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Online edition:ISSN 2758-089X

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1996.04.01

Study for Stability of Pedicle Screws in Human Spines ―Special Reference to Correlation with Osteoporotic Change― *

1)腰椎固定用のpedicle screw を用いて,屍体腰椎および踵骨における引き抜き強度を測定するとともに,骨粗鬆化の程度との関係について検討した.2)屍体腰椎において測定した骨密度とpedicle screw の引き抜き強度との間においては明らかな相関は認められなかったが,皮質骨を除去した屍体踵骨において測定した骨強度とpedicle screwの引き抜き強度との間には有意な正相関が認められた.3) pedicle screw の固定力はscrewの径と骨粗鬆度に影響されるが,骨粗鬆化の程度が高度であると,骨密度とpedicle screwの引き抜き強度との間において明らかな相関は得られなかった.                         (平成8年10月20日採用)

1996.03.10

A Case of Schizophrenia Associated with Paraplegia in the Early Stage, Resulting in Repeated Hospitalization

精神分裂病の初発症状は極めて多彩であり,ときに種々のヒステリー症状を呈することはすでに報告されてきている.しかし,それらの多くは解離型であり,転換型の報告は少ない.今回われわれは精神分裂病の発病初期に両下肢麻痺の症状を呈した17歳男性の1例を経験したので報告する.本例は神経学的所見と一致しない一過性の麻痺症状が出現していた.しかし,整形外科での精査では原因が不明であり,偶然発見された仙骨嚢腫の摘出術を施行されたものの麻痺症状は変化なかった.このため川崎医科大学精神科を受診.外来通院中に幻聴,注察妄想などの分裂病症状が明らかになった.異常体験は抗精神病薬投与を含む治療により消退し,これにともない麻痺症状も認められなくなった.本例は転換型のヒステリーと鑑別を要した1例であった.   (平成8年10月15日採用)

1996.03.09

Secondary Bone Grafting of Wide Alveolar Cleft Using the Free Vascularized Radial Bone *

歯科矯正治療の発展に伴い,口唇顎口蓋裂患者に対する歯牙誘導や保定を目的とした二次的骨移植が多用されるようになってきた.しかし,顎裂幅の広い症例に対する遊離骨移植術は生着が困難なことが多い.このような症例に対し,私たちは歯槽部の恒久的保定を目的として,血管柄付橈骨移植術を行った.術後1年数力月の観察で,移植骨の生着状態は良好であるが,一部骨の吸収像も見られる.若干の文献的考察を加えて報告する.      
(平成8年10月1日採用)

1996.03.08

The Expression of Tenascin in Various Experimental Kidney Diseases *

テネイシンは,癌・器官形成・創傷治癒に関係する細胞外基質として知られ,組織内における炎症などの変化に反応して発現することが知られている.我々は,腎障害モデルラットを作成し,糸球体および間質でのテネイシンの発現場所,時期に注目して検討をおこなった.その結果,テネイシンは直接障害された場所に発現するとともに,場合によって直接障害された場所とやや離れて発現し,可逆的モデルでは回復とともに消失し,不可逆的な糸球体障害モデルでは糸球体とボウマン嚢との癒着病変に持続的な発現が観察された.テネイシンの発現は障害の範囲を示すとともに,一過性の発現は障害の修復に,癒着病変での持続的な発現はover healing として不可逆的な病変の形成に関与することが示唆された.                               (平成8年10月23日採用)

1996.03.07

Contraction Phenomenon of Type I Collagen Lattices by Human Fibroblasts Isolated from Hypertrophic Scars and Keloids *

コラーゲンを基質として用いる培養法は,細胞形態等が生体内に近くなり,細胞-コラーゲン相互作用をみる上で良い実験系と考えられる.本研究では,外科的手術時に得られた正常皮膚,肥厚性瘢痕およびケロイドより線維芽細胞を遊出し,ゲル培養法による比較検討を行った.コラーゲン・ゲル上,ゲル内培養では,正常真皮線維芽細胞の増殖は著しく抑制された.一方,ケロイド由来線維芽細胞では,プラスチック上に比べて抑制されてはいるものの,ゲル内でもなお強い増殖性を示した.コラーゲン・ゲル収縮を用いた比較では,ケロイド由来線維芽細胞の収縮力が最も強かった.コラーゲン・ゲル収縮を抑制する薬剤の検討として, IFNα-2bを用いた実験を行った.ケロイド由来線維芽細胞のゲル収縮状態は, IFNα-2b(10001U/ml)により正常真皮由来線維芽細胞のレベルにまで抑制された.最後に平滑筋作用薬剤のコラーゲン・ゲル収縮に対する効果を検討した.各種線維芽細胞によるコラーゲン・ゲル収縮が平滑筋弛緩薬(PGE1 Papaverine)により抑制された.このことは,培養線維芽細胞が平滑筋的収縮能を有することを示唆するものと考えられる.(平成8年10月1日採用)

1996.03.06

An Evaluation of Confocal Imaging for Diabetic Abnormal Glomerular Structure *

現在腎組織の観察は,多くは二次元的な切片を作成し行われている.我々は,インスリン非依存型糖尿病モデルとして知られているOLETFラットを80週間飼育後,シービング法にて糸球体を単離し糖尿病性糸球体病変の観察を共焦点レーザー顕微鏡confocal laserscanning microscopy (CLSM)を用いて行った.二次元的な観察でびまん性病変と考えられるメサンギウム基質の増加した病変は, CLSMによる観察では糸球体は血管極より分葉化し一塊となっている様子が,鮮明に観察された.      (平成8年10月1日採用)

1996.03.05

Survey on the Parasitological Examinations Done by Department of Parasitology, Kawasaki Medical School 2 . Result : 1987 to 1995 *

第1報に引き続いて, 1987年から1995年までの9年間に川崎医科大学寄生虫学教室へ検査依頼のあった725例の検体について集計した.検体検査の結果, 123例(17.0%)に内部・外部寄生虫の感染が認められた.寄生虫の種類別内訳は,原虫類8例(ランブル鞭毛虫3,赤痢アメーバ2,小形アメーバ・アカントアメーバ・卵形マラリア原虫各1),線虫類44例(アニサキスI型幼虫17,ズビニ鉤虫7,回虫6,蟯虫・糞線虫各4,鞭虫・桿線虫類各2,東洋眼虫・イヌ糸状虫各1),吸虫類9例(横川吸虫5,異形吸虫類4),条虫類12例(広節裂頭条虫8,無鉤条虫2,大複殖門条虫・有鉤嚢虫各1),節足動物50例(室内塵中ダニ類10,フタトゲチマダニ8,不快昆虫類7,キチマダニ・タネガタマダニ各5,ニクバエ類幼虫3,ネコノミ・ヤマトマダニ各2,イエバエ類幼虫・アブラムシ・アタマジラミ・シバンムシアリガタバチ・ドクガ幼虫・ヒゼンダニ・タカサゴキララマダニ・シュルツェマダニ各1)である.これらの結果は,過去10年間にわが国の寄生虫学雑誌に報告された人体寄生虫症発生状況の特徴とほぼ一致している.                (平成8年9月28日採用)

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