h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

topimage01

1985.02.07

A Case of Medullary Carcinoma of the Thyroid with Hyperprostaglandinemia

発病後20年の緩慢な経過をとり,頸部所属リンパ節転移,多発性骨転移,肝転移を来し,古典的症状と言われる頑固な慢性水様性下痢を主訴としたamyloid struma を伴う甲状腺髄様癌の一症例を経験した.本症例ではサイロカルシトニン以外にプロスタグランディンが高値を示した.腫瘍が分泌するプロスタグランディンに下痢症状の原因を求め,プロスタグランディン合成阻害剤にて症状を認めた.

1985.02.06

Histopathological Studies of Cultured Dorsal Root Ganglia in Acute Arsenical Neuropathy

マウス後根神経節の培養を行い,三酸化砒素(As2O3)の影響を位相差顕微鏡と透過型電子顕微鏡を用いて,病理組織学的に検討した.成熟培養組織に10-7Mから10-3 M 濃度の三酸化砒素を投与し,3日間継時的に観察を行った.10-6 M 以上の濃度で,形態学的な変化を認めた.神経細胞では,初期変化としてGolgi装置の膨化と小空胞の出現が顕著であった.その後,小胞体の配列の乱れと膨化がおこり,大空胞が形成された.神経細胞と比較して,衛星細胞は侵襲をうけにくかった.軸索と髄鞘では,最初に神経細線維の走行の乱れと神経微小管の消失が認められ,続いて,髄鞘の解離が生じた.変性が進行すると, myelin ovoid, myelin debris がSchwann細胞の細胞質内に観察された.以上より,三酸化砒素による急性中毒の末梢神経障害は,軸索変性が主体であることが示唆された.

1985.02.05

Study of the Ophthalmic Artery of Primates ・ I ―Three Dimensional Analysis of Arteriographs of the Ophthalmic Artery of Man―

ヒト解剖体の眼動脈の選択的動脈造影を行い,立体的解析により眼球後間隙での網膜中心動脈・後毛様体動脈の特異な走行を認め,不明な点の多い外眼筋枝と眼動脈各分枝の分岐について詳細に観察した. 1)眼動脈は眼窩内を走行中,視神経を下外方より横断する部位(第2部)を中心に3部に分けられる. 2)網膜中心動脈は視神経に侵入直前で,強いS字状の蛇行と回転を伴う複雑な走行を呈してその走行をほぼ直角方向に変え,視神経内に侵入する. 3)後毛様体動脈は眼球後縁直前で大きい回転を伴う屈曲と蛇行を呈して走り眼球後縁に達し,次いでその方向を約60~90゜に変え上行し,眼球の下方より数条に分枝しながら眼球に分布する. 4)観察した18例中1例に眼球の上方より分枝しながら眼球に分布する型を認めた.本型はニホンザルの後毛様体動脈に多く認められた. 5)後毛様体動脈は,その分岐部位と走行・分枝および眼球への侵入部位に特徴が認められ,外側・内側・副―後毛様体動脈の3動脈に区別される. 6)網膜中心動脈は約61%で眼動脈主幹より分岐するが,残り約39%は後毛様体動脈との共同幹として分岐しその大半は内側―後毛様体動脈との共同幹であった.7)第3部より太い筋枝(眼筋動脈I:内側直筋,下直筋,下斜筋への筋枝を分枝する)を分枝する型(約83%)と,分枝しない型(約17%)の2型が観察された.後者では,前者の太い筋枝に代わるものとして,第1部と第2部の移行部および第2部の前半より涙腺動脈等と共に共同幹で分枝する筋枝(眼筋動脈II : 下直筋,下斜筋への筋枝を分枝する)が認められた.

1985.02.04

Management of Pathology Laboratory Information by Personal Computer

病院が大きくなり,また,その一部門の取り扱う情報が多くなればなるほど,それをうまく整理,保管,活用していくことは困難となる.最近,この分野にコンピューターが導入され,円滑に運用されるようになってきた.このような時勢の中で本学病院病理部にも今年度よりコンピューターが導入されるようになった.今回病院病理部の情報処理をシステム化するにあたって 1)パーソナルコンピューターによる情報処理のシステム化に至った理由,2)実際,どのように情報処理をしていくか,および 3)それに伴って起こる問題点について整理,考察した.

1985.02.03

Histopathological Studies on Contact Dermatitis: I. Experimental Allergic Contact Dermatitis

モルモットにおけるDNCBに対するアレルギー性接触皮膚炎の病理組織像を経時的に観察した.その結果,リンパ球性表皮基底部海綿状態,真皮上層部への単核球,好塩基球の浸潤,表皮肥厚が同皮膚炎の特徴的な所見であった.

← newer entries older entries →