h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

topimage01

1994.03.05

The Present State of Our MRI Systems for Detective Evaluation of Liver Masses *

近年, MRI装置の進歩には目覚ましいものがあり,いままで苦手としていた腹部領域においてもCTを凌駕しているとの報告が多くみられる.今回我々は,過去3年間に肝腫瘤病変に対し施行されたMRIをCTと比較検討し,肝腫瘤病変における当院MRIの意義について検討した.検討結果で, MRIは肝血管腫の診断においては極めて有用と考えられたが,小肝細胞癌ではCT以上の情報は見られなかった.       (平成6年7月28日採用)

1994.03.04

Production of Functional Human Ku Heterodimer Using Baculovirus System *

Human Ku p70およびp86 subunitを持つ2つのこのリコンビナントBaculovirusを作成し,それぞれのsubunitをSf9細胞内で発現させた.さらにこの2つのvirusをco-infectすることにより機能的なp70/p86 heterodimerを作成,またhexa-histidine tag とfusionproteinにすることで簡便にかつ大量に精製,回収した.またこのリコンビナントタンパクを用いてheterodimerを構成することがKu抗原がDNAに結合するために必須であることを示した.                              (平成6年7月14日採用)

1994.03.03

Effectiveness of Medroxyprogesterone Acetate in Treating Bone Metastasis of Breast Cancer *

主としてER陽性あるいはPgR陽性の初発骨転移例22例に対してMPA単独療法を施行した.奏効率は50%と高く,奏効期間も平均20.3ヵ月と長かった. MPA療法はER陽性あるいはPgR陽性例では奏効率が高く,よい適応となる.また,無病期間の長い例(3年以上),初回治療例には奏効率が高い傾向があり, MPA療法施行時にはこれらを考慮しておくべきである.また, MPA療法は骨疼痛例にも有効で, 60.0%の高い除痛有効率を示し,患者のQOL上,有用であった.さらにMPQ療法奏効例では延命効果が期待できる.副作用としては10%以上の体重増加が40.9%にみられたが,重篤なものはみられず,継続投与が可能であった.以上よりMPQ単独療法は骨転移例に対して有用である.(平成6年5月28日採用)

1994.03.02

The Effect of Diltiazem on Myocardial Ischemia Using an Isolated Rat Heart Perfusion Model *

Crystalloid cardioplegiaであるSt. Thomas’ solution にカルシウム拮抗剤のーつであるDiltiazemを加えisolated working rat heart modelを使用して心筋虚血実験を行いDiltiazemの心筋保護効果につき検討した.虚血後,大動脈流量回復率はDiltiazem添加により63.2±8.6 % vs 79.9±5.9%(STS vs STS+Diltiazem, mean±S.D.)と有意に(p<0.01)良好な回復を示し,再冠灌流液中のCPKは87.5±35.8 1U/20 min/g drywt vs 41.7±14.5 IU/20 min/g dry wt (STS vs STS+Diltiazer, mean±S.D.)と有意に(p<0.05)低値を示し,虚血再灌流障害に対する心筋保護効果が認められ,この効果は虚血,再灌流時の細胞内Ca-overloadを軽減したためと思われた.(平成6年10月11日採用)

1994.03.01

US-guided Liver Biopsy-usefulness of 45° Biopsy Method *

肝生検がUSガイド下に施行されるようになってから合併症は減少したとはいえ,なお出血の合併症はしばしば認められる.生検時の出血を防ぐ工夫としてUS検査を行った84例について肝表面から門脈枝および右肝静脈枝までの距離および各血管の走行角度の検討を行った.肝表面と門脈枝までの距離(DH)は平均35.8±7.4mmであったのに対して右肝静脈枝までの距離(DH)は32.3±mmであった.また,門脈枝の走行角度(θP)は平均62.2±8.6°であったのに対して右肝静脈枝のそれ(θH)は45.2±11.4°であった.これらの結果は,比較的太い血管が肝表面から3cm以内のところにもかなりみられること,また60°で穿刺した場合右肝静脈の大部分と門脈枝の半分は穿刺時損傷をうける可能性があることを示唆している.穿刺角度の観点から45°生検法が肝内血管の損傷を避けうるより安全な方法となりうることが示唆された.              (平成6年7月21日採用)

