h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

topimage01

1986.03.11

An Eight-hour-old Newborn of Congenital Hypertrophic Pyloric Stenosis

生後8時間目に嘔吐で発症し,腹部腫瘤は触れず,腹部単純立位X線で幽門狭窄が考えられた女児である.放射線被曝を避けるために従来行われていた上部消化管造影を行わず,腹部超音波診断法により右上腹部に2層のhyperechoicな層と2層のhypoechoicな層による同心円状の標的像が得られた.これにより先天性肥厚性幽門狭窄症と診断し,手術を行って治癒せしめた珍しい症例を報告した.さらに先天性肥厚性幽門狭窄症の幽門部腫瘤の超音波診断像について我々の考察を加えた.

1986.03.10

Two Cases of Megaloblastic Anemia Induced in Aged Patients by ST Combined Drug

ST合剤の副作用による巨赤芽球性貧血の二例を報告した.二症例とも高齢者であり神経学的な合併症を併発したため,投薬時の栄養状態は不良であった.両症例とも尿路感染症を合併したため,4か月にわたりST合剤の投与を行った.巨赤芽球性貧血は投薬1か月以内に発現した,血液学的異常は休薬と葉酸の投与により迅速に改善した.栄養状態の不良な高齢者にST合剤を投与する場合には,充分な注意が必要であると思われた.

1986.03.09

A Case of Renal Angiomyolipoma

腎血管筋脂肪腫は, Bourneville-Pringle母斑症に合併することの多い良性腫瘍としてよく知られているが,最近, Bourneville-Pringle母斑症に合併していない単独型の腎血管筋脂肪腫の報告が増加している.しかし,単独型の腎血管筋脂肪腫の場合,その術前診断は困難である.著者らは,35歳女性にみられた単独型の腎血管筋脂肪腫を報告する.患者は, 1980年9月に嘔吐,左下腹部痛を主訴として,川崎医科大学附属病院に入院した.理学所見では,左腹部に大きな腫瘤を認めた.腹部単純写真にては,左腹部に,レ線透過性のある大きな腫瘤を認め,経静脈的腎盂造影にては,左腎杯は変形し,正面像では正中線上へ,側面像では腹側に偏位していた.選択的左腎動脈造影にては,蛇行した異常新生血管,ぶどうの房状の造影剤貯留,動脈瘤およびレ線透過性のある部がみとめられた.CTにては,左腎腫蕩が低吸収性病変として描出された.術前に左腎血管筋脂肪腫と診断し,左腎摘出術を施行した.組織学的検査にて,腎血管筋脂肪腫と確認された. 1985年11月に同部に腫瘤を認め再入院し,腫瘤は外科的に切除された.組織学的検査では,血管筋脂肪腫と診断され,腫瘍はリンパ節内で増殖していた.種々のレ線検査,中でもCTおよび血管造影は,腎血管筋脂肪腫の診断に有用である. また,本症では,注意深い経過観察が重要である.

1986.03.08

Psychiatric Consultation Work of General Hospital

川崎医大附属川崎病院に精神科が開設された初年度における一般科からの紹介患者について,コンサルテーション・リエゾン精神医学の立場から検討を加え,考察を行った.結果:(1)紹介理由は,精神疾患と一般科で診断されたものが最も多く,次いで身体疾患の認められない身体症状をもつ例であった. (2)紹介患者の精神科診断は,神経症,うつ病,精神分裂病の順に多く,急性器質脳症候群は他病院の報告に比べると極めて少数であった.(3)神経症,うつ病患者について,一般科医師の症状のとらえ方をみると神経症では身体症状とその器質的病変の不一致を問題にする例が圧倒的に多く,うつ病では身体症状を問題とした例は極めて少なく,精神症状を問題とした例が圧倒的多数であった.これは,一般科医師にとって不安は身体症状からとらえる傾向が強く,うつ状態はその精神状態像でとらえる傾向が強いことを示していた.(4)リエゾンサービスを必要としたものでは,人間関係の問題点の所在はほとんどが医師患者関係に認められ,調整を必要とするものであった.

1986.03.07

Primary Biliary Cirrhosis: Report of Six Cases

原発性胆汁性肝硬変(PBC)は中年女性に好発し,小葉間胆管の破壊性の胆管炎で,末期には門脈圧亢進症や肝不全により死亡する疾患であり,本邦ではまれな疾患と考えられていた.われわれは過去2年間に6例のPBCを経験し,その臨床像,組織像について述べた.6例中3例は長期間慢性肝炎として治療されており, PBCの診断がなされていなかった.無症候性のPBCの早期発見のためには,中年女性, AlP γGTP等の胆道系酵素の増加,γグロブリンの増加とIgMの測定が重要な鍵となることを強調した.

1986.03.06

On the Statistics of Cryptotia and Its Connection by a Conservative Procedure

埋没耳は欧米では稀な奇形であるが,我が国ではなぜか多い.ここでは当教室の10年間の統計(頻度,性差,左右差など)ならびに私たちが行っている非観血的治療法について述べた.

1986.03.05

Total Medical Care System on CAPD in the University Hospital

当院では1982年3月よりこれまでに12例の末期腎不全患者でCAPDを導入した. CAPDは自己透析を行いながら職場復帰,家庭復帰するという全く新しい医療形態であり,このための新しい医療システムが必要である.特に大学病院ではセンター病院として地域医療への貢献を考慮した管理体制の確立が必要である.今回,大学病院の立場からCAPDのトータル管理体制のあり方について,特にCAPD医療体制,患者の選択, CAPDトレーニングシステム,センター病院としての病院体制作りについて検討した.

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