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Online edition:ISSN 2758-089X

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1995.01.04

The Effect and Toxicity of Radiotherapy Combined with a Daily Low Dose of Platinum Drug *

少量のCisplatin (以下CDDP)またはCarboplatin (以下CBDCA)を放射線治療に併用する試みが近年行われ,口内炎,腎障害などの副作用はほとんどなく,放射線単独治療より低線量で効果があると報告されている.今回我々は,本併用療法を頭頸部扁平上皮癌10例に適応した.・放射線治療2.0~2.5 Gy/day (total 46~72 Gy)と同時に,6例にCDDP 5 mg/day を原則としてtotal 100 mgまで投与し,4例にCBDCA 40 mg/day をtotal 400 mg まで投与した.一次効果はCR十PR 70%で放射線単独治療と有意差はなかった.副作用は,口内炎が4例にあったが,放射線単独治療の口内炎と同程度だった.腎機能は, CDDP併用群に500 ml/day の水分負荷をしたが,全例でクレアチニンクリアランスの低下を認めた.                       (平成7年3月6日採用)

1995.01.03

The Effect of Celloidin Embedment on Formation of Ground Glass Nuclei in Papillary Carcinoma of the Thyroid *

甲状腺乳頭癌の組織学的な特徴的所見の1つとしてground glass nuclei (GGN)がある.このGGNはパラフィン包埋標本では高頻度に出現するが,細胞診や凍結切片標本ではその出現は極めて稀であるといわれている.したがって, GGNは固定あるいは包埋過程によって生じる一種の人工産物の可能性が示唆される.著者は,乳頭癌のGGNの出現に関しては固定期間が長いほど,ホルマリン液の濃度が高くなるほど,高頻度に出現し,複合固定液で固定された組織では高頻度に出現することを既に報告している.本論文では,パラフィン包埋法による切片作成時の加熱がGGNの出現に影響を及ぼしているか否かを検討する目的で,永久標本作成にあたり加熱処理を行わないセロイジン包埋法を試み, GGNの出現に関する検討を行った.甲状腺乳頭癌では,非加熱のセロイジン包埋法を用いてもGGNは出現した.GGNの出現は加熱による結果ではないことが判明し,包埋法の如何に拘らず乳頭癌にみられる特徴的な所見であると思われた.                  (平成7年3月18日採用)

1995.01.02

Clinicopathological Studies on Resected Cases of Primary Malignant Lymphoma of the Stomach *

当科で切除した胃原発悪性リンパ腫13例(22病変)を臨床病理学的に検討し以下の知見を得た.1.占拠部位は幽門部と体部(16/22 : 72.7%)領域に多く,全例non-Hodgkin’s lymphomaで, LSG分類ではdiffuse large cell typeが13例中8例(61.5%)を占めた.2.多発例が5例(38.5%)にみられたので,各病巣に対する正確な術前診断を行い,取り残しのないよう術式を決定すべきである.3.生存期間に影響を及ぼす因子として,壁深達度,リンパ節転移が重要で,単発と多発,組織型,手術術式には有意の差はなかった.4.全症例の5年生存率は68.2%と良好であり,胃に限局していれば進行例でも予後が期待できるので,本症に対しては積極的な手術を行うべきである.5.リンパ節転移陽性例の術後化学療法にはさらなる工夫が必要である.(平成7年2月24日採用)

1995.01.01

A Scanning Electron Microscopic Study of Small Superficial Adenomas in the Colon with Special Reference to Depressed Changes *

内視鏡的粘膜切除術によって切除された大腸表面型小腺腫(径10mm以下)で陥凹性変化をもつものを中心に走査電子顕微鏡(以下,走査電顕とする)で観察し下記のような結果を得た.1.表面隆起型(IIa型)は,既に報告されている隆起型腺腫とほぼ同様の走査電顕所見であったが,病変内に正常な陰窩が点在していた.2.表面平坦型(IIb型)はIIa型とほぼ同様の走査電顕所見であったが, IIa型と異なり正常な陰窩開口部をもつ陰窩は存在しなかった.3. IIa型で面をもたない陥凹部分があるIIa十dep型(depはdepressionの意)は, IIa型の所見とほぼ同様であったが,狭い陥凹底(長径300~500μm,短径150~300μm)の陰窩開口部は径10~20μmと小さく,小型の腺腫細胞集団が乳頭状小隆起として観察された.これらは走査電顕によってはじめて観察することができた.4.IIa型で陥凹部分が面としてあるIIa+IIc型はIIa部分は既に報告されている隆起型腺腫と同様の所見であったが, IIc部分は明らかに異なり陰窩開口部は径20μmと小さく,配列も不規則で腺腫細胞も部分的に欠損していた.5.正常粘膜よりも低い陥凹面をもつIIc型は,陰窩開口部は径10~20μmと小さく,配列は不規則で腺腫細胞の脱落した所見もあった.6.IIa+IIc型のIIc部分とIIc型ではともに陰窩は不揃いで小さく,その配列も不規則で腺腫細胞の脱落もあり,既に報告されている大腸腺腫の走査電顕像とは異なっていた.(平成7年3月24日採用)

1994.05.23

Surgical Treatment for Colorectal Cancer According to the TNM Classification *

1974年1月から1993年12月までの20年間に,教室にて手術を施行した大腸癌974例を検討した. TNM分類からみた各Stageの他病死を含む5年,10年累積生存率は,結腸ではI:85%, 82%, II : 83%, 74%, III : 53%, 44%, IV: 8%, 8%で,直腸はI :88%, 82%,II : 77%, 58%, III:47%, 38%, IV: 7%, -%であった.早期癌の5年,10年累積生存率をみると,結腸:95%, 85%,直腸:88%, 83%であり,良好な治療成績がえられた.したがって,大腸癌の治癒率を向上させるためには,早期癌症例の割合を高める努力が必要といえる.手術的な治療効果を最も発揮すべきStage II,IIIに関しては,リンパ節転移の高度なIllbで不十分な結果となり,特に直腸癌での徹底したリンパ節郭清や,手術手順の見直しが必須課題となる.切除手術に限界があるStage IV症例では, reduction surgeryの後,免疫化学療法,放射線療法,凍結手術療法などを用いた集学的治療に期待がよせられた.                             (平成6年5月9日採用)

1994.05.22

Phasic Pattern of the Diameter of the Coronary Subendocardial Microvessels *

我々はニードルプロープ・CCDビデオマイクロスコープを用いることによって,心内膜側微小血管の拍動パターンを評価することを初めて可能にした.Control conditionにおいて,心内膜側細動・静脈ともに心筋収縮により,大きく約20%血管径は減少し,一方,心外膜側細動脈は心周期を通してほとんど変化を認めず,心外膜側細静脈は収縮期に増大した.延長した拡張期には細動脈の血管径は大動脈圧の減少と共に減少し,一方,細静脈の血管径は反対に増加し,血液貯留のためのキャパシターとして働いていることが明らかとなった.心内膜側における冠予備能が少ないのは,今回の反応性充血反応の評価より,血管拡張反応が少ないことによるものではなく,心筋収縮弛緩による心内膜側細動脈の大きな拍動性が主因と窺われた.   (平成6年6月7日採用)

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