h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

topimage01

1989.03.07

Cluster Analysis of 56 Depressed Patients Receiving Imipramine *

うつ病患者56人をハミルトンうつ病評価尺度(HDRS)の21項目をもとに,クラスター分析をおこなった結果,患者を4群に分類することができた.症状の特徴から抑制型,不眠型,悲哀型,身体型と命名できた.躁病の既往者数や年齢は群間に有意差は認められなかった.性別は抑制型が男11人,女2人,悲哀型が男3人,女6人で,両群の間に有意差が認められた. imipramineの効果は抑制型の13例中7例,不眠型の20例中8例,悲哀型の9例中6例,身体型の14例中11例が有効と判定され,身体型は不眠型に対して有意に有効であった。HDRS得点は身体型32.4点,不眠型22.3点,悲哀型21.6点,抑制型15.5点の順に高く,不眠型と悲哀型の間以外で有意差が認められた.(平成元年8月17日採用)

1989.03.06

Percutaneous Ethanol Injection Therapy(PEIT)―Experimental and Clinical Studies *

肝癌に対するエタノール局注療法(PEIT)の有用性について,ラットDAB肝癌および臨床例について病理組織的検討を行った.また,エタノール局注による生体免疫能の変化を検討するため,NK活性,リンパ球サブセットおよびNK細胞表面マーカーの変化を観察した.また,エタノール以外に,レンチナンやOK-432を腫瘍内に局注し免疫能に及ぼす影響を比較した.1)エタノール局注部位は2日後には完全な壊死に陥っていたが,エタノール非浸透部は影響されず,効果は限局的であった.2)エタノール単独局注ではNK活性の低下, OKT 4 ; 4/8 比の増加, Leu7-CD16+ 細胞は減少した.3)レンチナンOK-432の単独局注ではNK活性の増加, 0KT8の増加がみられた. 4) OK-432単独局注でLeu7-CD16+細胞は増加し,エタノールとOK-432の併用局注でも同様の結果を得た.(平成元年8月10日採用)

1989.03.05

Immunological Reaction in Hepatocellular Carcinoma by PEIT ―Effect of Combined Use of Local Injection of Lentinan *

肝細胞癌15例を対象にエタノール腫瘍内局注療法(PEIT)を行い,末梢血NK活性およびリンパ球サブセットの変動を測定した.エタノール単独局注時とレンチナン局注併用エタノール局注の両者の免疫能に及ぼす影響を比較検討した.NK活性はエタノール単独局注時には26.1±13.0%から局注1日後15.9±11.1%と有意の低下を認めた.レンチナン併用時には前21.5±14.4%, 1日後21.8±16.9%, 7日後30.3±14.5%と増加がみられた.リンパ球サブセットに関してはOKT 4 はレンチナン併用時前44.7±8.9%,1日後50.3±11.4%, 7日後49.3±11.1 %と有意の増加がみられ, 4/8比も前2.0±0.9から1日後2.5±1.1と有意に増加した.エタノール単独局注ではOKTサブセットの変動はほとんどみられなかった.以上の結果からレンチナン局注の併用は肝癌に対する全身的免疫反応の賦活に有用であると考えられた.(平成元年4月25日採用)

1989.03.04

CT Imaging of Cardiac Tumors *

心臓腫瘍のCT所見について検討した.粘液腫2例と悪性リンパ腫の心臓転移2例,脾原発血管肉腫の心臓転移1例の計5例に造影剤注入CTを施行した.心臓内腫瘍は,心房内および心室内の明瞭な陰影欠損として描出された.腫瘍の付着部位および大きさはよく描出されたが,腫瘍の表面の詳細および内部構造の検討には,なお不十分な点が残った.超音波断層検査との併用により,CT検査は極めて有効な心臓腫瘍の非侵襲的検査法となり得ると考えられる.(平成元年6月15日採用)

1989.03.03

Effect of Alcohol-Intake on the Myoglobin Metabolism of the Myocardium I. Immunohistochemical Study of Autopsy Hearts *

アルコール性心筋症の発生機序についてはいまだ不明な点が多い.ミオグロビン(Mb)は,筋細胞中で主に酸素の運搬と貯蔵を行い,その代謝にとって重要な役割を演じるので,アルコール摂取が心筋細胞のMb代謝に与える影響について,剖検心を用いて免疫組織学的に検討することを目的に本研究を行った.対象は剖検例から3群,すなわち,I群:10年以上の習慣的な飲酒歴のある28例,Ⅱ群:飲酒歴のない28例,Ⅲ群:疾病対照(特発性心筋症,心筋炎,進行性筋ヂストロフィー症, Kugelberg-Welander病)9例を選んだ.検索方法は,左心房・心室壁筋のホルマリン固定・パラフィン切片を用い,抗ヒトMb家兎血清fab’分画によりペルオキシダーゼ酵素抗体法(直接法)でMb染色を行い,あわせて心筋細胞の変性と間質の線維化との関連を検討するために, alcian blue-PAS とazan染色を行った.I群では,Ⅱ群に比べて.心筋細胞のMb染色性が明らかに低下していた.特に大酒家(10年以上にわたるエタノール換算量125 ml /日)では,その傾向が顕著であった.Ⅲ群もMb染色性が低下していたが,Ⅱ群との間に統計的な有意差はなかった.各症例における心筋の部位別染色性は,I群において左室壁の心内膜側半でMb染色性の低下を示すものが,その心外膜側半や心房壁におけるものよりも有意に多かった.心筋細胞の変性と間質の線維化の頻度は,3群間で有意の差がなかった.以上の結果より,長期間のアルコール摂取によって心筋細胞のMb代謝に何らかの障害が起こり,それがアルコール性心筋症の発生に関与する可能性が示唆された.(平成元年5月24日採用)

← newer entries older entries →