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Online edition:ISSN 2758-089X

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1988.02.12

Clinical Studies of Endoscopic Examination for Antibiotic Associated Colitis *

薬剤性腸炎には,出血性腸炎と偽膜性腸炎があるが,最近の7年間に19例の薬剤性腸炎を経験した.出血性腸炎は17例で,偽膜性腸炎は2例であった.出血性腸炎では,性別は男性5例,女性12例であった.年齢は,13歳から79歳に及び平均36歳であった.偽膜性腸炎では,2例とも男性で,年齢は34歳と47歳であった.原因となった抗生物質の種類は,出血性腸炎ではペニシリン系で,偽膜性腸炎ではセフェム系とアミノグリコシッド系の抗生物質であった.出血性腸炎の臨床症状は,下痢や腹痛を伴った突発する出血で,偽膜性腸炎では下痢と腹痛であった.出血性腸炎では,病変部位はS状結腸,下行結腸に多く,内視鏡検査ではびまん性発赤を認め,生検組織では,粘膜固有層に出血を認めた.偽膜性腸炎では,病変部位は下行結腸,横行結腸と全大腸で偽膜を認めた.(昭和62年9月28日採用)

1988.02.11

Survey on the Parasitological Examinations Done by Department of Parasitology, Kawasaki Medical School 1. Results : 1976 to 1986 *

1976年1月から1986年12月までの11年間に川崎医科大学寄生虫学教室へ検査依頼のあった435例の検体について集計した.検体検査の結果,85例(19.5%)に内部・外部寄生虫の感染が証明された.寄生虫の種類別内訳は,線虫類22例(蛔虫2,アニサキスI型幼虫4,蟯虫10,ズビニ鉤虫5,顎口虫幼虫1),吸虫類8例(肝吸虫4,異形吸虫類4),条虫類2例(広節裂頭条虫),原虫類12例(赤痢アメーバ9,ランブル鞭毛虫3),節足動物41例(アタマジラミ14,ネコノミ12,イヌノミ3,ネコ小穿孔疥癬虫7 ,及びマダニ類5)である.これらの結果は,我が国の最近における人体寄生虫相の特徴をよく反映しているものと思われる.(昭和62年11月2日採用)

1988.02.10

Fundamental Study for Myocard Imaging* Using 201T1, 123I and 99mTc Nuclides *

心筋イメージング用製剤として知られている201T1, 123I,99mTcの三核種について基礎的検討を行い,以下の結果を得た.1) SPECTデータ収集における各回転角位置でのエネルギー信号の変動を検討すると,LEHR装着時の123I,201T1では光電ピーク内への散乱体による影響が大であった.2)空間分解能が最も優れた成績を示したのは, LEHR装着時の99mTcであった123Iについては, LEHR装着時には201T1よりも良好な成績を示した.また, MEHS装着時においては散乱体厚が大きくなると, LEHR装着時よりも優れた成績を示すことが認められた.3) planar像による中隔領域のcold region 検出能は, LEHR装着時の99mTcが最も優れ,以下MEHS装着時の123I, LEHR装着時の201T1,123Iの順であった.一方,SPECT像による後壁領域の検出能については, LEHR, MEHS装着時の123Iが共にLEHR装着時の201T1よりも良好な成績を示した.(昭和62年12月10日採用)

1988.02.09

Radiographical Study of Senile Intracapsular Fracture of the Femoral Neck Treated with Compression Hip Screw *

大腿骨頸部内側骨折にcompression hip screw を用い内固定した93症例について,X線的に検討した.その結果, Garden stage Ⅲ, Ⅳの転位型で, inferior beak をもつタイプに問題があることがわかった.このタイプに, McElvennyの整復法を用い,有効と思われるデータを得た.(昭和62年10月31日採用)

1988.02.08

Application of Fibrin Glue for Excision of Ranula *

ガマ腫は再発しやすいので,治療は嚢胞全摘出術が適当と思われるが,嚢胞壁が菲薄であるため健常組織との境が肉眼では判明せず,また手術中に破ると以後の手術操作が困難となる.そこで我々は,フィブリン糊の弾性のある充填材としての性質を利用し,術前にピオクタニンを混ぜたフィブリン糊でガマ腫内容と置換し手術を施行した.ピオクタニンにより周囲との境も明瞭に区別され,適度の弾性があるため手術が容易であった.(昭和62年10月26日採用)

1988.02.07

The Effects of Chronic Verapamil Administration on Dopamine2 and 5-HT2 Binding Sites in Rat Brain ―Comparison of Verapamil and Lithium ― *

近年ベラパミルの臨床的な抗躁効果が注目されている.その作用機序を知るためベラパミルのラット脳内モノアミンレセプター( Dopamine2, 5-HT2)に及ぼす慢性投与の影響を,ラジオレセプターアッセイを用いて観察した.そしてリチウムや両者の併用による影響と比較検討した.ベラパミルの3週間の経口投与によって5-HT2受容体の最大結合数が増加していた.リチウムや両者の併用はDopamine2, 5-HT2受容体のどちらにも影響しなかった.また併用によってリチウムの血中濃度が上昇していた.ベラパミルとリチウムは生理学的な共通点があり,臨床的な抗躁効果の性質も似ているが,受容体に与える効果は異なっていた.ベラパミルの抗躁効果はリチウムとは別の機序で5-HT2受容体に関連していると推測された.また両者の併用はリチウムの血中濃度に十分注意する必要があると思われた.(昭和63年1月6日採用)

1988.02.06

Prediction of the Outcome for Walking Ability in Thalamic Hemorrhage Patients from Initial Information ― The Effect of the Rehabilitation System ― *

一般救急病院における脳卒中視床出血患者44例の歩行能力到達度を初期情報(年齢,左右,CT分類,血腫量,入院時意識レベル,入院時麻痺の程度の6項目)から,多変量解析・数量化I類を用いて予測することを試みた.その結果,臨床的にも推計学的にも精度の高い予測式が得られた.その予測式を基準としてリハビリテーション(以下リハと省略)医学教育病院での視床出血患者30例の歩行能力到達度を予測した.実際値との差をリハシステムの違いによるリハ効果と考えて検討したところ,好結果14例,不変12例,悪化4例であった.機能の向上としては,監視が独歩自立に,全介助が介助への向上が顕著であった.(昭和63年1月4日採用)

1988.02.05

Histopathological Studies on Contact Dermatitis: IX. A Comparative Study of Primary Irritant and Allergic Contact Dermatitis *

感作あるいは未処置モルモットに刺激濃度のDNCBを塗布し,生じた接触皮膚炎の病理組織像を経時的に観察した.その結果,表皮の壊死,表皮,真皮への多核白血球の浸潤及び壊死性変化の修復が主な所見であるが,好塩基球の推移以外感作,未感作動物に差がみられなかった.好塩基球の浸潤は感作動物では惹起後24時間に最高に達するが未感作動物では4日以降にピークがみられた.(昭和62年11月25日採用)

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