h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

topimage01

1988.02.04

Analytical Study of Gastric Cancer Treated in Our Clinic ―With Special Reference to the Annual Transition― *

胃癌は,本邦ではいまなお悪性新生物の第1位を占める疾患である.1973年12月開院以来1985年12月までの12年間に当科に入院した胃癌症例のうちprimarycaseのみ909例を対象に疫学的検討を行った.開院当初は症例数も少なくまた,進行した症例が多かったが,年を追うごとに症例数も増加し,比較的早い時期の症例が増加している.地域分布では,初期には倉敷市周辺及び県北の一部地域を中心としていたが,最近では岡山市周辺地域及びその他の地域も増加している.年齢分布は,平均年齢58.8歳で,60~69歳が全体の30.6%を占めていた.80歳以上の手術症例も年ごとに増加している.女性の胃癌は比較的若年者に多く認められた.男女比は1.9:1と全国集計よりやや男性に多い傾向にあった.各年齢層の進行度では若年者に進行した症例が多い傾向にあった.最近3年間は早期胃癌症例が増加し,全体の30%を超えるようになった.(昭和62年9月30日採用)

1988.02.03

Nutrition Availability of Human Milk in Low Birth Weight Infant Nutrition Part II. Amino Acid Intakes, Plasma Amino Acid Concentrations and Urinary Amino Acid Excretions in Low Birth Weight Infants Fed Their Own Mothers’ Milk *

低出生体重児哺育における児自身の母親からの人乳の栄養学的効果を明確にする目的でアミノ酸摂取量,血漿遊離アミノ酸濃度,尿中排泄アミノ酸量などについて検討し,タウリン添加人工乳(蛋白質2.19 g/dl, アルブミン・グロブリン0.99 g/dl, カゼイン1.20g/dl,脂肪2.60 g/dl, 糖質9.54 g/dl,灰分0.38 g/dl, エネルギー70.4 Kcal/dl,タウリン3.00 mg/dl)での成績と比較し,次の結果を得た.1)アミノ酸摂取量では, TanとCysは人乳群において,これらを除く他のアミノ酸は人工乳群においてそれぞれ有意に高値であった.2)必須アミノ酸の血漿濃度はすべてが人乳群において人工乳群より有意に低値であり,これは摂取量の反映であると解した.3)CysとMet濃度は人乳群において有意に低値であった.人乳群のCys摂取量は高値, Met摂取量は反対に低値であったことからして, MetからCySHへの転換に制限のないことが窺えた.4)GluとGln濃度は人乳群において有意に高値であった.これは人乳群におけるエネルギー不足をカバーするためのアミノ酸異化の関与であろうと考察した.5)Tauの血漿濃度は両群間で有意差がなかったが,摂取量と尿中排泄量は人乳群が有意に高値であった.人乳中には過量のTauが含有されていることを知った.6)尿中排泄量はTauを除くほとんどのアミノ酸が血漿濃度を反映した.以上,児自身の母親からの人乳は,出生体重1,500 g 以上の低出生体重児においてはアミノ酸代謝の面でも問題なく与え得ると結論した.(昭和62年10月22日採用)

1988.02.02

A Scanning Electron Microscope Study of the Capillary Loops in Human Hand Skin *

corrosion casting法により作製したヒト指頭球部鋳型血管標本を走査電子顕微鏡により観察し,毛細血管係蹄(capillary loop)の微細構造を解析した.capillary loop は,上行脚と下行脚に分けられ,下行脚はその内径が上行脚に比して約1.3倍となり乳頭下静脈へと移行していた.指頭球部のcapillary loop に次の3型が観察された.1)単純な構造…上行脚,下行脚それぞれ1本の毛細血管より形成されているもの,2)複雑な構造…数本の毛細血管より形成され,それらが乳頭内部で2~3枝に分岐し,その各々がラセン状に上行,反転しているもの. 3) 1), 2)の中間的構造.これら構造の相違は,老化現象による乳頭の増殖に伴い変化したものと推察される.(昭和62年10月19日採用)

1988.02.01

Atlas of Thoracic Transverse Specimens *

解剖体で胸部水平断標本を作製し,その鋳型より精密なポリエステル樹脂標本を作りそれをもとに詳細な図譜を作製した。(昭和62年10月13日採用)

1988.01.20

Endoscopic Polypectomy for Esophageal Lesions *

当科において10症例の食道ポリペクトミーを経験した.年齢は,35歳より77歳に及び,平均57.1歳であった.性別では,男性8例,女性2例であった.病変の大きさは2×3×4mmから15×16×19mm大であった.ポリペクトミーの組織は9例で回収され,7例で診断可能であった.疾患の内訳は,乳頭腫3例, fibrovascular polyp 2例,食道腺過形成1例,貯留性嚢胞1例であった.診断不明の3例のうち2例は4mm以下の病変であった.ポリペクトミーは,5mmから1cmまでの大きさの病変では安全に施行でき,診断に有効であった.(昭和62年9月4日採用)

← newer entries older entries →