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Online edition:ISSN 2758-089X

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1979.02.03

Computed Tomographic Diagnosis of Pancreatic Diseases

膵疾患診断におけるCT検査の有用性について我々の経験や報告された論文を参照し綜説した.CTは病巣の大きさ,形態,性状,周囲臓器との関連を容易に描出でき,特に慢性膵炎,膵嚢胞,膵腫瘍の診断に有用であった.CTはERCPや血管造影に比較して非侵襲性で簡便であり膵病変の把握に極めて有用な検査法で従来の診断法と組み合わせることにより膵疾患の質的診断を可能にする.

1979.02.02

Primary Care for the Patients with Asthma

気管支喘息発作,特に重積発作は死に直結する点で治療は慎重に行なわれなければならないし,病歴の聴取,患者状態の把握,血液生学的検査と同時に,治療は早期に始められなければならない.その治療の大筋は,①適切なO2投与,②輸液,③抗生剤投与,④気管支拡張剤使用,⑤人工呼吸管理であり,可能な限りにおいて人工呼吸管理は避けたいというのが,その骨子である.

1979.02.01

Primary Care for Pulmonary Edema

肺水腫は,迅速にして適確な治療を要する病態で,初期の治療の誤りは直接,患者の不幸な転帰につながる.いわゆるプライマリー・ケアとしては,以下に述べる一般的処置と一次治療の7項目および二次治療の第4項目までを含めるべきである.一般的処置としての7項目は,①vital signs のチェック,②他のスタッフに応援依頼,③静脈確保,④採血,⑤ECG,(胸部レ線),⑥intakeとoutputの指示,⑦酸素や薬剤の投与時間と量の記録である.一次治療としての7項目は,①体位,②酸素,③rotating tourniquets, ④morphine,⑤利尿剤,⑥aminophylline,(⑦しゃ血)である.また,二次治療としては10項目をあげる.①digitalis,②lidocaine,③直流除細動,④降圧剤,⑤血管拡張剤,⑥カテコラミン,⑦人工ペースメーカー,⑧挿管,調節呼吸,⑨counterpulsation,⑩外科的治療.症例によりその適要の有無と順序は変わりうるが,内科医として肺水腫という救急患者を治療する場合の一つの基準を考えてみた.

1979.01.10

Carcinoid Tumor of the Duodenum : A Case with Established Preoperative Diagnosis

十二指腸カルチノイドは比較的稀な腫瘍で,悪性症例以外は,偶発的に手術・剖検時に発見されるのが普通である.我々は,タール便・心窩部痛を主訴として来院した胃潰瘍患者の十二指腸球部に,内視鏡的に粘膜下腫瘍様病変を認め,直視下生検によりカルチノイドと診断し,胃摘出術により本症を確認しえた症例を経験したので報告する.本腫瘍は十二指腸球部前上壁で粘膜固有層から粘膜下層内に存在し,銀反応ではnonreactive type であった.電顕的には腫瘍細胞胞体内に1,000~4,000Åの円形分泌顆粒を認めたが,小型の神経分泌顆粒は認めなかった.本邦では40例の十二指腸カルチノイドの報告があるが,内視鏡生検により術前に確定診断のついた症例は2例にすぎない.消化管カルチノイドは粘膜筋板を中心に粘膜固有層および粘膜筋腫などの真の粘膜下腫瘍とは異なり,直視下生検で腫瘍組織を採取出来る可能性が高く,したがって消化管カルチノイドに対する内視鏡生検診断の有用性を強調したい.

1979.01.09

A Clinical Case of Bronchogenic Carcinoma Associated with Subacute Cerebellar Degeneration and Eaton-Lambert Syndrome

悪性腫瘍がその転移や直接侵襲ではなくて神経学的障害を起こすことは,古くから知られていた.このことは,癌の“remote effect ” と呼ばれている.54歳の男性が,歩行障害と構音障害を主訴に入院した.胸部X線写真で右肺門部に小腫瘤陰影を認め,喀痰細胞診で小細胞性未分化肺癌と診断された.CTスキャンを含めた神経学的検査及び臨床経過より小脳障害は,肺癌による亜急性小脳変性症と考えられる.また筋電図上にEaton-Lambert症候群が認められた.この様に肺癌に亜急性小脳変性症とEaton-Lambert症候群の両者が含併する症例は稀である.

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