h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

topimage01

1985.01.13

Hemoglobinopathy in Japan (II) ―Survey in Hyogo Prefecture―

1980年から1981年にかけて兵庫県における集団検診受診者の等電点電気泳動法によるヘモグロビンのマススクリーニングを行った. 12,391名のうち4名の異常ヘモグロビン保因者(Hb G Waimanalo, Hb Ube-2, Hb J Norfolk, Hb Ankara)と1名のβ-サラセミア症を発見した.4名の異常ヘモグロビン保因者は何ら臨床症状を示していなかったが,β-サラセミア症の例は,軽度の貧血を呈していた.

1985.01.12

Polalization Microscopic Investigation of Amyloidosis of the Heart Using H-E Stained Specimens

全身性アミロイドーシスでアミロイド陽性の104例の心臓を病理組織学的に検索中に,興味のある現象を見出した. Congo-red染色標本のほかにH-E染色標本の71例(68.27%)が,偏光顕微鏡でみると緑色または黄緑色の複屈折を示したのである.心筋梗塞,疣贅性心内膜炎,動脈硬化症,肝硬変症,キャンディダ症その他23疾患の心臓のH-E染色標本30例を対照として調べたところ,上記のような現象は全く認められなかった.そこで,われわれは,保存されてあるH-E染色標本を偏光顕微鏡で検索することは,アミロイドーシスのスクリーニングに有用であると考えた.

1985.01.11

Rehabilitation after Radical Mastectomy ― With Referrence to Manual Muscle Testing and Activity of Daily Living ―

1.術後の患側肩関節機能障害は a.可動域障害:頻度では側方挙上,水平位外転が100%,前方掌上98.6%,水平位内転87.0%,後方掌上81.2%と高率,内旋は低率(34.8%).障害度は水平位外転が86.0%の程度に著しく,側方掌上51.7%,前方挙上40.0%で,内旋は9.0%と軽度. b.筋力障害:全例障害され,障害度は,外旋,側方挙上,水平位内転,前方挙上の順に軽度で,後方挙上が最も軽度. c.日常生活動作(ADL):全例障害.障害度は,“ふとんの上げ下げ”が83.6%と著しく,“棚の上のものの上げ下げ”と“洗濯物を干す”が62.3%の順にみられた. 2.術式別の肩関節機能障害は a.可動域障害:縮小手術では内旋が,頻度および程度とも低い.定型的根治術は拡大根治術と類似するが,後方挙上,内旋,外旋の障害が軽い. b. 徒手筋力テスト(MMT)からは,縮小手術が全項目についてGrade 3 が少ない(軽度).定型的根治術と拡大根治術は側方挙上,外旋障害を除き,他は拡大根治術の障害が著しい. c.ADLは縮小手術が“ふとんの上げ下げ”を除き,障害は最も軽度で,次いで定型的根治術,拡大根治術と順に障害の頻度・程度は高く,著しい. 3.リハビリテーションによる回復訓練の十分な61例の回復期間は a.可動域:5ヵ月以内に87%の回復がみられる.縮小手術は2ヵ月,続いて定型的根治術は3ヵ月にピークを示し,完全回復は5ヵ月であった.拡大根治術は3ヵ月から始めて回復し,7ヵ月の間に分布し,遅延した. b.筋力:70%以上が2ヵ月で,縮小手術と定型的根治術は全例が4ヵ月,拡大根治術は6ヵ月を要した. c.ADL :86.8%が3ヵ月まで,縮小手術は1ヵ月以内から回復し,次いで定型的根治術,拡大根治術の順に遅延した. 4.回復の最も遅延する運動は,a.肩関節可動域:側方挙上,前方挙上,水平位外転,b. MMT:水平位内転であった. 5.指椎間距離テストは肩関節可動域回復のよい指標となる.