1994.02.11

Synchronization of Plasmapheresis and Steroid Pulse Therapy in a Case of CNS Lupus *

症例は23歳の女性,約1年半前からSLEの診断のもと外来通院していたが,全身倦怠感と筋肉痛を主訴に入院となった.入院後38℃ 台の発熱が続いていたが,特にステロイドを増量せず様子をみていた.ところが,入院中全身リンパ筋腫脹,貧血,白血球減少,補体の低下等が目立ち始め,入院約1力月後に頭痛,嘔吐があり翌日に痙攣発作と同時に意識障害を来した. CNSループスと診断し,直ちにICU入室後ステロイドパルス療法と血漿交換1日1回計4回施行した.意識障害は治療開始5日後にほぼ完全に回復し,脳波,髄液所見なども正常化していった.プレドニゾロン60 mg/日を徐々に漸減していったが,貧血,白血球減少,補体の低下等も改善し,経過は良好であった.  
(平成6年4月7日採用)

1994.02.10

Porphyria with Liver Dysfunction : Report of Two Cases and Cimetidine Therapy *

肝障害を伴ったポルフィリン症2例を呈示し,シメチジンの投与効果について検討した.症例1は57歳男性で顔面の皮疹と日光過敏症のため入院.尿中ウロポルフィリン2200μg/lと著増がみられ肝機能も中等度のトランスアミナーゼの上昇がみられた.瀉血により尿中ウロポルフィリンは正常化し肝機能の改善もみられた.症例2は74歳,女性で日光過敏症が2年間持続し,その後黄疸がみられたため入院した.血清ビリルビンは13.9 mg/dl と増加し,胆道系酵素の上昇を認めた.赤血球中プロトポルフィリンは16227μg/dlと著増を認めた.患者は1年半後に肝不全で死亡した.第1例は晩発性皮膚ポルフィリン症(PCT),第2例は骨髄性プロトポルフィリン症(EPP)と診断された.ヒスタミンH2受容体拮抗薬シメチジンを800 mg/日2週間投与し,投与前後のポルフィリン体の変化を検討した.PCT, EPPともに各々尿ウロポルフィリン,赤血球中プロトポルフィリンの低下がみられ,シメチジンがポルフィリン症の新しい治療薬となりうる可能性が示唆された.(平成6年4月1日採用)

1994.02.09

Preventive Effect of Ulinastatin against the Renal Toxicity of CDDP Intra-arterial Infusion for Head and Neck Cancer *

CDDPは悪性腫瘍に対する化学療法剤として極めて有効であるが,その腎毒性のために投与量が制限されることも多い.今回,我々は蛋白分解酵素阻害剤であるUlinastatinがCDDPによる腎臓の近位尿細管障害に対して予防効果を認めるという報告を基に,頭頸部腫瘍に対するCDDPの動注療法においての腎毒性軽減効果を検討した,結果は24時間Ccr,血中,24時間尿中/β2 -microglobulin値は4クールの動注を通して正常値の範囲内での変動に留まり,支障を来すことなく動注療法は施行出来た.以上のことより, UlinastatinはCDDPの腎毒性を軽減させるのに有効であり,今後の臨床応用が期待出来る薬剤であると思われる.                           
(平成6年4月16日採用)

1994.02.08

Mild Depression-A Definition and Therapeutic Problem *

1993年の1年間に川崎医科大学精神科を初診したうつ病患者30例の重症度をICD-10及びDSM-Ⅲ-Rによって評価し,病歴,治療経過を観察した.軽症8例(27%),中等症21例(70%),重症1例(3%)であった.1症例を除き29例の発症時の症状は軽度なもので,徐々にあるいは急速に悪化して当科を受診していた.十分な抗うつ薬の投与で数力月以内に改善した.最近の軽症うつ病と呼ばれる病態は,内因性うつ病の経過の一時期と考えられ,治療は軽症期こそ慎重かつ十分に行われなければならないと考えられた.(平成6年3月31日採用)

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