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Online edition:ISSN 2758-089X

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1990.01.06

Treatment of Idiopathic Femoral Head Necrosis by Transtrochanteric Rotational Osteotomy *

6例8股関節に対して大腿骨頭回転骨切り術を施行した.平均術後経過観察期間は67か月であった.その内訳は, Stage Ⅰが2股,Ⅱが3股,Ⅲが3股関節であった.8股関節中4股関節は経過良好であった.しかし残りの4股関節には骨頭変形の進行が認められ,そのうち2股関節には追加手術を行った.われわれの症例では,術後の臼荷重部に対する骨頭健常部の占拠率および手術手技が術後成績に影響を及ぼしていたものと思われる.これらの点に注意すれば大腿骨頭回転骨切り術は本症に対して有用な方法と考える.                             (平成2年3月31日採用)

1990.01.05

Studies on the Treatment of Hepatic Carcinomas by Intraportal Infusion of an Anticancer Drug- ―Prevention of Hepatic Dysfunction and Enhancement of Anticancer Effect― *

肝細胞を制癌剤による障害から保護する目的で, fructose溶液を経門脈的に注入し,肝エネルギーレベルを一過性に低下させる方法を考案した.門脈内にfructose溶液を持続注入すると,肝細胞に特有なfructokinaseによってfructoseはfructose-1 -phosphate に代謝され,ATPを消費して, ATPが回復するまで肝エネルギーレベルは低下した状態にとどまるため,高濃度の制癌剤を分解する反応も低下し,有害な中間代謝物やフリ-ラジカルの発生が抑制される. 40 % fructose溶液を経門脈的に5分間注入した場合, total adenine nucleotide とenergy charge は低下し,注入終了後60分で両者は注入前値に回復し,一過性に肝エネルギーレベルを抑制することができた.またこの際, doxorubicin をfructose溶液と同時に投与しても, energy chargeはfructose溶液の注入終了時に10.45 ±O.04 に低下し,投与終了後60分で前値に復した.ラット大腸癌の肝転移モデルにdoxorubicinとfructose溶液を併用投与した場合,正常肝細胞は代謝が抑制されているにもかかわらず,同時に投与したdoxorubicin の抗腫瘍効果は抑制されず, GOT ・GPTの測定でも,肝細胞障害を抑制する傾向が示された.   (平成2年2月19日採用)

1990.01.04

Percutaneous Ethanol Injection for Hepatocellular Carcinoma ― Use of Large Volumes of Ethanol ― *

肝細胞癌15例に対し,エタノール大量局注を行い検討を加えた.局注量は1回10 ml~35 ml (平均15.5 ml)使用した.副作用は一過性の血圧低下,血圧上昇および発熱がみられたが,重篤な副作用は認めなかった.肝動脈塞栓術(TAE)による治療で不十分な壊死に対してPEITを追加することにより完全な凝固壊死がえられることが生検組織から確認された.腫瘍径5cm以上の肝細胞癌に対してはTAEとPEITを併用する方法が有効であると思われた.                         (平成2年4月6日採用)

1990.01.03

A Clinical Investigation of Endoscopic Gastric Polypectomy *

1974~1989年までの16年間に本院内視鏡センターで行った内視鏡的胃ポリペクトミーの臨床的検討を行った.総数は延べ295例, 407個のポリペクトミーを行い379個を回収した(回収率93.1%).男女比は約1:2で年齢別では男性では50歳代,女性では60歳代に多い.部位別ではAに45%, Mに42%と多く,また大彎側は44%を占めた.形態別では有茎性が44%,亜有茎性が42%と両者で86%を占め,異型上皮巣を含む半球状隆起の例は14%たった.摘出ポリープの大きさを測定した349個でみると,最大長でlcm以上2cm未満が43%と一番多く,次いで1cm未満が40%, 3 cm以上は3%.組織学的にadenomatous polyp を含む非腫瘍性ポリープは348個(91.8%),腺腫が19個(5.0%),inflammatory fibroid polyp が5個(1.3%),癌腫が4個,カルチノイドが2個,胃悪性リンパ腫1個であった.合併症は明らかな後出血が3例あったが,穿孔はなかった.ポリペクトミーは大きさが1cm以上で出血の原因が疑える場合,増大傾向や悪性を否定できない場合,経過観察が難しい場合などに適用されるが,基本的には完全生検を目的とし結果的に治療にもなる点て考慮すべきである.        (平成2年3月15日採用)

1990.01.02

Transient Roentgenographs Expansion in Atypical Pneumonia *

1985年1月から1988年12月までの4年間に当院へ入院した非定型肺炎患者のうち,ミノサイクリン,ドキシサイクリン,またはエリスロマイシンによる治療で治癒した症例は71例であった.そのうち治療中一時的に陰影が拡大するものが7例に認められ,全体の9.9%を占めた.陰影が一時的に拡大する時期は,抗菌剤を効果判定する時期に一致する3~5日目であった.この場合,抗菌剤を継続投与するか否かを決定する最も良い指標は,発熱であった.赤沈は,約16%に治療開始3~6日目に軽度の一時的悪化がみられた.                             (平成2年3月12日採用)

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