1985.01.10

The Significance of the Immune Cell Response after Alloantigen Stimulation in the Renal Interstitial Tissue of Mice ― I. Monoclonal Antibody Study ―

同種腎抗原によるマウス自己免疫性IC腎炎において,多核白血球,Tリンパ球の部位別,経時的変動をABC法により組織切片上で観察した.抗原刺激後,多核白血球は14日目を中心に一過性の変動を示したが,Tリンパ球は7日目にまず髄質部で増加し,以後持続した.皮質部では,14日目に軽度の増加を認めた.14日目の多核白血球変動とTリンパ球変動の間に解離を認め,このことより細胞性免疫反応の不全型,あるいは局所における免疫自己制禦機構の関与する可能性が示唆された.

1985.01.09

Experimental Study of Cryochemotherapy

約90羽のVX2担癌家兎を実験モデルとして,凍結化学療法の効果に関し,検討を行った.VX2癌の移植1週間後,2群に分け凍結術後の腫瘍組織血流量の変化と,制癌剤の組織内取り込みの変化について検討した.1;凍結術後30分の時点で,凍結された腫瘍の血流量は,コントロール値の約200%に上昇する.以後漸減し60分後から180分後にはコントロール値の約50%となる.2;制癌剤の取り込みは,凍結術後30分に動注した場合に最も高くなり,コントロール群の約1.5倍になる.以後漸減するが,24時間後に動注した場合にも高くなり,二峰性を呈する.3;正常肝組織は,凍結術後30分~60分の時点では,制癌剤の取り込みが小さい.4; 1,2,3より,凍結術後30分~60分の間が制癌剤の投与を行うに適していると考えられる.

1985.01.08

Effects of Post-extrasystolic Potentiation on Cardiac Hemodynamics in Normal and Failing1 Heart ―Possible Clinical Application of Detection of Left Ventricular Reserve Function―

左室機能低下例に対して内科的および外科的治療を行う際,心予備能を正確に評価することは,極めて重要なことである.陽性変力作用を主とする期外収縮後増強現象(PESP)を用いて,左室機能低下例における心予備能の評価が可能か否かを実験的に検討した.対象は雑種成犬15頭で,左冠動脈主幹部より50μのマイクロスフェアを注入し,同一例においてコントロール状態を含めて4段階の左室機能低下状態を作製し,段階別に血行動態諸指標におよぼすPESPの効果を検討した.等容収縮期の指標および駆出期の指標におよぼすPESPの%変化率は,中等度左室機能低下状態までは各段階毎に有意に増大したが,高度低下状態では中等度低下状態に比し低反応を示した.左室収縮時間(特にPEP)におよぼすPESPの変化は,左室max dp/dt の変化とproportionalに変動し,両者間にはr= ―0.66の相関を認めた.以上の成績より,安全かつ反復して検査可能な心機図法より得られる左室収縮時間を用いたPESPの効果に対する検討は、左室機能低下例における心予備能評価に対して有用と考えられた.

1985.01.07

A Biomechanical Study of the Patello-femoral Joint

膝蓋大腿関節に加わる荷重量が膝の屈曲及び内反変形に従ってどのように変化するかを知るために,二次元・三次元光弾性実験を行った.そして正常膝蓋大腿関節に生じる応力と,変形性膝蓋大腿関節症および膝内反変形を伴う変形性膝関節症の膝蓋大腿関節に生じる応力を比較検討し,これら関節症の成因や内反変形膝に伴う脛骨の回旋について,膝蓋大腿関節に加わる接触圧から考察を加えた.また膝蓋大腿関節症に対する代表的な手術であるMaquet手術(脛骨粗面浮上術)の静力学的効果と問題点などについて論じた.1)正常膝蓋大腿関節には膝関節30゜屈曲位で内外関節面に等しい接触圧が生じるが,60゜・90゜と屈曲角度が増すにつれ外側関節面に大きな接触圧が生じる.2)大腿と下腿のアライメントが正常であれば,膝蓋大腿関節の外側面に大きな接触圧が生じ外側関節面の障害が生じやすく,内反変形膝では内側面に大きな接触圧が生じ内側関節面の障害を生じやすい.3)内反変形膝は膝蓋骨の内側関節面の変性をきたしやすいことから,脛骨の内旋を伴うと考えると力学的に理解しやすい.4) Maquet手術は1cmの浮上でも静力学的に充分な減圧効果があり,特に日常生活で使用頻度の多い膝屈曲30°-60°の範囲で効果が大きい.

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