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Online edition:ISSN 2758-089X

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1984.04.03

Hemolysis of Acatalasemic Red Cells with Increased Heinz Body Formation

Acatalasemia症では,赤血球catalase活性が全欠損している症例でも,赤血球溶血は認められないものと考えられている.しかし,この従来の見解に反して,本研究ではcatalase活性欠乏赤血球ではin vitro法によるHeinz小体生成試験の強陽性所見ならびにascorbate試験の著明な異常所見を認めた.そこで,これらの異常を惹起する可能性のある5炭糖リン酸回路活性を本症患者赤血球について検索したところ,正常所見を得た.したがって,このHeinz小体試験,およびascorbate試験の異常成績は,これら赤血球におけるcatalase欠乏に起因する可能性が極めて高い.これらのcatalase欠乏赤血球では,酸化環境下において溶血を生ずることが考えられることから,酸化剤投与,感染症罹患などを回避すべきであろう.

1984.04.02

Potentiation of Cytotoxic Effects of Anticancer Drugs on Human Neoplastic Cell Lines by ^-Type Interferon

種々の化学療法剤の抗腫瘍効果がインターフェロンとの併用によって増強するかどうかを培養ヒト細胞を用いて検討した.実験にはヒト膜朕癌由来のHT-1376細胞を主に用い,その結果をヒト子宮頸癌由来のHeLa細胞で比較検討した.薬剤の効果は,コロニー形成法で判定した.検討した抗癌剤は,代謝拮抗剤として; cytosine arabinoside (Ara-C),5-fluorouracil (5-FU), 6-mercaptopurine (6-MP), methotrexate (MTX),抗生物質として; acracinomycin (ACM), adriamycin (ADM), actinomycin-D (ACD),cycloheximide, mitomycin-C (MMC), peplomycin (PEP), puromycin,アルキル化剤として; nimustine hydrochloride (ACNU), melphalan, vinca alkaloidとして;vincristine (VCR), VP-16,その他; cisplatin (CDDP)である.インターフェロンはヒト線維芽細胞から誘導したβ型を用いた. HT-1376細胞を用いてインターフェロンとの併用により細胞増殖抑制作用の増強した薬剤は, ADM, PEP, ACNU, CDDPの4剤であった.一方, HeLaでは相乗効果が得られた薬剤はACM, ADM, PEP,5-FU,ACNU,CDDPの6剤でACM, 5-FUを除き,両細胞での併用有効薬剤は一致した.

1984.04.01

Responses and Protective Proliferation of Collagen Fiber against Cancer Due to Polysaccharides of Human-type Mycobacterium Tuberculosis (SSM : Special Substance Maruyama)

T細胞欠除のヌードマウスを使用して人癌由来の培養細胞胃癌(HGC,未分化癌)および肺癌(HLC,腺癌)を中心にxenograftsを作製した.他方マウス由来の神経芽細胞腫NB41A3のallograftsをも作製し比較した. HGCは2×107で80~100%, HLCは6×106で100%, NB41A3は3×103で100%生着し巨大な固型腫瘤を形成する.以上の癌生着の高度な確率よりSSM-A投与を移植と同時に行うと癌増殖に伴って,コラーゲン増殖はさらに顕著となった. 前報の乳癌の経過報告とともにSSM-Aは癌の中でも乳癌に著効を奏した. SSM-Aは元来リンパ球賦活としての免疫療法として登場したが,著者の知見に関する限りリンパ球活性化より問質,間葉系細胞の活性化が癌増殖の抑制には重要であると考えられた.間質細胞の代表的な線維芽細胞はin vitroでも旺盛な増殖をするが,本細胞と癌細胞との混合培養でリンパ球,食細胞の媒介なくとも両細胞間の直接接触によっても著明なコラーゲンの産生と増殖が見られる. ヌードマウスでの実験でコラーゲン増殖は癌移植の初期は血管細胞からのコラーゲン増殖が重要であり,この誘発と増殖パターンはそれぞれの癌細胞によって反応を異にした.重要なことは,癌細胞膜の分子構築の変化に依存することで,円二色性を検討した.その結果,細胞膜上に局在する多糖体,蛋白の変化よりも糖蛋白等の複合体の分子構造の変化が重要で,血管由来のコラーゲンの反応と増殖の誘発に関与していることがわかった.この誘発後のコラーゲンの増殖促進に人型結核菌多糖体は重要な役割を演じている. ヌードマウスを使用しての実験で明らかにしたことは癌増殖の抑制には全身に分布する間質細胞とこれに由来するコラーゲン増殖が重要で,このコラーゲン増殖には線維芽細胞のほかに筋線維,神経線維,軟骨等も癌細胞の浸潤により破壊されればコラーゲン産生源となり,SSMはコラーゲン増殖促進に役立ち,修復機転を促進し,ひいては癌増殖阻止に役立つものと考えられる.

1984.03.18

An Autopsy Case of Pituitary Apoplexy with Occlusion of Bilateral Anterior Cerebral Arteries

両側前大脳動脈灌流域の梗塞をきたした比較的まれな下垂体卒中の1剖検例を報告し,文献的考察を加えた. 症例は81歳男性で,死亡14日前に突然,頭痛,唱吐,意識障害で発症した. CTではトルコ鞍部に円形の高吸収域を認めた.剖検上,くも膜下出血を伴う嫌色素性下垂体腺腫出血,両側前大脳動脈灌流域の梗塞を認めた.本例における脳梗塞は下垂体腺腫出血により腫瘍が急速に増大し,両側前大脳動脈を圧迫したためと考えられた.

1984.03.17

Two cases with Ph1 chromosome, clinical course of acute leukemia and increased level of terminal deoxynucleotidyl transferase activity

Ph1染色体陽性 terminal deoxynucleotidyl transferase (TdT)活性高値の急性白血病の臨床経過を示した2症例を経験したので,その病態を検討し文献的考察を加えて報告する. 2症例とも末梢血・骨髄に異型性のある芽球が認められ,急性白血病として多種の抗白血病薬を用いて治療させたが,緩解に至らなかった・染色体分析にてPh1染色体が証明され, TdT高値を示したことより,慢性骨髄性白血病(CML)の急性転化とも考え,vincristine・prednisolone (VP)療法も施行したが反応し難く,各々14カ月, 8カ月の経過で死亡した.この2例は, Ph1染色体陽性, TdT活性高値に加えて,好塩基球増多症および脾腫を欠くなどの共通点を持ち,特に第2例においてはさらに末梢血・骨髄中に顆粒球系の各成熟段階の細胞を認め血小板減少が軽度であることから, CMLの急性転化が疑われる.第1例については, Ph1陽性急性白血病の可能性が残されるが,緩解時Ph1染色体が消失するとされるPh1陽性急性白血病の特徴的所見が得られず確定診断に至らなかった.

1984.03.16

Neuropathologic Study of Holoprosencephaly : Three Autopsy Cases and Review of the Literature

全前脳胞症の3剖検例につき,その神経病理学的所見を報告し,合わせて本奇形に関する若干の文献的考察を加えた. 3症例ともに女児であり,生後5カ月までには全例死亡している. 2例については患児の染色体異常((46, XX, 3p+), (47, XX, +13))が確認され,本症の原因であったと考えられた.残る1例も多発奇形を伴っていることから染色体異常によることが推測された.

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