514名を対象に臨床統計的観察を行うとともに,当科創設前9年間の60名についての前回調査との共通項目について比較検討した.総初診患者に対するCLP患者率は国内の他診療機関よりも大きく, 32.6%を示し,前回の22.4%よりもさらに増加していた.男女比では前回より男子の割合が増加傾向を示した.初診時年齢分布のピークは0歳にあり,他機関とは大きな違いを示し,前回の6歳よりも大幅に低年齢化した.治療開始年齢分布のピークは5歳で,前回(6~7歳)よりもやや低年齢化した.居住地分布では比率の上で岡山は減少傾向,広島は増加傾向を示し分布の広域化が伺えた.咬合発育段階ではともにⅡCが最も多いが,全体の分布は若年の方へ移動し,他機関とは様相を異にした.裂型分布では唇顎口蓋裂は減少し,口蓋裂が増加した.咬合異常の状態では前回は交叉咬合,下顎前突,前歯部叢生の順に82~42%の高率を示したが,今回は下顎前突,交叉咬合,前歯部叢生の順で50~27%であり,複雑な咬合異常が未だ十分に顕在化していなかった.上顎側切歯の先天的欠如歯の頻度については他機関とほぼ類似していた.このようにほとんどの各調査項目において他機関との相違を示したのは,当科ではCLP患者の矯正治療は0歳から始まると言う基本方針を持ち,かつチーム医療体制の充実により形成外科からの紹介が円滑に行われるためであろう.また,前回調査に比べても多様な変化を示したのは,CLP起因の咬合異常の矯正治療に健康保険・育成医療制度が導入され,さらに矯正歯科が常設となり,チーム医療体制が次第に整備されて行ったためであると考える.        (平成8年7月13日採用)

1996.01.07

Bronchial Arterial Infusion Chemotherapy for Mediastinal Lymph Node Metastasis from Uterine Cervical Cancer―A Case Report― *

子宮頸癌術後17か月目に縦隔リンパ節及び肺転移を来した症例に対し放射線療法,温熱療法に加え,集学的治療の一環としてcarboplatin (CBDCA)を主体とした気管支動脈内抗癌剤注入療法(Bronchial Arterial Infusion : 以下, BAIと略)を施行し良好な結果を得た.予想される上大静脈(SVC)症候群に対する治療法の1つと考えられた.(平成8年4月22日採用)

1996.01.06

Spontaneous Recovery from Plunging Ranula : Report of Two Cases *

今日まで顎下型ガマ腫の自然治癒は報告されていない.われわれは自然治癒したと考えられる稀な顎下型ガマ腫の2例(50歳女性,14歳男性)を経験した.2例とも典型的な臨床像(顎下部のび漫性腫脹,CTにおける顎下部の境界明瞭な単房性透過像)を示した.自然治癒の成因は,舌下腺の部分的萎縮とその後の線維性結合織による置換と推測された.また顎下型ガマ腫の今後の治療法としては,まず吸引圧迫療法を行い,再発例のみ舌下腺摘出術を考慮するのがよいと思われた.             (平成8年3月25日採用)

1996.01.05

The Report of a Case Accompained with Generalized Giant Tumoral Calcinoses Due to Renal Hyperparathyroidism *

二次性上皮小体機能亢進症に対して活性型ビタミンD3を用いたパルス療法を施行中に全身に巨大な腫瘤状石灰化が生じ,上皮小体摘出術により著名な縮小が認められた1例を経験した.症例は12年の透析歴を有する46歳の男性で,腎性上皮小体機能亢進症に対して活性型ビタミンD3を用いたパルス療法を施行されていたが,高カルシウム血症が持続し背部を主として全身に腫瘤状石灰化が生じた.入院時には背部に15×11×4 cm,右肩甲部に16×16×5 cmの腫瘤状石灰化が認められたが,上皮小体全摘出術および自家移植術直後より縮小傾向がみられ,6ヶ月後にはほぼ完全に消失した.本症例は活性型ビタミンD3を用いたパルス療法の限界を示し,外科的治療の有効性を示した症例である.                       (平成8年6月24日採用)

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