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Online edition:ISSN 2758-089X

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1982.02.06

On Induction Process of Experimental Mouse Plasmacytoma

パラフィン・アジュバント腹腔内投与で誘導されるマウス形質細胞腫の発生過程の病理像を観察した.腫瘍発生にウイルスの関与が疑われているため,マウス白血病ウイルスであるGrossウイルスをBALB/cの哺乳マウスに接種して,その影響をみることにしたが,初期の変化には全く関係がない.本報告では腫瘍化の前段階の変化,すなわち実験的形質細胞腫発生の場である腹腔oil-granulomaの病理形態的動きを中心に,全身臓器の変化について記載した.

1982.02.05

The Study of Immediate Effects of Abdominal Breathing

呼吸のリハビリテーションの中心をなす腹式呼吸の即時効果を,慢性閉塞性肺疾患患者15名を対象に検討した. 腹式呼吸を行なうと,一回換気量の増加,呼吸数の減少,肺胞換気量の増加,死腔換気率の低下をみた.また,PaO2は上昇,PaCO2は低下する傾向にあった. 以上の結果より,腹式呼吸は,慢性呼吸不全の患者の治療の1つとして,非常に有用なものであると考えられた.

1982.02.04

Pathology of Pertussis I. Fate of B. Pertussis and Host Reaction

経鼻感染法と脳内接種法を用いて,百日咳菌をマウスに感染せしめ,菌の運命および宿主の反応を経時的に観察した.感染初期には,両感染法とも同様の所見がみられた.つまり,百日咳菌は繊毛上皮細胞表面に固着し,この部で食菌作用を受けずに増殖し,上皮細胞内および上皮細胞下組織に侵入しない.このことは,百日咳菌の繊毛上皮細胞親和性と上皮への非侵入性を裏づけるものと考えられるが,逆に宿主の立場からいえば,脳室の上衣細胞と細気管支上皮細胞の類似性を示唆するものかもしれない.感染後期には,マウスは異なる反応を示した.脳内感染においては,リンパ球増多症はみられず,ほとんどが一週間以内に死亡した.経鼻感染では,死亡例はみられず,リンパ球増多症,胞隔炎,長期にわたる細気管支周囲リンパ球浸潤などがみられた.さらに興味深い点は,細気管支内で増殖していた菌の減少傾向の時期と細気管支周囲のリンパ球浸潤の出現時期とが,時間的に一致することである.百日咳菌が細気管支上皮細胞表面から肺胞腔内に分離移行する機序には,何らかの免疫生物学的な面が考えられる.

1982.02.03

Isolation of Type II Cells from Rat Lung

Type II cell内で産生されるsurfactantの分析を行うためには,純度の高いtype II cell群を得なければならない.我々はラット肺を用いて,純度の高いtype II cellの単離法を検討した. 方法は大別して, I)血液・肺胞内脱落細胞の除去, II)上皮細胞の剥離, III) type II cellの単離の三段階に分けられる.III)において Ficollによる比重遠心(比重1,070)のみで得られたtype II cellの純度は50.6%であり,他の報告と比べ低い値であった. ナイロンメッシュカラムと比重遠心を併用する方法では,純度は75.6±8.0%に上昇した. またナイロンメッシュカラムを用いることにより, surfactant分析時に障害となるmacrophageの混入を30.8%から1.5%に下げることができた.さらに比重液をアラビアゴムに変え,同様の操作を行うと,純度76.6土1.1%, typeIIcell収穫数24.5±26.8×105個/2匹, viability 69.3±6.8%を得た. 以上により,上皮細胞を剥離後,ナイロンメッシュカラムを通し,さらにアラビアゴム比重液で分離する方法が最良と考えられた.

1982.02.02

Imprint Cytology in Intraoperative Diagnosis

1978年から1980年の3年間に得られたImprint-H-E染色材料を有する迅速標本症例218例を再検討し,各々の臓器において各疾患別にそのImprint像をまとめた. Imprint法は術中迅速外科標本に対し,その他のいずれの方法よりも速くしかもより筒単に処理することの出来る方法である.今回,我々は本法の適応・注意点をさがし出すことに留意した.その有用性,正確さ,凍結切片診断との比較に対する検討は今回の結果・規準をもとに今後さらに続けていくことにしている.

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